5年前、2011年5月1日・・・
「東日本大震災」のおよそ2か月後、私は一人暮らしのアパートで「クモ膜下出血」を発症、6か月の入院をしたそうです。
退院後は実家に戻り、週2回の通院リハビリ(言語・理学療法)を半年と週3日のデイサービス(マシントレーニング等)を1年間続け、現在は地域の「中途障害者就労施設」で軽作業をしています。
「クモ膜下出血で6か月の入院」というのは他の方々のお話を聞くと、割と・・・いえ、かなり異例の長期入院だったようですね。
意識の戻らない期間、意識のハッキリしない期間、身体の動かない期間、それぞれが他の方よりもかなり長かったそうです。
軽度の場合、数週間から1か月程度で退院を迎えるようですし、重度の場合そのまま退院を迎えることなく・・・と言うケースが多いようですね。
ネットで「クモ膜下出血の治癒率」と言うものを目にした事があるのですが、確か・・・
「2:2:2:4」等と書かれていたと記憶しています。
2割は「完全復帰」
2割は「軽度の障害」
2割は「重度の障害」
そして残りの4割は・・・(-_-)ナムナム
Wikipediaによると・・・
~最初の出血で3分の1が死亡する。さらに血管攣縮(れんしゅく)や再出血の影響が加わり、4週間以内では約半数が、10年以内では60 - 80%が死亡すると言われている。また救命できても後遺症が残る例が多く、完全に治癒する確率はクモ膜下出血を起こした人の中で2割と低い。~
どちらも「医療機関の正式なデータ」とはどこにも書かれていなかった(と思う)ので、この数値がそのまま正しいものとは思いませんが、クモ膜下出血とはそれだけ「恐ろしい病気」と言う事の表れなのでしょう。
さて退院後に自分が「どんな状態だった」のか、まざまざと気づかされたのが・・・
まず・・・書けないんです、漢字どころか平仮名が。
読めるんですよ、漢字にルビのない小説なんかも割とスラスラと。
打てるんですよ、ブラインドタッチでパソコンが。
とにかく「書けない」んです。
特に苦手としたのが「め・ぬ・れ」「お・あ」「む」「す」「ん」等など・・・
どれがどれか解らない・・・
左右どっちに「くるっ」と丸を付ければいいか解らない・・・
くにゃくにゃ(波)幾つ付けるんだっけ・・・
幼稚園~小学校1年生位の子たちが最初にぶち当たる「平仮名の難関」ですねw
最初の行動は、リハビリ科の先生に勧められた両親が100円ショップ・ダ○ソーで購入した「ひらがなれんしゅうちょう」でした。
そして・・・覚えられないんです、人の顔と名前が。
発症前の事は割と記憶に残っているのですが、発症後にお会いした方々は・・・
退院後1年間、毎週お会いしていたデイサービスの職員さんや利用者の皆さんの顔とお名前・・・今、お一人も記憶に残っていないんです。
お世話になって3年になる、障害者就労施設の職員さんや利用者さんのお名前すら・・・連休明けには半分くらいしか思い出せないんです。
これも不思議なもので、「発症直前の記憶」も全く残っていないんです。
一人暮らしのアパートでの発症ですから、当然119番も自分でかけた・・・筈なのですが・・・携帯には履歴が残ってましたから・・・かけたんだよなぁ??
どころか、夜中の発症だったのですが、その日1日の朝からの記憶がスッポリと抜け落ちているんです。
スケジュール帳を見ると、その日の昼間は知り合いのお子さんにギター教えていたようなのですが・・・ちゃんと教えてたのか??
