90年前の世界大恐慌のときに何が起きたのか知りたくて読んだ。新型コロナウイルス感染拡大が続く2020年4月中旬の現在でも日米とも、株価は比較的回復基調だ。この本を読むと世界大恐慌のときも同じ一時的な回復が起きていたことが分かる。また、リーマンショックは銀行を中心とする信用危機であった。しかし、今回の新型コロナ危機は、ロックダウンや緊急事態宣言を伴う実体経済の悪化があり、本質的に異なる、現在のコロナ危機の中で株式市場を考える上で、この本を読み返す価値は大きい。
<この本から分かったこと>
〇大暴落の前、下落の後に何回か株価は持ち直したようだ。そのたびに株バブルに警笛を鳴らしていた少数派の人々は劣勢に立たされた。
〇1929年秋までにアメリカは不況になっていたとうのが通説。最後に株価が下落した。原因は経済で結果が株式市場なのであって、決してその逆ではない。
〇株価下落局面で魔法の言葉があった。「最悪の事態は過ぎた」「組織的な買い支え」である。
〇世界大恐慌の大暴落の特徴は、最悪の事態が最悪ではなく、さらに悪化を続けたこと。底値で拾ったと思った投資家も、その後、株価は何分の一かになった。
株価下落を伴う不況のたびに読まれてきたこの本を読むと、現在の株式市場を冷静に見ることが出来る。一時的に株価は持ち直しているが、それは期待相場と思われる。実体経済の悪化による大不況はこれからだ。目先の利益を求めて期待相場に挑むのは投機だ。底値を待って株を買うことがあっても、そこからの長いかもしれない下落に耐えられるだけのリスク許容度内に収めること。この本を読んで、この考えが確信に変わった。
大暴落1929 (日経BPクラシックス) (日本語) 単行本 – 2008/9/25
ジョン・K・ガルブレイス
(著),
村井 章子
(翻訳)
-
ISBN-104822247015
-
ISBN-13978-4822247010
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出版社日経BP
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発売日2008/9/25
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言語日本語
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本の長さ312ページ
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商品の説明
内容(「BOOK」データベースより)
会社型投資信託のブーム、レバレッジ効果、バブル紳士の跋扈。動きの鈍いFRB。今も昔も変わらない人間の織り成すバブル崩壊劇を活写する。1954年初版。
著者について
ジョン・ケネス・ガルブレイス:
1908年~2006年。カナダ出身の経済学者。主流派経済学の
狭い理論的方法の枠を脱し、時代感覚に溢れた旺盛な執筆活動
で世界的なベストセラーを量産。『アメリカの資本主義』で拮
抗力、『ゆたかな社会』で依存効果、『新しい産業国家』でテ
クノストラクチャーといった新しい概念を生み出した。ハーバ
ード大学教授のかたわら、民主党政権のブレーンを務め、ケネ
ディ政権時代にはインド大使を務めた。著書に『不確実性の時
代』、『マネー』『経済学と公共目的』など。
1908年~2006年。カナダ出身の経済学者。主流派経済学の
狭い理論的方法の枠を脱し、時代感覚に溢れた旺盛な執筆活動
で世界的なベストセラーを量産。『アメリカの資本主義』で拮
抗力、『ゆたかな社会』で依存効果、『新しい産業国家』でテ
クノストラクチャーといった新しい概念を生み出した。ハーバ
ード大学教授のかたわら、民主党政権のブレーンを務め、ケネ
ディ政権時代にはインド大使を務めた。著書に『不確実性の時
代』、『マネー』『経済学と公共目的』など。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
ガルブレイス,ジョン・ケネス
1908~2006。カナダ出身の経済学者。主流派経済学の狭い理論的方法の枠を脱し、時代感覚に溢れた旺盛な執筆活動で世界的なベストセラーを量産。『アメリカの資本主義』で拮抗力、『ゆたかな社会』で依存効果、『新しい産業国家』でテクノストラクチャーといった新しい概念を生み出した。ハーバード大学教授のかたわら、民主党政権のブレーンを務め、ケネディ政権時代にはインド大使を務めた
