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山上たつひこ

大阪弁の犬 (日本語) 単行本 – 2017/10/31

山上たつひこ (著)

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『がきデカ』を生んだ
天才漫画家・山上たつひこ
初の自伝

大阪で過ごした少年期のこと、
貸本出版終焉の時代に日の丸文庫で出会った漫画家たち、
『喜劇新思想大系』を旗印に集まった双葉社の編集者たちとの日々、
そして、『がきデカ』が生まれたその瞬間──

「日本経済新聞」朝刊(2017年11月18日)に著者インタビュー
「サンデー毎日」(11/21発売号)に著者インタビュー
「週刊文春」(11/29発売号)の「この人のスケジュール表」
「SPA!」(11/14発売号)に紹介記事が掲載されました。

本の長さ

320ページ
言語:

日本語
出版社

フリースタイル
発売日

2017/10/31
ISBN-10

4939138895
ISBN-13

978-4939138898
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商品の説明

内容（「BOOK」データベースより）

大阪で過ごした少年期のこと、貸本出版終焉の時代に日の丸文庫で出会った漫画家たち、『喜劇新思想大系』を旗印に集まった双葉社の編集者たちとの日々、そして、『がきデカ』が生まれたその瞬間―。

著者について

山上たつひこ
一九四七年徳島県生まれ。出版社勤務を経て漫画家に。
代表作は、『がきデカ』『光る風』『喜劇新思想大系』など多数。特に『がきデカ』は社会的にも大ブームとなり、掲載誌の「少年チャンピオン」を少年誌初の二百万部に押し上げた。
一九九〇年、マンガの筆をおき、本名の〈山上龍彦〉として、『兄弟!尻が重い』『蝉花』『春に縮む』などを発表。
二〇〇三年より、再び〈山上たつひこ〉として、小説『追憶の夜』(のちに『火床より出でて』と改題)を発表し、漫画「中春こまわり君」を描く。
最新刊は『枕の千両』(小説。小社刊)。
原作を担当した『羊の木』(いがらしみきお画)で、二〇一五年文化庁メディア芸術祭優秀賞受賞。

登録情報

出版社 : フリースタイル (2017/10/31)
発売日 : 2017/10/31
言語: : 日本語
単行本 : 320ページ
ISBN-10 : 4939138895
ISBN-13 : 978-4939138898

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hans

地元贔屓ですが

2019年9月1日に日本でレビュー済み

Amazonで購入

作者は金沢在住です。
金沢に住むことになった経緯や金沢の良さが綴られています。
金沢の人間にとっては、とても嬉しく読みました。
地元贔屓ですが…。

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表紙の「山上たつひこ」の名と「栃の嵐」の絵が懐かしい　当時の思い出に浸れる喜び

2018年9月22日に日本でレビュー済み

249p以降に詳しく書かれていますが、「喜劇新思想大系」「光る風」そして「がきデカ」の「こまわり君」、1970年代の筆者の生きざまがエッセイとして綴られていました。
思春期、そして大学生の頃、リアルタイムで山上たつひこの漫画は身近にありました。親には読んでいるところを見られたくない内容でしたが、それでも今でも心の奥底に思い出が残っています。
忘れていた「逆向春助(249p)」の名が登場しました。あのとんでもない内容の漫画の主人公です。若者の支持は絶大でした。

筆者が「劇画マガジン(111p)」を発行していた日の丸文庫に勤めていた話も知りませんでした。まだ貸本屋が商売をしており、併営の古本屋の棚に「劇画マガジン」が並んでいてバック・ナンバーを何冊か購入しました。その頃は山上たつひこの漫画を記憶していませんが、虫プロの「COM」と同時代の発刊とのこと。漫画や劇画が新しい時代を迎えていた頃です。

「九相詩絵巻」では、手塚治虫について書かれています。「医学の徒として彼が死を冷徹に見つめ続けたことだけは確かである。(158p)」の文だけでなく、当時の漫画家への山上さんの思いが伝わってきます。エッセイストとしても一流です。本書の後半部分にそれは感じられました。

辰巳ヨシヒロ、水島新司、篠原とおる、松本零士、矢口高雄などの漫画家の話、そして心斎橋にあった喫茶店MJB(211p)、PPMの「悲しみのジェット・プレーン(216p)」、1970年代初頭の歌謡曲。あの時代の大阪の空気がエッセイから伝わってきます。魅力的な漫画家は優れたエッセイストでした。
本当は、当時の漫画作成時の思い出をもっと読みたかったのですが、これくらいでも満足しています。
今でもあの頃の作品は読者の脳裏に住み続けています。