はい・・・私自身も作者さんと同じ「壊れた脳」を持った者です。
この本の作中にも出てきますが「高次脳機能障害」と呼ばれる非常に厄介な障害を所有しております・・・いや別に好きで持ってる訳じゃないんだけど。
私の場合、幸い身体的な「麻痺」と呼ばれるものは今のところ見受けられないのですが、やはり「見えない障害」は多々あります。
平衡感覚がおかしく、杖なしでは両足を揃えて立てない(平衡感覚障害)
両目とも左半分が全く見えない(左半側空間無視)
地図を見ながら実際に歩いたり、トイレや店から出ると自分がどっちから来たのか分らない(空間認知能力低下)
考えてからの動作が遅い。
そして、高次脳機能障害です。
さて、文頭の「6か月の入院をしたそうです。」
「しました」ではなく「したそうです」なのは・・・
・・・ホントに入院してたんだっけ??
どんな部屋で、どんなベッドで、どんな食事で、どんなリハビリしていたのか・・・「うろ覚え」や「ど忘れ」ではなく、入院していたという記憶が完全に「無」なんです。
退院後の通院リハビリの時、何人もの入院患者のオバアちゃ・・・ご高齢のオネエさま方に毎回「ま~こんなに元気になって~」と声を掛けられ、握手を求められていたので、きっと入院していたのでしょう。
・・・いったい入院中、何やってたんだ?私は(汗)
私の通院リハビリに付き添っていた両親の困った顔・・・はい、お気持ちお察しいたします(汗)
私の身体・精神の障害、もうこれ以上の「手術や治療による回復」は見込めないそうです。
あとは・・・
少しでも「改善出来る箇所」を探し・・・
少しでも「この身体で出来ること」を探す・・・
のが、今の自分に残された「やれること」なのだと思っています。
え~、長くなりましたが・・・
くも膜下出血なんて、ドラマや映画ではたまに聞くけど「まさか自分の身に降りかかってくるなんて!」・・・普通、思いませんよね。
実際、救急隊員さんが実家の両親に連絡をした時・・・うちの親に「オレオレ詐欺」だと疑われ、全く信じてもらえなかったそうですから・・・
他にも、本が一冊書けそうなエピソード満載の5年間でしたよ~残念ながら「文才ゼロ」なので出版は無理ですがw
手術・リハビリの効果で奇跡的に「考えられ」「動ける」状態にまで回復したとは言え・・・
あと何年、思い通りに身体が動いてくれるのか・・・
あと何年、しっかり物を考える力が持続してくれるのか・・・
そして
あとどのくらいの寿命(余命)があるのか・・・
決して「軽度とは呼べないレベル」のくも膜下出血を患ってしまった私にとって、こればかりは文字通り「神のみぞ知る」ですからね。
えっ、本のレビュー??
スミマセン、まだ半分しか読んでません・・・
ほらっ、私自身が「壊れた脳」なので、思い立った時に書いとかないと忘れちゃうんですよぉ!!(汗)
・・・って言い訳でご勘弁を~m(__)m
{追記}
先ほど、最後まで読みおわりました。
私はkindleで読んでいるのですが・・・
kindleには「ハイライト」という機能があります。
これは、気になった文章にマークを付けるという機能。
この本、ハイライトだらけになってましたw
もちろん、どれも参考になる文章の連続だったのですが、その中で「これは!!!!」という一節がありました。
~周囲に存在する物に触れる事で、物との距離感を得ると、地球上で自分が存在している位置のようなものが体感でき、平衡感覚がそれによって代償できるのである。~
私自身、平衡感覚に障害があり「杖」を使っての歩行を強いられています。
部屋の中などでは杖を使わずに生活しているのですが、道路ではとにかく「気づくと右に曲がっている。そして右に倒れる。」という、かなり危険な症状を持っています。
例えば、歩きなれた道で道路の反対側にコンビニを目視。
「あ~帰りにコンビニ寄らないとなぁ~」
気づくと、いつの間にか車道の真ん中に立っている・・・実際にあった事です。
一昔前にスポーツバラエティ等で流行った「額にバットを当てて10回回ると、まっすぐ歩けない」、あれが24時間続いてると言えば解りやすいでしょうか?