村井/章子
翻訳家。上智大学文学部卒業(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
1908~2006。カナダ出身の経済学者。主流派経済学の狭い理論的方法の枠を脱し、時代感覚に溢れた旺盛な執筆活動で世界的なベストセラーを量産。『アメリカの資本主義』で拮抗力、『ゆたかな社会』で依存効果、『新しい産業国家』でテクノストラクチャーといった新しい概念を生み出した。ハーバード大学教授のかたわら、民主党政権のブレーンを務め、ケネディ政権時代にはインド大使を務めた
村井/章子
翻訳家。上智大学文学部卒業(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
登録情報
- 出版社 : 日経BP (2008/9/25)
- 発売日 : 2008/9/25
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 312ページ
- ISBN-10 : 4822247015
- ISBN-13 : 978-4822247010
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- - 61位経済史 (本)
- - 117位経済思想・経済学説 (本)
- カスタマーレビュー:
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1929年10月の大暴落の前後数年の出来事を集中的に記述した本。著者のJ.K.ガルブレイスは、大恐慌の1930年代にカリフォルニア大バークレーで修士号及び博士号を取得。著者自身が経済学者としてスタートした時代の話だから実にリアルである(本書の初版は、1955年刊行)。人間の行動は簡単には変わらないことに驚く。
・周りの人々が儲け始めると「乗り遅れるな」とばかりに殺到
・皆が買うから値上がりしているだけなのに、もっともらしい理屈が後から出てきて、それが歓迎される
・警鐘を鳴らすやつはバカ扱い。当たっても、相場を暴落させた張本人と恨まれるだけ。責任ある立場の者は、マズイと思っていても何も手はうたない。バブルの最中も崩壊後も、政府は「経済のファンダメンタルズは健全」と言い続ける。
本書が描かれた1955年時点では、制度面で、グラス・スティーガル法による銀証分離、信用取引の保証金維持率の決定権をFRBに付与、証券市場を監督するSEC創設、株式上場時の情報公開など改善されたほか、社会面では、所得格差が縮小し・セーフティーネットも整備、学術面でも、財政・金融政策の重要性を経済学者が認識したから、かつてのような酷いことにはなりにくいだろうという。
とはいえ、著者も能天気ではない。最終章の最後に「バブルを潰しても、経済悪化の張本人として糾弾されるだけ。選挙を考えれば、国民が儲けてご機嫌なのにバブル潰しなど政権にはできない」旨の実に重い指摘をしている。
現在から読み直すと、グラス・スティーガル法は撤廃され(ボルカールールで別の観点から再規制されたが)、所得格差は過去20年で拡大、経済学者も1955年当時より自由主義的、しかも金融のグローバル化が進んでいる。リーマンショックはなんとか収まったが、金融崩壊のスケールは大きくなりそうな気もする。
デフレ経済には閉塞感が漂い、チャンスも少ない。「デフレよりはバブルの方がまし」と思うのも無理からぬことだし、読者自身も「自分は売り抜けて儲けられる」と内心思ったりもするのである。まあ、破滅しないように、自戒を込めて本書を時々読み返すのが身のためだ。
・周りの人々が儲け始めると「乗り遅れるな」とばかりに殺到
・皆が買うから値上がりしているだけなのに、もっともらしい理屈が後から出てきて、それが歓迎される
・警鐘を鳴らすやつはバカ扱い。当たっても、相場を暴落させた張本人と恨まれるだけ。責任ある立場の者は、マズイと思っていても何も手はうたない。バブルの最中も崩壊後も、政府は「経済のファンダメンタルズは健全」と言い続ける。