4人のお客様がこれが役に立ったと考えています

役に立った

奔猪

エッセイ集

2018年3月9日に日本でレビュー済み

Amazonで購入

バラバラに発表したエッセイ(過半数は自伝的エッセイでもない)
を並べて自伝として売り出すのは問題でしょう。

3人のお客様がこれが役に立ったと考えています

役に立った

やや散漫な「エッセイ集」的なところもあるが、大阪時代の著者が良く描かれている

2018年2月6日に日本でレビュー済み

山上たつひこは、私にとって『がきデカ』ではなく『光る風』
『喜劇新思想大系』なのである。あれは高校時代だった。
日本が再度戦争に突入する近未来を描いた『光る風』は衝撃的だった。

本書は、東京に移って『がきデカ』が生まれたくだりより、大阪時代人間の暗い部分のほうが多くページを割かれている。
２０歳そこそこであの作品を描いた山上はまさに「天才」だと思えた。

その後、ギャグ漫画に転向していったわけだが、彼の中で
「何」があったか、当時から不思議に思っていた。
実際『光る風』は、途中で掲載中止になり、半端な終わり方をする。
「自伝」というより「エッセイ」だが、ある程度山上たつひこの５０年前の「心の動乱」のようなものは覗けた。
いまは金沢で過ごしているという。本格的な自伝がほしいので★４。しかし良書。

9人のお客様がこれが役に立ったと考えています

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看板に偽りあり

2017年11月4日に日本でレビュー済み

Amazonで購入

自伝と銘打っていますが、山上があちこちで書いていたコラムを集めたものです。
本人もあとがきでエッセイ集と明言していますし。
読者が一番知りたいであろう「がきデカ」連載時のエピソードなんて
巻末の方に少ししか書いていなくて拍子抜けです。
（ただ、鴨川つばめに対するジェラシーを明らかにする部分は再録ではあるが面白かった）
もっと時系列順にしっかり書いた自伝を出してほしかった。

17人のお客様がこれが役に立ったと考えています

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堀木　環

前半△後半◎

2019年7月28日に日本でレビュー済み

前半は現在の作者の居住地である金沢を舞台にしたもの、後半は作者の少年期から「がきデカ」辺りまでの自伝的内容。当然の事ながら後半がとてつもなく面白い。極論すれば、この本は後半のみで成立している本である。
ハッキリと言えば前半はどうでもいい。これが言いたかった。

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腐乱鬼博士

一大ブームを巻き起こした大ヒット漫画『がきデカ』を生んだ鬼才・山上たつひこのエッセイ集！

2017年12月13日に日本でレビュー済み

　1970年代、『週刊少年チャンピオン』においてギャグ漫画に革命をもたらし、一大ブームを巻き起こした大ヒット漫画『がきデカ』〈1974～80〉！

　『がきデカ』を始め、『光る風』『喜劇新思想大系』など数々の傑作、奇作、怪作を世に送り出した異端の天才漫画家・山上たつひこ！

　山上先生といえば、『がきデカ』に代表される破壊的なギャグ漫画で一世風靡したが、その後、漫画表現に限界を感じ、一時期作家に転向し、近年は再び漫画に取り組み『中春こまわり君』や漫画原作として『羊の木』〈いがらしみきお著〉『冷馬記』〈喜国雅彦著〉、作家として『枕の千両』を発表するなど幅広く活動されている。

　本書は、山上たつひこ氏が連載したエッセイ「大阪弁の犬」(1992、『山上たつひこ選集』〈双葉社刊〉)、「東山ラプソディー」(2002～04、『月刊北國アクタス』〈北國新聞社刊〉)、「犬月猫日の記」(2001、『マイファーストビッグ・がきデカ』)他これまでに雑誌や単行本に書いた解説とエッセイ(2011～17)を収録したものである。

　山上先生が近年は金沢在住であった事は知らなかったが、エッセイでは自身の日常生活における身近な事をテーマに描いている。時期的には、漫画家から作家に転向して以降の時期に執筆されたものでその時の山上先生の心境など幾分か垣間見える内容となっている。

　山上先生のアイデンティティを知る上での「さまよう声たち」〈57頁〉の吹き替えや声優に思う事や「物語が生まれる」〈124頁〉での日本ドラマについて辛らつな感想を述べているが、必ずしも昔ばかりがイイとは思わないし、今の作品にも良質のものもあるのだが、思わんとするところは分かるような気がします。

　個人的には、漫画家に成り立ての時代や交遊録を描いた挿話が興味深く、大阪時代の話では、山上先生でギリギリ貸本漫画(漫画のレンタルビデオ店のような物で貸本漫画はその店舗に並べられるのを前提に出版した漫画)を描いていた頃の挿話について語られているので貴重な体験といえるだろう(さいとう・たかを氏『ゴルゴ13 』や水島新司氏『ドカベン』も貸本漫画が出発点だった)。

　一番面白かったのが代表作である『がきデカ』連載当時の事について語られた「犬月猫日の記」だ。
　大阪から上京してまだ二十代半ばだった山上先生が近未来ポリティカルフィクションの傑作『光る風』や異色短編『鬼面帝国』『やってきた悪夢たち』など発表して評価を得ていたものの自身の中でしっくり来ていなかった心境について語られており、『喜劇新思想大系』が先生にとってのエポックメイキングとなった作品だ。

