ローラ・インガルス・ワイルダーといえば、アメリカ開拓時代を生きた女性で、国民的作家として広く知られており、日本でもおなじみのテレビドラマ「大草原の小さな家」の原作者でもあります。
長年にわたり本人の作品以外にも評伝や研究書が星の数ほど発売されてきました。
しかしながら、本書はローラ本人、娘のローズの死後かなり経過してから発見された手紙や日記を元にしたローラ本人の著作物であり、前半部分の「サンフラシスコからの手紙」は日本では1980年代に発行されて長らく絶版となっていたのを、新訳再構成したものです。(訳者が本編と同じ人なので自然な感じです)
1915年(大正4年)サンフランシスコ万博見物で娘のローズ宅を訪れたローラが家で留守番をする夫アルマンゾに送った手紙が主となっており、あまりに活発すぎて路面電車から落ちて負傷したり、食べ過ぎで太った旨をローズからアルマンゾにばらされたり、生まれて初めて「海」を見て大感激する様子や、靴を脱いで海に入り「日本や中国の海岸を洗っていた海水が私の足を洗った」と感動する様子はやはりローラなのでした。
後半部分に当たる「里帰りの旅日記」は、本国でも没後半世紀以上を経た2006年の発行となっており、大変新しいものです。スマートフォンやSNS全盛の現代と、あの大草原が繋がるようでとても不思議な気がします。
旅日記はかって住んでいたサウス・ダコタ州のデ・スメットからミズーリ州のマンスフィールドへ馬車でやってきた道のりを1931年に逆向けに自動車で旅したときのものです。
すでに娘のローズはかなりの収入を安定的に得られる作家となっていたようで、2年落ちの中古車ながら600ドルもする高級車ビュイックをぽんと両親にプレゼントできるようになっていたようです。(ローラはイザベルと名付けた)
のちにローズは1万ドルの家もプレゼントした。現代では1億円くらいの価値ではなかろうか?
1931年(昭和6年)大恐慌下ではありましたが、すでに74歳と64歳の老夫婦となっていた二人が急速にモータリゼーションの波が押し寄せるアメリカをゆったりとドライブする様子は、生きるか死ぬかの大冒険に近い大草原シリーズを知るものとしてはとても不思議な感じがします。(すでに州間ハイウェイが徐々にではあるが整備されつつあった)
約30年ぶりに訪れた故郷は、干ばつと不況で疲弊しており、かっての自分たちの土地は原野に戻り、懐かしい人々に再会したローラはもう絶対会えない「とうさん」「かあさん」「メアリ」「ボースト夫妻」「キャップ・ガーランド」たちに会いたくなってしまったのでした。
一ヶ月4000キロもの旅をカーナビもエアコンもない当時のクルマで老夫婦が旅をしたことは驚異的でもあります。(日によっては現代のクルマと遜色なく400キロ以上移動している!)高齢のアルマンゾがひとりで運転していたようだ。
ちなみにガソリンは1リッター22セント程度、ビュイックの燃費はリッターあたり8.4キロメートル(換算)だったと記録しているのはいかにもローラらしい。当時の1ドルは現代の5000円〜10000円くらいの価値があったようだ。
その後、ローラも大草原シリーズが当たり、大金を手にし、さらに良いクルマで1938年にも旅をしているようなので、これらの記録が後年どこからか発見され出版されればよいなと思います。
大草原の旅 はるか ハードカバー – 2007/12/3
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本の長さ288ページ
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出版社世界文化社
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発売日2007/12/3
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ISBN-104418075267
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ISBN-13978-4418075263
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商品の説明
出版社からのコメント