本書が描かれた1955年時点では、制度面で、グラス・スティーガル法による銀証分離、信用取引の保証金維持率の決定権をFRBに付与、証券市場を監督するSEC創設、株式上場時の情報公開など改善されたほか、社会面では、所得格差が縮小し・セーフティーネットも整備、学術面でも、財政・金融政策の重要性を経済学者が認識したから、かつてのような酷いことにはなりにくいだろうという。
とはいえ、著者も能天気ではない。最終章の最後に「バブルを潰しても、経済悪化の張本人として糾弾されるだけ。選挙を考えれば、国民が儲けてご機嫌なのにバブル潰しなど政権にはできない」旨の実に重い指摘をしている。
現在から読み直すと、グラス・スティーガル法は撤廃され(ボルカールールで別の観点から再規制されたが)、所得格差は過去20年で拡大、経済学者も1955年当時より自由主義的、しかも金融のグローバル化が進んでいる。リーマンショックはなんとか収まったが、金融崩壊のスケールは大きくなりそうな気もする。
デフレ経済には閉塞感が漂い、チャンスも少ない。「デフレよりはバブルの方がまし」と思うのも無理からぬことだし、読者自身も「自分は売り抜けて儲けられる」と内心思ったりもするのである。まあ、破滅しないように、自戒を込めて本書を時々読み返すのが身のためだ。
2020年5月18日に日本でレビュー済み
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社会人になって初めて読んだ経済関連書は、記憶ではガルブレイスの『不確実性の時代』であったと思う。大学時代授業で使ったようなガチンガチンの本ではなく、言葉を換えれば、敷居が低すぎて、なにか怪しげにさえ感じられたほどだった。
邦訳出版された1978年は私が社会に出た年であり、時代の一面を理解するには丁度いいものでもあった。当時この本は、日本では大ベストセラーとなり、゛不確実性の時代”というのが流行語にさえなった。
著者は数理的分析を根底においていないようにも思える面がある事から主流派からは異端視され、亡くなった今でもそういった雰囲気は残るようだ。だが、本著作は今現在読んでみても、的外れだとは全く感じられない。誰でも組し易い本というのは先の本と同様、ユーモアさえ交えながら書かれている。
一般に供された大恐慌に関する代表的古典と言われる良書は現在片手ほどもあるだろうが、C.P.キンドルバーガー『熱狂、恐慌、崩壊 - 金融危機の歴史』と並ぶ、代表的な著作であろう。
邦訳出版された1978年は私が社会に出た年であり、時代の一面を理解するには丁度いいものでもあった。当時この本は、日本では大ベストセラーとなり、゛不確実性の時代”というのが流行語にさえなった。
著者は数理的分析を根底においていないようにも思える面がある事から主流派からは異端視され、亡くなった今でもそういった雰囲気は残るようだ。だが、本著作は今現在読んでみても、的外れだとは全く感じられない。誰でも組し易い本というのは先の本と同様、ユーモアさえ交えながら書かれている。
一般に供された大恐慌に関する代表的古典と言われる良書は現在片手ほどもあるだろうが、C.P.キンドルバーガー『熱狂、恐慌、崩壊 - 金融危機の歴史』と並ぶ、代表的な著作であろう。
2008年11月2日に日本でレビュー済み
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自家薬籠中という言葉がありますが、この本は、練って練って、その当時を自分の中で何回も再現して見せた人だけが語れる素晴らしい著作物です。1928年から1930年にいたる月単位ともいえる記述の中で時系列的にどんどん危機が迫っているときに「状況は基本的に健全」というマントラを信じて政府もFRBも手をこまねいている姿は、まさにこれこそ世代地域を越えた人の性という感じがして心を打たれます(フーバーの一連の無目的会議などは政治的手法としてアルアルと頷いてしまいます)。そして、自らの救済が本来の目的と知りつつ、銀行が果敢にそして政府をばかにしつつ株式の買い支えを行う姿は、結果的に効を奏しなかったという点を勘定に入れても、いやそれ故に正しいのか間違っているのかを改めて読者は考えなければならないものとなっています。そして、1929 年11月4日ラモットが記者の前で発した発言「自分にはわからない」は、本当に泣かせます。
もう一つ私には、ホイットニーの件が非常に印象的でした。NY証券取引所の理事長だったホイットニーは議会証言でも強硬姿勢を貫き通したけれど自分の会社は破綻寸前で、最後は仇敵にまでに金を借りに行き、遂には人の株を担保に出し検挙される、という始末ですが、これが政府と証券界との上下関係を決定的にしたというのはなるほどそうか、と思わせるものです。大河小説並の読了感です。
