自分も、母も、母の母(祖母)も天気痛の持ち主でした。約40年程前までは北海道や東北に台風が上陸することはほとんど無かったのですが、稀に直撃となれば一家全員頭痛で寝込むこともあるほど大変でした。(今は北海道でも頻繁に上陸するので台風が発生する度戦々恐々です)
祖母は特に酷かったらしく、この書のP53にあるように「明後日あたりに台風が来る」「明日は雨だ。ちょっと降る」「明日は大雪だ。かなり降る」と相当正確に気象を予知できたらしいです。
自分も【天気痛チェックリスト】に全部当てはまったので、自分には珍しく本屋さんで中身をチェックせずアマゾンさんで即買いしましたが、大満足の内容です。「天気痛」発生の科学的根拠を探求し、長く臨床にも携わってきた著者の豊富な研究事例も多く掲載され、医学的対処法も提案されているこの書は、多くの天気痛に苦しむ方々にとって福音書となると思います。
そもそも気圧(atm) 、 ヘクトパスカル(hPa)がどれほど私たちの身体に影響を与えているか日常生活で意識している方などほとんどいない筈。女性の身体の表面積を1.4平方メートルとすれば1平方メートルにかかる気圧は約10トンだから、女性は約14トンの圧力を受けていることになり(男性の場合は約16トン)、この気圧でバランスをとっている私たちのほぼ水分でできている身体がちょっとした低気圧が来て5hPaでも上下すれば風船のように大きく膨張したり小さく縮小したりするのも当然。それが大型台風レベルの900hPaともなれば標準気圧の1013hPaより100hPa以上も減圧するのだから、程度の差はあれ頭痛、耳鳴り、鼻づまり、めまい、起き上がれない程の酷い倦怠感、等々に襲われるのも当然かもしれません。
加えて興味深かったのはP225からの「環境医学」についてです。天気痛の持ち主のクセに何故か登山の時は頭痛を起こしたことがない点が昔から不思議でしたが(じっくり日数をかけて徐々に減圧環境に慣れさせていく高所順応が上手くいっていただけかと思ってましたが)、長野県に長期滞在時は特に調子が良かったことを思うと高地・高原など「コンスタントに平均気圧が低く湿度も低く爽やかな」環境が自分の体質には合っていたのかもしれません。もちろんこの書のP237にもあるように高原でも天気の変化が激しい地域もありますから一概には言えませんが、自分のケースは急激な気圧の変化には過敏に反応し痛みに苦しむけども、前もって服薬したり時間をかけて準備しておけば何とか対応できる様です。今後もこの書にあるようにストレッチや運動を意識的に取り入れ、辛い「天気痛」に対処していきたいと思います。
ただ、「天気のせいだったのか」と素人判断しすぎるのも危険だと思います。原因不明の慢性頭痛のある方はまずは脳神経外科にて専門医の診療を受け、MRIなどの検査は絶対必要だと思います。脳梗塞や脳動脈瘤など、目立った所見が無くても後に発見されるということもあります。セカンドオピニオンも積極的に求めて良いと思います。他の大病だったら大変なので、まずはお医者様に相談し、次にお天気とも相談して生活する。皆様健やかにお過ごし下さい。
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