『大草原の小さな家』シリーズの著者、ローラ・インガルス・ワイルダーは、生涯に九つの物語を書き上げました。本書に収録された手紙と日記は、まだ、ローラが作家になる前のものです。しかし、これらの手紙と日記から伝わる、ローラの鋭い観察眼、気取らないユーモアのセンス、読者はそこから、あの物語誕生の秘密を知ることになります。
初公開の日記と手紙が語る、ほんとうのローラ。すべてのローラファンが待ちに待った新刊です。プレゼントにも最適です。
初公開の日記と手紙が語る、ほんとうのローラ。すべてのローラファンが待ちに待った新刊です。プレゼントにも最適です。
内容(「BOOK」データベースより)
ローラが旅先から夫アルマンゾに宛てた手紙と、青春を過ごした町での追憶の旅日記。そこから伝わるローラの気取らないユーモアのセンスと鋭い観察眼。「大草原シリーズ」誕生の秘密がここにある。
著者について
1867年、アメリカ・ウィスコンシン州に生まれる。 開拓の少女時代の暮らしを生き生きと著した「小さな家シリーズ」(『大きな森の小さな家』『大草原の小さな家』『長い冬』など9冊)は、アメリカ児童文学の古典となっている。
娘ローズ・ワイルダー・レインも作家。1957年、90歳で亡くなる。
娘ローズ・ワイルダー・レインも作家。1957年、90歳で亡くなる。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
ワイルダー,ローラ・インガルス
1867年、アメリカ・ウイスコンシン州に生まれる。1957年、90歳で亡くなる
谷口/由美子
翻訳家。上智大学外国語学部英語学科卒業。アメリカに留学後、児童文学の翻訳を手がける。リトルハウス・クラブ主宰(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
1867年、アメリカ・ウイスコンシン州に生まれる。1957年、90歳で亡くなる
谷口/由美子
翻訳家。上智大学外国語学部英語学科卒業。アメリカに留学後、児童文学の翻訳を手がける。リトルハウス・クラブ主宰(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
登録情報
- 出版社 : 世界文化社 (2007/12/3)
- 発売日 : 2007/12/3
- ハードカバー : 288ページ
- ISBN-10 : 4418075267
- ISBN-13 : 978-4418075263
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Amazon 売れ筋ランキング:
- 720,135位本 (の売れ筋ランキングを見る本)
- - 182位英米文学(日記・書簡)
- - 1,333位外国のエッセー・随筆
- - 16,480位英米文学研究
- カスタマーレビュー:
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2015年7月31日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
娘のローザに万博に招待された時の話です。一人で留守番している夫に宛てた手紙で、万博の様子やローザについて色々書かれています。正直なところ、少女時代のイメージはなく(ローラの母さんのイメージもなく)、すっかり農家のおかみさんになったおばさんの”ローラ”ですから、お金の話(農家は限られたときにしか現金収入がないので・・・)が多いです。私は「最初の四年間」「わが家への道」ですっかりイメージが壊れたので、最後まで見てやろうと思って読みました。少女時代のイメージが大好きな人にはお薦めしません。万博の話より驚いたのは、この時「第一次世界大戦」の最中だったことです。確かにアメリカは参戦してないと学生時代に教えられましたが、万博まで開催していたとは・・・この時代の戦争のあり方を考えさせられました。
2010年1月4日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
サンフランシスコに住んでいる娘ローズの元へ旅行に行ったときの
ローラからアルマンゾへのお手紙と、
何十年かぶりにサウスダコダへ里帰りをしたときのローラの日記の二本立て。
ローラの旅の記録は、この2本の他に岩波から出ている「わが家への道」がありますが、
私は「わが家への道」が一番好きかも。
