謎解きにとり憑かれた小鳩くんと、復讐を愛する小佐内さんの活躍を描く〈小市民シリーズ〉第二弾。
前作とは違い本作では、謎解きと復讐という小鳩くんと小佐内さんの抱える「業」というシリーズのテーマを踏襲しながらも、高校生たちをめぐる「日常の謎」と呼ぶには少しばかりおおきな事件に発展していきます。けれど事件の規模が「日常」からはみ出した反面、ミステリとしての出来も前作よりも上がっています。
ふたりの「業」の深さ、そして「青春」にありがちなと呼ぶにはあまりに肥大しすぎた自意識や傲慢さ。それらが本作では描かれます。結末は、やはり「青春」と一言では片付けることのできない苦い余韻を読者に残します。前半に描かれる「高校生らしい」ふたりのスウィーツめぐりの描写も楽しいのですが、それゆえに、スウィーツめぐりの裏にひそむ「高校生らしからぬ」真相が語られたとき、読者はやりきれなさを覚えるでしょう。
〈小市民シリーズ〉の第1、第3作は以下のタイトルで出版されていますが、タイトルどおり、おいしそうなスウィーツがたくさん登場するので、お腹が空くこと請け合いです。
第1作 春期限定いちごタルト事件
第3作 秋期限定栗きんとん事件(上・下)
夏期限定トロピカルパフェ事件 (創元推理文庫) (日本語) 文庫 – 2006/4/11
米澤 穂信
(著)
著者の作品一覧、著者略歴や口コミなどをご覧いただけます
この著者の 検索結果 を表示
あなたは著者ですか?
著者セントラルはこちら
|
-
本の長さ248ページ
-
言語日本語
-
出版社東京創元社
-
発売日2006/4/11
-
ISBN-104488451020
-
ISBN-13978-4488451028
よく一緒に購入されている商品
この商品をチェックした人はこんな商品もチェックしています
ページ: 1 / 1 最初に戻るページ: 1 / 1
Kindle 端末は必要ありません。無料 Kindle アプリのいずれかをダウンロードすると、スマートフォン、タブレットPCで Kindle 本をお読みいただけます。
1分以内にKindleで 夏期限定トロピカルパフェ事件 小市民シリーズ (創元推理文庫) をお読みいただけます。
Kindle をお持ちでない場合、こちらから購入いただけます。 Kindle 無料アプリのダウンロードはこちら。
Kindle をお持ちでない場合、こちらから購入いただけます。 Kindle 無料アプリのダウンロードはこちら。
商品の説明
内容(「BOOK」データベースより)
小市民たるもの、日々を平穏に過ごす生活態度を獲得せんと希求し、それを妨げる事々に対しては断固として回避の立場を取るべし。賢しらに名探偵を気取るなどもってのほか。諦念と儀礼的無関心を心の中で育んで、そしていつか掴むんだ、あの小市民の星を!そんな高校二年生・小鳩君の、この夏の運命を左右するのは“小佐内スイーツセレクション・夏”!?待望のシリーズ第二弾。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
米澤/穂信
1978年岐阜県生まれ。2001年、『氷菓』で第5回角川学園小説大賞奨励賞(ヤングミステリー&ホラー部門)を受賞しデビュー。青春小説としての魅力と謎解きの面白さを兼ね備えた作風で注目される(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
1978年岐阜県生まれ。2001年、『氷菓』で第5回角川学園小説大賞奨励賞(ヤングミステリー&ホラー部門)を受賞しデビュー。青春小説としての魅力と謎解きの面白さを兼ね備えた作風で注目される(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
登録情報
- 出版社 : 東京創元社 (2006/4/11)
- 発売日 : 2006/4/11
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 248ページ
- ISBN-10 : 4488451020
- ISBN-13 : 978-4488451028
-
Amazon 売れ筋ランキング:
- 179,759位本 (の売れ筋ランキングを見る本)
- - 583位創元推理文庫
- - 4,013位ミステリー・サスペンス・ハードボイルド (本)
- カスタマーレビュー:
こちらもおすすめ
ページ: 1 / 1 最初に戻るページ: 1 / 1
カスタマーレビュー
5つ星のうち4.4
星5つ中の4.4
80 件のグローバル評価
評価はどのように計算されますか?
