文化財修理について知りたくて、この本と藪内佐斗司さんの「壊れた仏像の声を聞く」を買いました。先にこちらの本が届いたのでこちらの本を先に読みました。
仏像の修理について知りたいなら藪内佐斗司さんの本をお勧めします。
この本は仏像の修理に携わる作者が書いたエッセーです。まず、文体がすごく軽いので少しでも信仰心のある人は読まないか注意して読んでください。人として頭の悪い読者を想定して書かれたと思われる部分があります。
内容はまぁまぁ面白いです。ただ、なぜこの文体でなければならなかったのか?残念です。
このご時世、有名無名問わず仏像や文化財の修理保存を志す人間に悪い人はいません。
この本の作者も、悪い人ではないと思います。よく目を凝らすと、ふざけたようなテンションの文章のところどころに仏像に対する思いが感じられる部分もあります。
しかし如何せん文章が…面白おかしく書かないとウケないと思っているのでしょうか?或いは、信仰心や仏像を擬人化することを非科学的でかっこ悪いと思っているのでしょうか?好きなものについて熱く語るのはダサいと思っているのでしょうか?
こういった軽いノリの文章を読んで、それをそのまま寺社まで持っていくような、お寺や檀家に対して失礼な観光客が増えれなければいいな、と思ってしまいます。
大きな寺院では文化財の保護に観光収入を当てているところも多いのは事実ですが、実際に現場で仏像の修理を計画し伝えてきた人たちは貴族であれ地元の人であれ信仰心のある人々だったはずです。そして、それは今も同じだと思います。仏像の文化財たる所以はその後ろにある文化であり、人々の思いだと私は思っています。そういった古の人々の信仰心は、決してかっこ悪いものではなく、言い換えればローカルなアイデンティティーと呼べるものだと、思っています。そういうことをわかっているにも関わらずこういう軽い表現になるのは、ウケ狙いの文章じゃないと読者に面白いと思ってもらえないと思っているからでしょうか?
本の内容としては、仏像の構造や材質の違いによる修理方法の違いや、時代による仏像の造りの違いなどは興味深く、平安時代の女神像や立木観音を取り上げていたりして、私としては趣味が合わないわけではないと思うので、もっと熱い作者の胸のうちが知りたかったです。あと、読者を泥棒呼ばわりするのはいくらなんでもやり過ぎだと思う。
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壊れても仏像―文化財修復のはなし 単行本 – 2009/6/1
- 本の長さ229ページ
- 言語日本語
- 出版社白水社
- 発売日2009/6/1
- 寸法13.2 x 1.6 x 18.9 cm
- ISBN-104560031991
- ISBN-13978-4560031995
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商品の説明
出版社からのコメント
《仏像の裏側、知られざる姿》
仏像修復という仕事は、一般にはあまり知られていないが、実は仏像を見るには一番いいポジションである。著者は日本で唯一、国宝・重要文化財の仏像を修理することのできる施設、(財)美術院に在籍し、そこで実際にさまざまに壊れた仏像の修理に携わってきた。現在は独立し、古仏修理工房を設立、N P O活動による仏像・文化財修復を行なっている。その経験をいかして、一風変わった仏像の見方を紹介する。
例えば、仏像の内側はどういった構造になっているのか? 仏像の眼は何でできているのか? 壊れてバラバラになった仏像を何を使って接着するのか? といった疑問に対して、通常見ることのできない修理過程の写真やイラストを使って、修理現場ならではの立体的な説明をしている。
近年、仏像に対する関心が高まっているが、本書は修復師が解説する仏像の入門書である。
仏像修復という仕事は、一般にはあまり知られていないが、実は仏像を見るには一番いいポジションである。著者は日本で唯一、国宝・重要文化財の仏像を修理することのできる施設、(財)美術院に在籍し、そこで実際にさまざまに壊れた仏像の修理に携わってきた。現在は独立し、古仏修理工房を設立、N P O活動による仏像・文化財修復を行なっている。その経験をいかして、一風変わった仏像の見方を紹介する。
例えば、仏像の内側はどういった構造になっているのか? 仏像の眼は何でできているのか? 壊れてバラバラになった仏像を何を使って接着するのか? といった疑問に対して、通常見ることのできない修理過程の写真やイラストを使って、修理現場ならではの立体的な説明をしている。
近年、仏像に対する関心が高まっているが、本書は修復師が解説する仏像の入門書である。
内容(「BOOK」データベースより)
修復作業の現場から、仏像に関するさまざまな疑問にお答えします。修理過程の写真とイラストを使って立体的に解説。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
飯泉/太子宗
1974年生まれ。東北芸術工科大学、芸術学部(文化財保存)卒業。1997‐2003年(財)美術院国宝修理所に勤務。国宝、重要文化財の仏像の修復に携わる。2003‐2004年吉備文化財修復所に勤務。退職後、夫婦で世界一周の旅へ。およそ1年半の間、世界中の文化遺産を見て歩く。2006年、帰国。2007年特定非営利活動法人「古仏修復工房」を設立。関東を中心にNPO活動による仏像・文化財修復を行なっている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