サンフランシスコからの手紙は、アルマンゾへ宛てた物ですが、
旅先からの手紙というものはご近所の皆さんに読んで聞かせる性質のものらしく、
日記と比べて率直さが少ないです。
ちょうど万博が開催されたときなので、詳しい模様が書かれていたり、
都会であるサンフランシスコの様子が細かく書かれています。
人を楽しませるために書いてあるものなので、ローラっぽさがあんまりない。
ただ、初めて海に足を漬けたときのこととかは、いい感じ。
あと、農場の様子やローズの生活が垣間見えるのがいい点です。
里帰りの日記の方は、簡潔なローラらしい文書で面白かったです。
グレイスとキャリーは、今回の旅で出てきてます。
とうさん、かあさん、メアリはすでに亡くなってます。
その辺りが悲しいかな。
この日記の中にこんな一文があります。
「なおさら、もういない人たちがなつかしくてたまらない。
とうさん、かあさん、メアリ、ボースト夫妻、キャップ・ガーランド」
「長い冬」を読んだときにも思ったけど、
ローラの初恋は、キャップ・ガーランドだったのかなと、思います。
読み物としては、あんまり面白くないけど、
ローラの生涯を知る手掛かりとしては、興味深い本です。
コアな大草原ファンの方にはおすすめ。
ローラからアルマンゾへのお手紙と、
何十年かぶりにサウスダコダへ里帰りをしたときのローラの日記の二本立て。
ローラの旅の記録は、この2本の他に岩波から出ている「わが家への道」がありますが、
私は「わが家への道」が一番好きかも。
サンフランシスコからの手紙は、アルマンゾへ宛てた物ですが、
旅先からの手紙というものはご近所の皆さんに読んで聞かせる性質のものらしく、
日記と比べて率直さが少ないです。
ちょうど万博が開催されたときなので、詳しい模様が書かれていたり、
都会であるサンフランシスコの様子が細かく書かれています。
人を楽しませるために書いてあるものなので、ローラっぽさがあんまりない。
ただ、初めて海に足を漬けたときのこととかは、いい感じ。
あと、農場の様子やローズの生活が垣間見えるのがいい点です。
里帰りの日記の方は、簡潔なローラらしい文書で面白かったです。
グレイスとキャリーは、今回の旅で出てきてます。
とうさん、かあさん、メアリはすでに亡くなってます。
その辺りが悲しいかな。
この日記の中にこんな一文があります。
「なおさら、もういない人たちがなつかしくてたまらない。
とうさん、かあさん、メアリ、ボースト夫妻、キャップ・ガーランド」
「長い冬」を読んだときにも思ったけど、
ローラの初恋は、キャップ・ガーランドだったのかなと、思います。
読み物としては、あんまり面白くないけど、
ローラの生涯を知る手掛かりとしては、興味深い本です。
コアな大草原ファンの方にはおすすめ。
2014年12月25日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
大草原シリーズや関連本は全て読みました。この本で高齢になったローラがアラマンゾの運転する車で、ふるさとへのドライブの、現実的なことがすごくよくわかるように書いてありました。ただ、ロマンチックじゃなく、生きているローラが見えます。ローラファンには楽しい本です。
2018年10月25日に日本でレビュー済み
万博に向かう鉄道の旅、故郷に帰る自家用車での旅…思い返せば「大きな森」を
インガルス家が離れるとき、彼らは幌馬車一台に家財道具を詰め込んで旅立った
のではなかっただろうか。
前半は西海岸でローラが体験した新しい技術や外国の食べ物(イタリアン中華
日本のモチ等)それらに対する彼女の反応が生き生きと描かれている。
対して後半は故郷に帰る旅。赤ちゃんだった妹のキャリーが、リウマチであち
こち痛くて農作業も困難になっているのが悲しかったが、ローラの只者では
ないバイタリティーやポジティブさを対照的に引き立てていた。
インガルス家が離れるとき、彼らは幌馬車一台に家財道具を詰め込んで旅立った
のではなかっただろうか。
前半は西海岸でローラが体験した新しい技術や外国の食べ物(イタリアン中華
日本のモチ等)それらに対する彼女の反応が生き生きと描かれている。
対して後半は故郷に帰る旅。赤ちゃんだった妹のキャリーが、リウマチであち
こち痛くて農作業も困難になっているのが悲しかったが、ローラの只者では
ないバイタリティーやポジティブさを対照的に引き立てていた。