もう一つ、この本の特徴を申し上げましょう。村井章子さんの翻訳が申し分ないのです。2日あれば完読できます。素晴らしい日本語です。少し前にフリードマン「資本主義と自由」の翻訳において村井氏の並々ならぬ日本語にひれ伏したばかりですが、今回も良いです。翻訳者につられるということがあるんだな〜、と思っております。是非、この名著をこの良質の翻訳で。
もう一つ私には、ホイットニーの件が非常に印象的でした。NY証券取引所の理事長だったホイットニーは議会証言でも強硬姿勢を貫き通したけれど自分の会社は破綻寸前で、最後は仇敵にまでに金を借りに行き、遂には人の株を担保に出し検挙される、という始末ですが、これが政府と証券界との上下関係を決定的にしたというのはなるほどそうか、と思わせるものです。大河小説並の読了感です。
もう一つ、この本の特徴を申し上げましょう。村井章子さんの翻訳が申し分ないのです。2日あれば完読できます。素晴らしい日本語です。少し前にフリードマン「資本主義と自由」の翻訳において村井氏の並々ならぬ日本語にひれ伏したばかりですが、今回も良いです。翻訳者につられるということがあるんだな〜、と思っております。是非、この名著をこの良質の翻訳で。
2012年3月31日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
1929年10月前後の暴落の様子を解説したもの。
バブルは必ず暴落する事。社会全体に影響を与えるものの
暫くすると忘れ去られて又バブルになる、事が説明されます。
ニューヨーク株式市場が暴落する前にフロリダで不動産市場の
バブルがあり、それが2度のハリケーンに拠って暴落する事が
あったとの説明されますがそれが株式市場暴落の原因かと
いうとそうでもなく本当の原因は誰も分からないとの事。
バブル自体に暴落する因子があったという事でしょうか。
バブルは必ず暴落する事。社会全体に影響を与えるものの
暫くすると忘れ去られて又バブルになる、事が説明されます。
ニューヨーク株式市場が暴落する前にフロリダで不動産市場の
バブルがあり、それが2度のハリケーンに拠って暴落する事が
あったとの説明されますがそれが株式市場暴落の原因かと
いうとそうでもなく本当の原因は誰も分からないとの事。
バブル自体に暴落する因子があったという事でしょうか。
2014年7月28日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
黄金の20年代の後に待っていたのは未曾有の世界恐慌だった、という話。
1929の大暴落が他と比べてなぜ突出しているか?
それは株価の下落が止まらなかったからだろう。
だれも止めることができなかったし、積極的に売りに回った。
しかし2008年のリーマンショック時、変動率はこの大暴落を上回っていた。
近い将来、過去のすべてを相克し、最も完成された完璧な市場環境が現れ、投資家が空前の成功を収める時代が来るのだろう。
それは過去のどのシステムよりも精緻で、非の打ちどころがない。
歴史を塗り替え、パラダイムシフトを成し遂げたその先に、真に未曽有のクラッシュはあるのかもしれない。
(200年に一度、いや1000年に一度というレベルで)
繰り返されると思われていた相場はループしてはおらず、今の一度も循環が閉じていない。
拍節構造のない、巨大で長い変拍子になっているのかもしれない。
1929の大暴落が他と比べてなぜ突出しているか?
それは株価の下落が止まらなかったからだろう。
だれも止めることができなかったし、積極的に売りに回った。
しかし2008年のリーマンショック時、変動率はこの大暴落を上回っていた。
近い将来、過去のすべてを相克し、最も完成された完璧な市場環境が現れ、投資家が空前の成功を収める時代が来るのだろう。
それは過去のどのシステムよりも精緻で、非の打ちどころがない。
歴史を塗り替え、パラダイムシフトを成し遂げたその先に、真に未曽有のクラッシュはあるのかもしれない。
(200年に一度、いや1000年に一度というレベルで)
繰り返されると思われていた相場はループしてはおらず、今の一度も循環が閉じていない。
拍節構造のない、巨大で長い変拍子になっているのかもしれない。