全体的な星の評価と星ごとの割合の内訳を計算するために、単純な平均は使用されません。その代わり、レビューの日時がどれだけ新しいかや、レビューアーがAmazonで商品を購入したかどうかなどが考慮されます。また、レビューを分析して信頼性が検証されます。
トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
レビューのフィルタリング中に問題が発生しました。後でもう一度試してください。
2015年8月20日に日本でレビュー済み
違反を報告
Amazonで購入
7人のお客様がこれが役に立ったと考えています
役に立った
2015年5月23日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
前作の”春季限定いちごタルト事件”から1年以上経過した高校2年の夏に、小鳩くんと小佐内さんのコンビ、それに小鳩くんの友人の堂島くんの3人が、今回は少しシリアスなところがある事案に取り組みます。
小鳩くんは、自分が狐なら小佐内さんは狼だと言いますが、例えに違わず、本作で描かれる彼女の罠は周到かつリスキーで、甘いものに目がないという嗜好がチグハグに感じるほどクールです。ちょっと度が過ぎているよね、とも思いますが、そういう場合いつもならリアリティに欠けるとかなんとかレビューするのに、冷笑する小佐内さんが魅力的で、次、”秋季限定栗きんとん事件”も読まなくちゃと思うばかりでした。
ところが、ミステリもそれ以外の本も大好きなフツーの女性である妻は、小佐内さんのことを、実際にいたら気持ち悪くて付き合えないし、話も子供だましじゃないの、ミステリなのに刑事が出てこないし、と言うのです。小佐内さんは、女性にはウケないのでしょうか?
小鳩くんは、自分が狐なら小佐内さんは狼だと言いますが、例えに違わず、本作で描かれる彼女の罠は周到かつリスキーで、甘いものに目がないという嗜好がチグハグに感じるほどクールです。ちょっと度が過ぎているよね、とも思いますが、そういう場合いつもならリアリティに欠けるとかなんとかレビューするのに、冷笑する小佐内さんが魅力的で、次、”秋季限定栗きんとん事件”も読まなくちゃと思うばかりでした。
ところが、ミステリもそれ以外の本も大好きなフツーの女性である妻は、小佐内さんのことを、実際にいたら気持ち悪くて付き合えないし、話も子供だましじゃないの、ミステリなのに刑事が出てこないし、と言うのです。小佐内さんは、女性にはウケないのでしょうか?
2006年5月1日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
彼の作品は大分前からずっと追いかけていますが、この作品は個人的に最高傑作です。
やはり、彼の売りはその魅力的なキャラクターと、徹底的にロジカルなトリック、そして、青春物でありながら、最後に苦々しく心に残る毒を含んだエンディングだと思います。
今回の作品で、これらの要素がそれぞれ最高レベルに絡み合い、そして、とてつもないインパクトとして読者に伝わります。
前作の、『春季限定イチゴタルト事件』を読んでいた人ほど、キャラクターに感情移入出来るはずだし、そのキャラクターに感情移入している人ほど衝撃的なラストとなっています。
巻末の解説で小池氏も指摘していますが、この、キャラクター造詣をそのままどんでん返しに利用する手法は、まさに新たなミステリー小説のタイプだし、米澤穂信でしか書ききれないジャンルです。
彼の、ジュブナイルノベル的な魅力的キャラクター造詣や、軽妙なセリフ回しがあってこそのこのラスト。
他の作家がそうそう真似できる芸当ではありません。
今までは、ジュニア小説出身という事で文章の軽さや、リアリズムの欠如などで社会派好きの読者などには倦厭されていたかもしれませんが、この作品でこの作者は完全に一皮向けたと思います。
もしもこのまま米澤さんがこの路線でこのクオリティを維持し続けることが出来るのならば、間違いなく社会派や本格派を上回る存在となる事が出来るでしょう。
久しぶりにとてつもない才能を見せられた作品でした。
まだ読んだ事の無い方は、ぜひぜひ『春季限定いちごタルト事件』と合わせて読むことを強くお薦めします!