　現時点では未見なのだが、本作でギャグ漫画に吹っ切った事がそれまで評価を得ていながらもどこか居心地悪そうな山上先生の方向性を決定付けたといえるし、現にこの作品が後の『がきデカ』誕生につながるワケだからその意味でも本作は山上先生にとっても大きな作品だ。

　『がきデカ』創作秘話にまつわる挿話についても、連載や主人公のこまわり君誕生の経緯や同級生のイケメンである西条くん(西条秀樹)、同じくヒロインの姉妹であるジュンちゃん(風吹ジュン)とモモちゃん(山口百恵)、担任であるあべ先生(あべ静江)など登場人物たちの名前が当時の人気アイドルたちから付けられたなど面白く読めたし、意外にも連載当初はなかなか作品にノレなくて気分が落ち込んでいたが、連載4回目で人気投票が4位になり、一気にテンションが上がり、『がきデカ』の大ヒットで山上先生の生活が一変した事がよく伝わるし、改めて『がきデカ』の凄さがよくわかった。

　その反面、後に同誌から連載された鴨川つばめ著の傑作ギャグ漫画『マカロニほうれん荘』の登場により、それまで誌面の王道を飾っていた『がきデカ』の人気に陰りが出てきた当時の状況や作者である鴨川つばめ氏の資質(才能)についても語られており、鴨川氏と『マカロニ』の新しい才能が『がきデカ』に脅威を与えたのかがわかるし、もし他誌で『マカロニ』が連載されていれば、直接『がきデカ』の地位を脅かすような事もなかったのかもしれない(ただし、『マカロニ』の連載も2年で終了し、意外と短命に終わり、鴨川氏自身もそれ以降作品も発表するも『マカロニ』を上回るような作品はなかった)。
　その後にライバル誌『少年ジャンプ』から鳥山明の登場により、『 Dr.スランプ』が爆発的大ヒットで社会現象になるのだが、山上先生は鳥山明や『Dr.スランプ』をどのように捉えていたのかぜひとも知りたいところだ。

　小林よしのり氏『東大一直線』『おぼっちゃまくん』がギャグ漫画は短命でいかに大変かについて仰っていたが、ギャグ漫画はその時の感性と瞬発力が求められるのでそれを維持し続けるのがいかに困難かがわかります(ギャグ漫画の連載は、短距離走のスプリンターが100m走感覚でフルマラソンを走らされるようなものだ)。天才漫画家である江口寿史氏『すすめ!!パイレーツ』もそれで悩まされていたのが印象的でした。

　『がきデカ』は残念ながら人気絶頂の連載当時にアニメ化にならなかった(注：連載終了から10年後にアニメ化になったがあまり話題にはならなかった)ので次世代へつながる人気の広がりを見せることはできなかったかもしれないが、当時の少年読者に与えたインパクトは大きく、『天才バカボン』と並ぶ古典的ギャグ漫画としても5本の指に入る傑作だと思います。

　最後に本日で古希となった山上たつひこ先生だが、これからもお身体に気をつけて、小説や漫画原作でもよいので自分のやりやすい納得できる表現で作品を発表して頂きたい。

　追伸…「犬月猫日の記③」〈276頁〉で新雑誌創刊(注：『がんがん野郎』)に向けて連載と表紙のイラストを依頼された挿話があるが、吾妻ひでお氏が自著『失踪日記』のなかで自分に依頼されたのに出来上がった雑誌を見たら山上氏の絵になっていてしかも山上さんのエッセイを読むと最初から山上さんに決まっていた事に「どういう事だ」と恨み節をつづっていたが、おそらく吾妻先生が読まれたエッセイがこの章だったのだろうと納得しました。

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akainu

小説家・山上たつひこが漫画家・山上たつひこを書く

2017年11月5日に日本でレビュー済み

漫画家・山上たつひこは、怒りと悔恨の間を震えのような忙しさで行き来する。
それを小説家・山上たつひこが、繊細かつ的確な言葉で切り取り、書き記していく。

山上たつひこほどの天才が、自身の絵柄について悩み、もがき続けていたという事実は、
一本の線を引くのに投入される莫大なエネルギー量と同じく、想像を絶する。
そうして作品を生み出していく著者の背景には、
悪臭を放つどぶ川が淀み、流行歌が流れ、戦前の面影を残す古都の街並みが佇む。

著者も、すでに鬼籍に入った仲間も、誰も彼もがまだ若かったあの時代、
やるせなく抱え込まれたヒリヒリとした痛みは、「青春」と呼ぶ以外にないのではないか。
本書は、天才のルーツを垣間見ることができる、貴重な一冊といえるだろう。

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