ソータくんは結局サエコさんの本当の姿を見ようとはしていなかった。
サエコさんは幸せに結婚生活を送ってて、悩みなんてなくて、自分には大して興味もない女性。
自分がつくりあげた夢の中のサエコさんばかりを見ていて、等身大の彼女を見ていなかった。
念願叶って結ばれても中途半端というか、現実的に考えてないというか。
奪うわけでもなし、遊びというほど軽くもなく。
深く踏み込んでも来ないし、自分の本音を真正面から伝えてくることもしない。
端から見たらソータくんの気持ちのほうが見えないのでは…?と思った。
サエコさんは普通の女だから、離婚をしてまでそんな男を選ぶことはしないと思う。
相応に不安や弱さもある普通の女。
今の境遇に虚しさや寂しさは抱えているけど、やりたいことがあるわけでもない。
誇れるような特技や仕事もない。
だからといって一人で生きていけるようなタイプでもなさそう。
離婚というリスクを背負ってまで、足下がふわふわしたソータくんを取るようなことはできないんじゃないかな。
サエコさんは現実を生きていて、ソータくんは夢を見ていた。
そんな二人の結末としてはとても妥当なものになったのだと思う。
なんだかんだ皆がそれなりの形におさまって幸せそうだから、それはそれで良かった。
あと薫子さんとサエコさんが仲良く食事してるのが微笑ましくて好き。
薫子さんもサエコさんに変えられた一人だから、ある意味ソータの仲間なのかな。
水城さんの描く漫画の登場人物はとてもリアルだ。
リアルだからこそキャラクターへの好き嫌いがはっきり別れるのだと思う。
何一つ間違わず、傷つかず傷つけず「正しく」生きることを求められる昨今では、ソータやサエコさんみたいなタイプは嫌われてしまうのかな。
フラフラしてだらしないとか、人の気持ちをもてあそんでるって意見も多い。
でも個人的には彼や彼女たちの持つ弱さがとても好きだと思った。
人間ってそんなにいつも同じ方向を向いてられなくて、道を間違えたり時には戻ったりもする。
誰かや何かを傷つけたり、傷ついたりもする。
今は変わるはずないと思っている自分の心や気持ちだって、いつかは変わったり無くなったりするかもしれない。
人間なんてそのくらいの、決して完璧ではない生き物だと思うから。
自分の気持ちがわからなくてうろうろしたり、もがいたり抗ったり時には流されたり。
不確かな生き物らしい生き方。
正しくはなくてもそんなもんでいいと思う。
そんな中でも何かを得ていくんだから彼らはとても逞しいね。
あ、ソータくんはずっとサエコさんに夢を見ていたと書いたけど、最後の涙を見る限りちゃんと現実の恋心もあったんだなって少し安心した。
サエコさんと、サエコさんを真剣に想っていた過去の自分への失恋。
どっちも寂しいよね。
ソータの今までの色んな想いが伝わってくる、良いラストでした。
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