■ 【元銀行員のフィクション】
著者は、大手銀行の支店長まで勤め、50歳を前にして
脱サラ、作家に転身している。本書は、その銀行時代
を題材に、10篇の短編としたものです。言わば、ノン
フィクションをフィクションにしたものでしょう。
■ 【談合課徴金減額制度」を廻り、お互い疑心暗鬼】
10篇の中で、建築設計業界に身を置いた小生にとって
一番身が引き締まる思いで読んだのが、9編目の「汝、
偽るなかれ」でした。談合の渦中におかれた各社の社
員が、最近の独禁法新改正による「談合課徴金減額制
度」を廻り、お互い疑心暗鬼になる様を描いたもの
で、著者のあとがきの最後に出てくる『………、決し
て会社のために働くな』が痛感される短編でした。
■ 【事務ヤさんのサラリーマン生活】
小生は、技術ヤとしてサラリーマンを全うしました。
事務ヤとしてサラリーマンも見てきたのである程度
は、イメージ出来ていたのですが、これら短編は、も
う一つ知らない世界を見せて呉れたので楽しめまし
た。
■ 【「会社のために働くな」だけでは、惨めでは?】
従って、どうなるのかな?と思うと、最後はストーン
と落とし所がありました。あれ?と思うのは、ノン
フィクションを想像するからでしょうか。そして、そ
こにつまらなさを感じます。「汝、偽るなかれ」は、
官の天下りを受け入れる官民癒着を描き、独禁法新改
正の「談合課徴金減額制度」を描いていますが、そこ
に未来がみえません。「………、会社のために働く
な」、「あとがき」の言葉ですが、小作品との関係が
不明瞭で、余りに唐突で惨めです。
この商品をお持ちですか?
マーケットプレイスに出品する

無料のKindleアプリをダウンロードして、スマートフォン、タブレット、またはコンピューターで今すぐKindle本を読むことができます。Kindleデバイスは必要ありません 。詳細はこちら
Kindle Cloud Readerを使い、ブラウザですぐに読むことができます。
携帯電話のカメラを使用する - 以下のコードをスキャンし、Kindleアプリをダウンロードしてください。
失格社員 (新潮文庫) 文庫 – 2007/3/28
嘘つき社員、セクハラ幹部、ゴマスリ役員――。
会社には不祥事の元凶がゴロゴロ。こんな奴が、あなたの傍にもいるはずだ!
嘘つき社員に傲慢部長、モーレツ執行役員にゴマスリ常務──不祥事の元凶がオフィスにはあふれている! サラリーマンが守るべき掟を「モーセの十戒」に擬えて、コミカルにシニカルに描く。秘かに転職を目論む銀行員の心の内は……「二神に仕えるなかれ」、セクハラ対策を担当していながら、生保の中堅幹部はなぜセクハラに陥ったのか……「汝、姦淫するなかれ」など、傑作十篇収録。
【目次】
二神に仕えるなかれ
偶像を刻むなかれ
主の名を妄りに唱えるなかれ
安息日を聖とせよ
汝の父母を敬え
汝、殺すなかれ
汝、姦淫するなかれ
汝、盗むなかれ
汝、偽るなかれ
汝、貪るなかれ
十一番目の戒律―あとがきにかえて
江上剛
1954(昭和29)年兵庫県生れ。早稲田大学政治経済学部卒業後、第一勧業銀行(現みずほ銀行)に入行。1997(平成9)年の第一勧銀総会屋事件では、広報部次長として混乱収拾に尽力した。2002年、築地支店長を務める傍ら『非情銀行』を発表して作家デビュー。2003年3月にみずほ銀行を退行し、以後、執筆に専念している。小説、ビジネス書など著書多数。
会社には不祥事の元凶がゴロゴロ。こんな奴が、あなたの傍にもいるはずだ!
