自らの命と、とうてい描ききれないと思える絵を描くことを引き換えにしたある画家の「幸福」な人生―。村山亜土の純粋な言葉の世界を表わすのに柚木沙弥郎が選択したのは、型染めでも絵でもなく、布コラージュだった。それも愛蔵の端切れを用いて。柚木作品の中で最も重要な作品でありながら私家本として刊行されたため、幻の名作となっていた本書を、限定復刊。
児童劇作家。1925年、前衛作家・村山知義の長男として誕生。成城高校在学中から作品を児童劇団に発表し、劇作家として活躍した。1984年、視覚障害者のための美術館ギャラリーTOMを開館。1986年、モービル児童文化賞、1995年、児童福祉文化賞を受賞。『なくなったあかいようふく』(福音館書店)で第50回産経児童出版文化賞を受賞。2002年逝去。主な作品に、『コックの王様』(理論社)、『新さるかに合戦』(金の星社)、『ロビン・フッドのゆかいな冒険』(共訳、岩波書店)などがある。
日本を代表する染色家。1922年生まれ。型絵染を創案した芹澤銈介に師事し、1949年に国画会デビュー。作家としての活動の他、長年にわたり女子美術大学で後進の育成に携わる。1987年からは退官するまで学長を務めた。作品は日本民藝館をはじめ、国立近代美術館など国内のさまざまな美術館に収蔵され、イギリスの国立ヴィクトリア&アルバート美術館、フランスの国立ギメ東洋美術館にもまとまったコレクションがある。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
村山/亜土
1925年、村山知義と籌子の長男として東京に生まれる。山梨県立医学専門学校を経て、1949年、成城高校(旧制)文科乙類を卒業。在学中から、児童劇「ごみためものがたり」、「動物の町」などを書き、以後、「コックの王様」、「ソフロン博士の金時計」、「天草四郎」、「鬼むかし」、などを児童劇団に発表して、児童劇作家として活躍した。1984年、視覚障害者のための「手で見るギャラリーTOM」を、妻・治江と創設。1986年、モービル児童文化賞、1996年、児童福祉文化賞を受賞。『なくなった あかいようふく』(村山知義・籌子との共著、福音館書店、第50回産経児童出版文化賞推薦作品)がある。2002年、逝去
柚木/沙弥郎
1922年、東京に生まれる。国画会会員。女子美術大学名誉教授。1946年から大原美術館に勤務。そこで「民藝」にみせられ、柳宗悦の著作を読みはじめる。1947年、芹澤〓介に師事、以後、型染めの作品を発表し続けている。布地への型染めのほか、染紙、壁紙、版画、ポスターなど、幅広いジャンルで活動。また、装幀、イラストレーションも手掛ける。1958年、ブリュッセル万国博覧会で銅賞。1991年、第1回宮沢賢治賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)