お酒を飲まれる方には「ベロベロに酔っ払ってまっすぐ歩けない、座っていても気を抜くと転げ落ちてしまう」・・・あんな感じがずっと続いている、という説明が解りやすいでしょう。
※説明しておいてなんですが、私自身は元々アルコールは全く飲まないので、その感覚は今一つ解らないんですけどねw
無意識に重心を中央に持って行くという行動が、障害の為に不可能になっているのだと思います。
しかし、これが・・・
杖をつかないと、明らかな「ヨタヨタ歩き」なのですが、杖をつくとむしろ普通の人よりも速足で歩けます・・・たぶん走れます・・・やりませんがw
杖をついて歩いている私を見て、私の障害を知らない人は「普通に歩いてるじゃん。杖なんて必要あるの?」と言います。
実際、普通に歩いているよう見えるのでしょう。
杖をついて3年になる私自身、なぜ杖を持つだけで「全く普通に」歩けるのか、ずっと疑問でした。
その答えは、まさに「周囲に存在する物に触れる事で、物との距離感を得ると、地球上で自分が存在している位置のようなものが体感でき~」なのです。
私は、知らず知らずのうちに「杖」を通して「地球そのものに触れていた」のでしょう。
「地面」という情報から、私の失われた平衡感覚を代償していたようです。
それから、何とか杖なしでまっすぐに歩く練習をしてみたのですが・・・どうやら、杖は「生涯のパートナー」になりそうです。
まぁ、歩くたびに「地面とお友達」もしくは「車とお友達」になるよりは、よほど前向きなのかなw
私にとって、この本は「知らなかった自分自身の発見」そして「体感していた自分自身の再確認」になりました。
脳の病気によって「高次脳機能障害」に悩み苦しむ方は、多数いらっしゃると思います。
高次脳機能障害で悩んでいる方々、そしてご家族の方々に是非、読んで頂きたい書籍です。
作中にも書かれていますが、全ての方の症状が同じではないと思います。
でも、この本の中の何か1節でも気になる部分があれば、それだけでも読む価値はあるのではないでしょうか。
読み返してみると、とんでもなく長文のレビューになってしまいました・・・中学の読書感想文を思い出すなぁ・・・
もし、このレビューを最後まで読んで頂いた方がいらしたら・・・え~っと、長くてスミマセン m(__)m
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壊れた脳 生存する知 単行本 – 2004/2/27
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「からっぽになった脳」を少しずつ埋めていく「成長のし直し」の記録!
3度の脳出血、その後遺症と闘う医師の生き方!
靴のつま先とかかとを逆に履こうとする。食事中、持っていた皿をスープ皿の中に置いてしまう。和式の便器に足を突っ込む……。なぜこんな失敗をしでかすのか、自分でもさっぱりわからなかった。
「何やってんだろう、私」
そう。高次脳機能障害の本当のつらさがここにある。おかしな自分がわかるからつらい。知能の低下はひどくないので、自分の失敗がわかる。失敗したとき、人が何を言っているかもわかる。だから悲しい。いっこうにしゃんとしてくれない頭にイライラする。度重なるミスに、われながらあきれるわ、へこむわ、まったく自分が自分でいやになる。――(第3章より抜粋)
本書は医学的にも稀有な、貴重な記録である。
本書の内省の対象は、自分自身の心の障害である。壊れた脳が作り出す、自分の心のほころびについて率直に語っている。言うまでもないことだが、心という現象は主観的なものであり、本人以外には経験できない。(中略)自分がどういう状態にあり、どんな手助けをしてほしいのかなどということを周囲に教えてくれるわけではない。本人自身が薄闇の中にあり、そんなことはできないのである。その薄闇にある自分の障害と向き合い、その内容を教えてくれるのが本書である。
――神戸学院大学人文学部教授 山鳥重 「解説」より抜粋
3度の脳出血、その後遺症と闘う医師の生き方!