嘘つき社員に傲慢部長、モーレツ執行役員にゴマスリ常務──不祥事の元凶がオフィスにはあふれている! サラリーマンが守るべき掟を「モーセの十戒」に擬えて、コミカルにシニカルに描く。秘かに転職を目論む銀行員の心の内は……「二神に仕えるなかれ」、セクハラ対策を担当していながら、生保の中堅幹部はなぜセクハラに陥ったのか……「汝、姦淫するなかれ」など、傑作十篇収録。
【目次】
二神に仕えるなかれ
偶像を刻むなかれ
主の名を妄りに唱えるなかれ
安息日を聖とせよ
汝の父母を敬え
汝、殺すなかれ
汝、姦淫するなかれ
汝、盗むなかれ
汝、偽るなかれ
汝、貪るなかれ
十一番目の戒律―あとがきにかえて
江上剛
1954(昭和29)年兵庫県生れ。早稲田大学政治経済学部卒業後、第一勧業銀行(現みずほ銀行)に入行。1997(平成9)年の第一勧銀総会屋事件では、広報部次長として混乱収拾に尽力した。2002年、築地支店長を務める傍ら『非情銀行』を発表して作家デビュー。2003年3月にみずほ銀行を退行し、以後、執筆に専念している。小説、ビジネス書など著書多数。
- 本の長さ462ページ
- 言語日本語
- 出版社新潮社
- 発売日2007/3/28
- 寸法14.8 x 10.5 x 2 cm
- ISBN-104101462240
- ISBN-13978-4101462240
この商品をチェックした人はこんな商品もチェックしています
ページ: 1 / 1 最初に戻るページ: 1 / 1
商品の説明
内容(「BOOK」データベースより)
嘘つき社員に傲慢部長、モーレツ執行役員にゴマスリ常務―不祥事の元凶がオフィスにはあふれている!サラリーマンが守るべき掟を「モーゼの十戒」に擬えて、コミカルにシニカルに描く。秘かに転職を目論む銀行員の心の内は…「二神に仕えるなかれ」、セクハラ対策を担当していながら、生保の中堅幹部はなぜセクハラに陥ったのか…「汝、姦淫するなかれ」など、傑作十篇収録。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
江上/剛
1954(昭和29)年、兵庫県生れ。早稲田大学政治経済学部政治学科卒業後、第一勧業銀行(現みずほ銀行)に入行。梅田、芝の支店を経て、本部の企画、人事部門に勤務。’97(平成9)年の第一勧銀総会屋事件では、広報部次長として混乱収拾に尽力した。2002年に、築地支店長を務める傍ら『非情銀行』を発表して作家デビュー。’03年3月、第2作『起死回生』の刊行と同時に、みずほ銀行を退行して、以後、執筆に専念している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
1954(昭和29)年、兵庫県生れ。早稲田大学政治経済学部政治学科卒業後、第一勧業銀行(現みずほ銀行)に入行。梅田、芝の支店を経て、本部の企画、人事部門に勤務。’97(平成9)年の第一勧銀総会屋事件では、広報部次長として混乱収拾に尽力した。2002年に、築地支店長を務める傍ら『非情銀行』を発表して作家デビュー。’03年3月、第2作『起死回生』の刊行と同時に、みずほ銀行を退行して、以後、執筆に専念している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
登録情報
- 出版社 : 新潮社 (2007/3/28)
- 発売日 : 2007/3/28
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 462ページ
- ISBN-10 : 4101462240
- ISBN-13 : 978-4101462240
- 寸法 : 14.8 x 10.5 x 2 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 741,638位本 (の売れ筋ランキングを見る本)
- カスタマーレビュー:
この商品を買った人はこんな商品も買っています
ページ: 1 / 1 最初に戻るページ: 1 / 1
著者について
著者をフォローして、新作のアップデートや改善されたおすすめを入手してください。

著者の本をもっと発見したり、よく似た著者を見つけたり、著者のブログを読んだりしましょう
カスタマーレビュー
5つ星のうち3.8
星5つ中の3.8
20 件のグローバル評価
評価はどのように計算されますか?
全体的な星の評価と星ごとの割合の内訳を計算するために、単純な平均は使用されません。その代わり、レビューの日時がどれだけ新しいかや、レビューアーがAmazonで商品を購入したかどうかなどが考慮されます。また、レビューを分析して信頼性が検証されます。
トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
レビューのフィルタリング中に問題が発生しました。後でもう一度試してください。
2008年7月2日に日本でレビュー済み
違反を報告する
Amazonで購入
1人のお客様がこれが役に立ったと考えています
役に立った
2014年5月28日に日本でレビュー済み
裏側のあらすじを読んだとき、「これはブラックユーモアが主の小説だな」と思った。
でも、確かにそういった描写もあったけれど、それ以上に教えられたことが多かった。