1974年生まれ。東北芸術工科大学、芸術学部(文化財保存)卒業。1997‐2003年(財)美術院国宝修理所に勤務。国宝、重要文化財の仏像の修復に携わる。2003‐2004年吉備文化財修復所に勤務。退職後、夫婦で世界一周の旅へ。およそ1年半の間、世界中の文化遺産を見て歩く。2006年、帰国。2007年特定非営利活動法人「古仏修復工房」を設立。関東を中心にNPO活動による仏像・文化財修復を行なっている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2009年6月14日に日本でレビュー済み
本書では、仏像・文化財修復のNPO法人を主宰する飯泉太子宗氏により、地方の文化財(とりわけ仏像)の置かれた状況とその修復にまつわる話が紹介されています。地方の文化財が置かれた厳しい状況の中、地元住民とNPOが協力して地元の文化財を後世に残そうする取組には頭が下がると同時に胸のすく思いがしました。
飯泉氏は2009年現在で35歳と若く(レビュアーは修復職人は高齢だと勝手に想像していた)、仏像の構造とガンダムのプラモデルとの対比があったりして親しみを感じます(「6造り方はプラモデルと同じ―制作方法の話」P.43)。しかしながら、仏像の印相や修復技術の解説からはやはり専門家なのだと認識させられました。文章は軽快ですが、文化財に対する誠実さや修復という仕事に対しての愛情を端々に感じます。
文化財激戦区である京都・奈良と地方とでは文化財の置かれた状況は大きく異なります。地方では京都・奈良ほど文化財が観光資源として定着していません。地方自治体に文化財の専門教育を受けた人材がいることが稀なうえに、予算配分では文化財よりも住民生活が優先されるためです。文化財に対する年次予算が1万円未満という場合すらあるようです(「37修理が先か、指定が先か―指定文化財の話[1]」P.210)。
そのため、地方の文化財の保存管理は地元住民の有志に委ねられざるを得ない状況です。そうした中、集落だけで高額な修復費用を背負い込まずに広く寄付を募り、地元住人とNPOが連携して薬師堂と薬師如来像の修復を果たした茨城県石岡市菖蒲沢集落の事例は先進的であり、同じような状況にある集落住人を勇気付ける話だと思います(「39廃寺の仏像を守る―地元集落での保存管理の話」P.219)。
文化財保護関係者のみでなく、学校や地方行政関係者にもお勧めです。中学・高校の美術や道徳の教材としても使えるかもしれません。
飯泉氏は2009年現在で35歳と若く(レビュアーは修復職人は高齢だと勝手に想像していた)、仏像の構造とガンダムのプラモデルとの対比があったりして親しみを感じます(「6造り方はプラモデルと同じ―制作方法の話」P.43)。しかしながら、仏像の印相や修復技術の解説からはやはり専門家なのだと認識させられました。文章は軽快ですが、文化財に対する誠実さや修復という仕事に対しての愛情を端々に感じます。
文化財激戦区である京都・奈良と地方とでは文化財の置かれた状況は大きく異なります。地方では京都・奈良ほど文化財が観光資源として定着していません。地方自治体に文化財の専門教育を受けた人材がいることが稀なうえに、予算配分では文化財よりも住民生活が優先されるためです。文化財に対する年次予算が1万円未満という場合すらあるようです(「37修理が先か、指定が先か―指定文化財の話[1]」P.210)。
そのため、地方の文化財の保存管理は地元住民の有志に委ねられざるを得ない状況です。そうした中、集落だけで高額な修復費用を背負い込まずに広く寄付を募り、地元住人とNPOが連携して薬師堂と薬師如来像の修復を果たした茨城県石岡市菖蒲沢集落の事例は先進的であり、同じような状況にある集落住人を勇気付ける話だと思います(「39廃寺の仏像を守る―地元集落での保存管理の話」P.219)。
文化財保護関係者のみでなく、学校や地方行政関係者にもお勧めです。中学・高校の美術や道徳の教材としても使えるかもしれません。
ベスト500レビュアー
著者の飯泉太子宗氏は、東北芸術工科大学、芸術学部(文化財保存)を卒業後、百年を越える文化財修理の伝統を誇る京都の美術院国宝修理所などでの経験を経て、茨城県の桜川市に特定非営利活動法人「古仏修復工房」を設立してから木彫(仏像・神像など)の修理に携わっている。
本書の『壊れても仏像』を読むことにしたのは、前に読んだ『運慶ーその人と芸術』を読んだからである。
本書を読了して、仏像などの修復という地味な仕事を知ることによって仏像などを拝観しても、これまでと違った風景が見えるだろうと思ったからである。
本書は、素人にも判りやすく仏像などの修復を解説しながら、仏像や神像などの歴史や芸術性などにも言及していて、なかなかの良書であると評価したい。
本書を読んだことに触発され、ますます伊豆の願成就院に安置されている運慶の数少ない真作の一つである「阿弥陀如来坐像」、「不動明王二童子立像」「毘沙門天立像」を、拝観し、運慶と対峙したいとの思いが募ってきてしまった。
本書の『壊れても仏像』を読むことにしたのは、前に読んだ『運慶ーその人と芸術』を読んだからである。
本書を読了して、仏像などの修復という地味な仕事を知ることによって仏像などを拝観しても、これまでと違った風景が見えるだろうと思ったからである。
本書は、素人にも判りやすく仏像などの修復を解説しながら、仏像や神像などの歴史や芸術性などにも言及していて、なかなかの良書であると評価したい。
本書を読んだことに触発され、ますます伊豆の願成就院に安置されている運慶の数少ない真作の一つである「阿弥陀如来坐像」、「不動明王二童子立像」「毘沙門天立像」を、拝観し、運慶と対峙したいとの思いが募ってきてしまった。