靴のつま先とかかとを逆に履こうとする。食事中、持っていた皿をスープ皿の中に置いてしまう。和式の便器に足を突っ込む……。なぜこんな失敗をしでかすのか、自分でもさっぱりわからなかった。
「何やってんだろう、私」
そう。高次脳機能障害の本当のつらさがここにある。おかしな自分がわかるからつらい。知能の低下はひどくないので、自分の失敗がわかる。失敗したとき、人が何を言っているかもわかる。だから悲しい。いっこうにしゃんとしてくれない頭にイライラする。度重なるミスに、われながらあきれるわ、へこむわ、まったく自分が自分でいやになる。――(第3章より抜粋)
本書は医学的にも稀有な、貴重な記録である。
本書の内省の対象は、自分自身の心の障害である。壊れた脳が作り出す、自分の心のほころびについて率直に語っている。言うまでもないことだが、心という現象は主観的なものであり、本人以外には経験できない。(中略)自分がどういう状態にあり、どんな手助けをしてほしいのかなどということを周囲に教えてくれるわけではない。本人自身が薄闇の中にあり、そんなことはできないのである。その薄闇にある自分の障害と向き合い、その内容を教えてくれるのが本書である。
――神戸学院大学人文学部教授 山鳥重 「解説」より抜粋
- 本の長さ258ページ
- 言語日本語
- 出版社講談社
- 発売日2004/2/27
- 寸法13.5 x 2 x 19.5 cm
- ISBN-104062122685
- ISBN-13978-4062122689
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商品の説明
内容(「BOOK」データベースより)
三度の脳出血、その後の後遺症と闘う医師の生き方。
内容(「MARC」データベースより)
脳を病んでも心も知能も壊れていない。私の脳は左脳と前頭葉の一部が壊れている。だから遠近感がない、服がうまく着られない-。3度の脳出血後の脳が見る世界を赤裸々に綴り、医者として分析。後遺症と闘う医師の貴重な記録。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
山田/規畝子
1964年、香川県高松市に生まれる。東京女子医科大学在学中に一過性虚血発作と脳出血を起こす。「モヤモヤ病」の持病が発覚したが、後遺症もなく卒業。整形外科医として同大学附属病院に勤務。二六歳で郷里の大学病院に転勤、三〇歳で長男を出産。三三歳で父親が院長を務めていた山田整形外科病院の院長になる。三四歳のときの脳出血に脳梗塞を併発。「高次脳機能障害」となり、外科医への復帰は断念するが、高次脳機能障害のリハビリ医としての研修を兼ねて愛媛県の伊予病院に勤務。三七歳で三度目の脳出血を起こし、巨大血腫を摘出。さまざまな後遺症や薬の副作用に苦しみながらも、自ら考え出したリハビリで快方に向かい、今治市の老人保健施設の施設長として社会復帰を果たす。その後、夫と離婚、今後はひとり息子と二人三脚の暮らしをしながら、新たな側面から脳機能障害に取り組む予定(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
1964年、香川県高松市に生まれる。東京女子医科大学在学中に一過性虚血発作と脳出血を起こす。「モヤモヤ病」の持病が発覚したが、後遺症もなく卒業。整形外科医として同大学附属病院に勤務。二六歳で郷里の大学病院に転勤、三〇歳で長男を出産。三三歳で父親が院長を務めていた山田整形外科病院の院長になる。三四歳のときの脳出血に脳梗塞を併発。「高次脳機能障害」となり、外科医への復帰は断念するが、高次脳機能障害のリハビリ医としての研修を兼ねて愛媛県の伊予病院に勤務。三七歳で三度目の脳出血を起こし、巨大血腫を摘出。さまざまな後遺症や薬の副作用に苦しみながらも、自ら考え出したリハビリで快方に向かい、今治市の老人保健施設の施設長として社会復帰を果たす。その後、夫と離婚、今後はひとり息子と二人三脚の暮らしをしながら、新たな側面から脳機能障害に取り組む予定(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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2020年2月6日に日本でレビュー済み
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この山田ドクターのあっさりした性格が好きです。
高次脳機能障害という病気の方と職業柄、今まで関わってきましたが、
このドクターの本を読んで謎が解けました。
この本は詳細に、病気の症状やその時の気持ち、どうしてほしいのかまで書かれていますのでかなり勉強になりますし、目から鱗の文面がいくらでもあります。
何しろ、全員に分かりやすく上手に説明されてきた先生なんでしょうね、本もかなり分かりやすくスムーズに読めます。子どもで「なるほど」と感心しながら読むのではないでしょうか?