ちなみに、続編については期待はしたいですが、この作品はこのままであって欲しい気持ちも少しあり、複雑な心境です。それぐらいに今作のラストは衝撃的で、そこから次へ続ける事は想像を絶するほどレベルが高いと個人的に思うのです。下手に続編を出されて残念な結果にはして欲しくないし、本当に複雑です。でも出るなら読みたい!(笑)
やはり、彼の売りはその魅力的なキャラクターと、徹底的にロジカルなトリック、そして、青春物でありながら、最後に苦々しく心に残る毒を含んだエンディングだと思います。
今回の作品で、これらの要素がそれぞれ最高レベルに絡み合い、そして、とてつもないインパクトとして読者に伝わります。
前作の、『春季限定イチゴタルト事件』を読んでいた人ほど、キャラクターに感情移入出来るはずだし、そのキャラクターに感情移入している人ほど衝撃的なラストとなっています。
巻末の解説で小池氏も指摘していますが、この、キャラクター造詣をそのままどんでん返しに利用する手法は、まさに新たなミステリー小説のタイプだし、米澤穂信でしか書ききれないジャンルです。
彼の、ジュブナイルノベル的な魅力的キャラクター造詣や、軽妙なセリフ回しがあってこそのこのラスト。
他の作家がそうそう真似できる芸当ではありません。
今までは、ジュニア小説出身という事で文章の軽さや、リアリズムの欠如などで社会派好きの読者などには倦厭されていたかもしれませんが、この作品でこの作者は完全に一皮向けたと思います。
もしもこのまま米澤さんがこの路線でこのクオリティを維持し続けることが出来るのならば、間違いなく社会派や本格派を上回る存在となる事が出来るでしょう。
久しぶりにとてつもない才能を見せられた作品でした。
まだ読んだ事の無い方は、ぜひぜひ『春季限定いちごタルト事件』と合わせて読むことを強くお薦めします!
ちなみに、続編については期待はしたいですが、この作品はこのままであって欲しい気持ちも少しあり、複雑な心境です。それぐらいに今作のラストは衝撃的で、そこから次へ続ける事は想像を絶するほどレベルが高いと個人的に思うのです。下手に続編を出されて残念な結果にはして欲しくないし、本当に複雑です。でも出るなら読みたい!(笑)
2015年10月12日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
小市民シリーズ第二作。
ケーキを食べた証拠隠滅に躍起になる小鳩君に笑いが込み上げていた第一章から、あの怒濤の終盤は想像もできませんでした。
小鳩君も、小佐内さんも、三つ子の魂百までと言うべきか、『小市民』の関係をむしろ大義名分にして、自身の本質を嬉々として体現してしまう。
別れ際のシーンは胸にきます。
確かにこんな経験したらパフェが食えなくなるよ。甘すぎて……。
なお、春期に引き続き夏期でも健吾はいいやつです。良心です。
全体的にはスイーツの描写が細かく丁寧で、読んでいると柄にもなくスイーツ巡りをしたくなりました。
ケーキを食べた証拠隠滅に躍起になる小鳩君に笑いが込み上げていた第一章から、あの怒濤の終盤は想像もできませんでした。
小鳩君も、小佐内さんも、三つ子の魂百までと言うべきか、『小市民』の関係をむしろ大義名分にして、自身の本質を嬉々として体現してしまう。
別れ際のシーンは胸にきます。
確かにこんな経験したらパフェが食えなくなるよ。甘すぎて……。
なお、春期に引き続き夏期でも健吾はいいやつです。良心です。
全体的にはスイーツの描写が細かく丁寧で、読んでいると柄にもなくスイーツ巡りをしたくなりました。