教えられたこと、それは「人」として何が大切な物は何なのか?ということ。
タイトルからわかる通り、本作は銀行や会社で働く人間を描いたものだ。
「社会で通じるルールは会社では通じない、だから『会社』は『社会』という文字を反対にしているんだ」というような記述があったけど、そんなことはない、ということを本作は教えてくれている。
社会も会社も、どちらも人間が創りあげていくものだ。
どちらでも成功する人に共通すること、それは人を愛しそして愛される人物でること。
読み終えた今、それを強く感じている。
でも、確かにそういった描写もあったけれど、それ以上に教えられたことが多かった。
教えられたこと、それは「人」として何が大切な物は何なのか?ということ。
タイトルからわかる通り、本作は銀行や会社で働く人間を描いたものだ。
「社会で通じるルールは会社では通じない、だから『会社』は『社会』という文字を反対にしているんだ」というような記述があったけど、そんなことはない、ということを本作は教えてくれている。
社会も会社も、どちらも人間が創りあげていくものだ。
どちらでも成功する人に共通すること、それは人を愛しそして愛される人物でること。
読み終えた今、それを強く感じている。
殿堂入りNo1レビュアーVINEメンバー
会社という組織を傍目から見れば、多分に滑稽だろうと思います。小学生、中学生の頃は、大人の世界というのは、良識に満ち溢れた場所なのだろうと想像していました。実際に会社で働いてみると、それこそ小学生でもしないようなことを大真面目に会議で決めたりします。誰もが可笑しさに気付いているのでしょうが、当事者になると黙って従ったりします。無関係の人が横で見ているとクスっと笑うでしょうが、その人も自分が会社に戻れば同じことを行っているでしょう。この本には、そういった会社という組織にありがちなエピソード10編が収められています。王様ゲームを始めてしまう銀行の支店長、昇格テストの罠に嵌ってしまう昇格前の銀行員、ライバルとの競争に勝ち抜くために芝居を打ち続ける頭取秘書など滑稽に感じながらも誰かを思い浮かべてしまいます。最後に著者による第11章が綴られています。この部分だけでも読む価値があると思います。著者自身、第一勧業銀行に勤務し企業というものの性質を知り尽くしています。その思いが率直に語られていて胸を打ちます。働くということに意味をもう一度自らに問いかけてみたい、そんな感想を持ちました。
2009年6月7日に日本でレビュー済み
短編で読みやすいのだが、いずれもストーリーが薄っぺらく
結末にも納得できないものが多かった。
会社が戦場で、油断大敵なのはよくわかるけど、「結局、
弱いヤツは敗れるんだ的な、あまりに短絡的な結末ばかり
ではつまらない。ストーリーに痛快さが感じれれなかった。
もっと、一発逆転を出してほしかった。
ただ、個人的には、「主の名を妄りに唱えるなかれ」みたい
なのは大好きな一編だった。狸役の頭取、常務が虎の威を
借るキツネを演じ、猿や犬まで登場し、まるで桃太郎みたいで
とても楽しかった。木常常務が猿田常務と犬飼常務を蹴落とす
ところなんか最高です。ああいうストーリーを今後も是非書いて
欲しいですね。
結末にも納得できないものが多かった。
会社が戦場で、油断大敵なのはよくわかるけど、「結局、
弱いヤツは敗れるんだ的な、あまりに短絡的な結末ばかり
ではつまらない。ストーリーに痛快さが感じれれなかった。
もっと、一発逆転を出してほしかった。
ただ、個人的には、「主の名を妄りに唱えるなかれ」みたい
なのは大好きな一編だった。狸役の頭取、常務が虎の威を
借るキツネを演じ、猿や犬まで登場し、まるで桃太郎みたいで
とても楽しかった。木常常務が猿田常務と犬飼常務を蹴落とす
ところなんか最高です。ああいうストーリーを今後も是非書いて
欲しいですね。
2007年10月7日に日本でレビュー済み
江上剛氏の作品をこれまで多く読んできた。「金融庁物語」に代表される、銀行を舞台にseriousの一方でunrealisticの内容に読者が困惑という作品。或いは「円満退社」に代表されるTHE有頂天ホテルの如きドタバタ劇。こういう印象が強かったが、いくつか趣向の違う良い作品も出てきた。今回の「失格社員」はモーゼの十戒を擬えて銀行員や会社員の戒律を10話にしたものだ。それぞれ銀行内でここまではあり得ないような誇張はあるが、この十戒ということを考えれば、それなりに面白い。特に同僚、上司を平気で騙す、陥れる、裏切るという場面はどの企業や組織でもありそうだ。特に第8話「汝、盗むなかれ」にある外資系金融機関の広報部次長のずるがしこさ、卑怯さは必読であろう。今回のレビューで敢えて5つ星にしたのは、「あとがき」にかえて「十一番目の戒律」として、江上氏の第一勧銀入行後の父の教えに沿った芯のある行動からである。若い時から常に配属先の上司との衝突の繰り返し、大蔵省(現金融庁)銀行局課長との喧嘩(そして出入り禁止)、そしてこれは有名な第一勧銀総会屋事件、退職という、珍しく「総会屋事件」以前のご自身の生き様も赤裸々に載せられており、これによって今回江上氏を見直した次第である。巷に氾濫するコンプライアンス関連書籍よりも、この「失格社員」の方がその周知徹底に効果ありと見た。