シンプルで且つユーモアにも溢れています。
お人柄がかなり良いかたなんだろうなと思います。
いつまでも応援したくなるようなドクターです。
高次脳機能障害という障害を詳しく知れるチャンスの本です。
高次脳機能障害という病気の方と職業柄、今まで関わってきましたが、
このドクターの本を読んで謎が解けました。
この本は詳細に、病気の症状やその時の気持ち、どうしてほしいのかまで書かれていますのでかなり勉強になりますし、目から鱗の文面がいくらでもあります。
何しろ、全員に分かりやすく上手に説明されてきた先生なんでしょうね、本もかなり分かりやすくスムーズに読めます。子どもで「なるほど」と感心しながら読むのではないでしょうか?
シンプルで且つユーモアにも溢れています。
お人柄がかなり良いかたなんだろうなと思います。
いつまでも応援したくなるようなドクターです。
高次脳機能障害という障害を詳しく知れるチャンスの本です。
ベスト500レビュアー
Amazonで購入
「モヤモヤ病」という基礎疾患を持ち、3度の脳出血を生き抜いた整形外科医が、「外」からはうかがい知れぬ自分の病状や回復状況を言語化し、さらには高次脳機能障害者の視点で医療や地域について語る。「当事者研究」の書と言ってよいだろう。
医師として科学のトレーニングを受けてきたゆえだろう、冷静で分析的な筆致である。人によっては「悲惨」と思うような事柄も淡々と、他人事のように描く。高次脳機能障害者やその関係者、さらには脳科学の研究者にはとても参考になりそうだ。
ただ、著者は、例えば障害を持つようになってからも、医師である義兄の関連病院で仕事を続けられており、そのような恵まれた環境は一般的ではないだろうな、そこは参考になりにくいなと思う。
医師として科学のトレーニングを受けてきたゆえだろう、冷静で分析的な筆致である。人によっては「悲惨」と思うような事柄も淡々と、他人事のように描く。高次脳機能障害者やその関係者、さらには脳科学の研究者にはとても参考になりそうだ。
ただ、著者は、例えば障害を持つようになってからも、医師である義兄の関連病院で仕事を続けられており、そのような恵まれた環境は一般的ではないだろうな、そこは参考になりにくいなと思う。
2016年2月8日に日本でレビュー済み
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父が2度目の梗塞を起こし、後遺症は非常に軽いものの、自身含め今後のことを考え、高次機能障害に関する著書を読み始めるにあたり、こちらはリハビリ担当の方から勧めれたものです。健常者には当たり前なことが、高次機能障害を持つとどのように変化するのかを知ることが出来ました。
よく耳にする内容も書かれていますが、もっと深く、細かな点、微妙な部分を知ることが出来ました。是非、多くの人たちに読んでほしいと思います。
理解を少しでも深めることで、対応の仕方を変えたり、思いついたり、サポートする側がイライラするのでは無く受け入れに変わり、今の私は父への対応が以前より優しくなれたように思います。できる限り、家族で対応していこうとの意欲につながりました。
こちらは、医師が書かれていることもあり、とても内容に入りやすく興味をそそる文章になっています。
よく耳にする内容も書かれていますが、もっと深く、細かな点、微妙な部分を知ることが出来ました。是非、多くの人たちに読んでほしいと思います。
理解を少しでも深めることで、対応の仕方を変えたり、思いついたり、サポートする側がイライラするのでは無く受け入れに変わり、今の私は父への対応が以前より優しくなれたように思います。できる限り、家族で対応していこうとの意欲につながりました。
こちらは、医師が書かれていることもあり、とても内容に入りやすく興味をそそる文章になっています。
2018年11月26日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
壊れた脳により見えている世界観がかわる。そこには我々人間姓などもなく、まるで脳に操られるように行動、感情、感覚などが正常な脳の機能がある人とは違うことに衝撃的であり、筆者の聡明さ、強さ、生きようと、いや、目の前の状況をどうすれば?いいのかと懸命に努力されている姿、思いに思わず涙がこぼれ、そして頑張って!と頭が下がりました。誰にでもそうなることはある!人生のなかで何が起きても可笑しくない!でもこんな見えかたが起きても、こうして生き抜くすばらしい人を皆の頭の中にあればいつかどこかで誰かの役にたつと、この本は姉妹や友人たちにも贈ろうと思いました。私も誰かのために一生側に置いておきたいと。それだけに残念なのが、古本でかったのですが、あちらこちらにボールペンの赤色で丸や線が引かれていました。古本屋さんによりましては
中は綺麗です!とご親切なお店がほとんどですが、ここの古本屋からは二度と買うつもりはありません!人の線が気になってしまって。それなら買っていません。残念です。
中は綺麗です!とご親切なお店がほとんどですが、ここの古本屋からは二度と買うつもりはありません!人の線が気になってしまって。それなら買っていません。残念です。
2016年8月10日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
高次脳機能障害を負った女医さんの著書ということで、
実体験でどのような問題・困難が生じるのかが記されている。
自分はケアする側の人間であり、闘病する方々と接する機会もあったが、
読み進めるうちに、気持ちをくみとりきれていなかったなぁと痛感した。
医療従事者でも、「高次脳機能障害」という言葉は知っていても、
当人たちの苦悩や自裁の症状を知らない方々も多い。
高次機能障害者が同じ症状を呈しているわけではないが、
医療従事者や当事者家族にはぜひ読んでほしいと感じた。
実体験でどのような問題・困難が生じるのかが記されている。
自分はケアする側の人間であり、闘病する方々と接する機会もあったが、
読み進めるうちに、気持ちをくみとりきれていなかったなぁと痛感した。
医療従事者でも、「高次脳機能障害」という言葉は知っていても、
当人たちの苦悩や自裁の症状を知らない方々も多い。
高次機能障害者が同じ症状を呈しているわけではないが、
医療従事者や当事者家族にはぜひ読んでほしいと感じた。
2014年8月13日に日本でレビュー済み
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高次脳機能障害という障害はほとんど知らなかった。この本を読み始めてその深刻さを教えてもらった。深刻さというのはその病状もそうだが
むしろ周囲の無理解や批判であろう。
左脳が損傷してしまうことによる影響がいかなるものかは著者のこの本で初めてリアルにわかった。多くの人(研究者を含めて)は、あるいは
知識として知ってはいても本人の感覚はどのようなものかは知らないであろう。
この状況に陥った著者の苦悩はどれほどのものか。想像するのは 本当に困難である。
しかし その中で もがき苦しみながら 著者が懸命に生き抜いていく姿が印象的である。
高次脳機能障害者とその家族がこの本を読み勇気をえてほしいと願う。
むしろ周囲の無理解や批判であろう。
左脳が損傷してしまうことによる影響がいかなるものかは著者のこの本で初めてリアルにわかった。多くの人(研究者を含めて)は、あるいは
知識として知ってはいても本人の感覚はどのようなものかは知らないであろう。
この状況に陥った著者の苦悩はどれほどのものか。想像するのは 本当に困難である。
しかし その中で もがき苦しみながら 著者が懸命に生き抜いていく姿が印象的である。
高次脳機能障害者とその家族がこの本を読み勇気をえてほしいと願う。