銀行が合併する。支店が次々と閉店する。ATMが減っていく。採用人数も急減する。銀行の経営は曲がり角に来ていることは、分かったような気がしていた。ただ、それは、経営環境が厳しいからなのだろうと漠然と思っていたからだった。
しかし、本著は、地銀の不祥事や経営統合などの「舞台裏」を関係者らの証言やデータから描き、地銀の窮状を明らかにしている。根底には、日銀のマイナス金利政策があるが、金融政策の不作為、政治家の人気取り政策が、地銀を甘やかしていたようだ。こうした積み重ねによって、日本国債を買ってさえいればとりあえず安泰だった銀行経営が、シロアリに食われる家のように土台から少しずつ崩れていることを描いている。その影響は大きく、スルガ銀行の不正融資、地銀を襲う廃業の危機、人材の離反、再建・再編などが表面化してきている。惨状とも言える地銀の現状は、預金の不安、金融に対する信頼感・安心感の喪失が、現実となるかもしれないという「恐怖」を抱かせる。特に地方ではその懸念は現実になりつつある。効率化の名目でメガバンクの支店が急減する中、住民や中小企業は地銀が頼りだ。しかし、地銀の経営基盤が蝕まれ、その支店も減っていき、銀行そのものが無くなる恐れが高まる…。本著で指摘される現状がそのまま続けば、金融サービスは地方から確実に劣化していくだろう。
地銀再生の処方箋めいた動きも取り上げているが、特効薬にはなりそうもないと感じた。再生、生き残り策をどう真剣に模索し実現できるか、徹底的に模索できる人材をどう育てていくか、経営者がいかに腹を括って銀行経営を改革していくか、など難題は山積みだ。
生産も消費も縮小していく傾向にある人口減少社会。日本人が初めて体験する社会状況の中、地銀のみならず、メガバンクも含めて、銀行はこれまでのようなビジネスモデルに頼っては、生き残れないことを再認識させられた。ただ、このことは、銀行業界だけのことではないことも事実だと思うが。
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地銀波乱 (日本経済新聞出版) Kindle版
◆不良債権問題や金融ビッグバンにより都銀・長信銀が再編されたときも抜本的な対策が取られず温存された日本の地方銀行。融資案件不足や長期にわたる低金利で収益が細り存在意義が問われるなか、金融庁から事業性融資の拡大を求められたこともあり、質の悪い融資、アパートローン、ノンバンク業務などで焦げ付きが起き、いま問題が噴出している。
◆本書は、全国の日経記者が連携し、地方銀行の実態を深掘り取材した成果をまとめるもの。設立20年をむかえた金融庁による行政が適切だったのかについても問うことになる。スルガ銀行のシェアハウス向け個人融資は問題の一端に過ぎず、程度の差こそあれ、多くの地方銀行で同じような問題が起きつつある。地域金融の関係者の必読書となる一冊。
◆本書は、全国の日経記者が連携し、地方銀行の実態を深掘り取材した成果をまとめるもの。設立20年をむかえた金融庁による行政が適切だったのかについても問うことになる。スルガ銀行のシェアハウス向け個人融資は問題の一端に過ぎず、程度の差こそあれ、多くの地方銀行で同じような問題が起きつつある。地域金融の関係者の必読書となる一冊。
- 言語日本語
- 出版社日経BP
- 発売日2019/4/8
- ファイルサイズ7294 KB
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商品の説明
内容(「BOOK」データベースより)
2018年に発覚し世間を騒がしたスルガ銀行の不正融資―しかし、それは氷山の一角に過ぎない。全国にある106の地方銀行の多くは連続した赤字に苦しんでいる。暴走するアパートローン、「不良債券」という名の爆弾、人材の枯渇、モラトリアム法の負の遺産…行き詰まる地銀に活路はあるのか?日経記者が総力を挙げて取材する。 --このテキストは、paperback_shinsho版に関連付けられています。
登録情報
- ASIN : B07QGRR3D9
- 出版社 : 日経BP (2019/4/8)
- 発売日 : 2019/4/8
- 言語 : 日本語
- ファイルサイズ : 7294 KB
- Text-to-Speech(テキスト読み上げ機能) : 有効
- X-Ray : 有効
- Word Wise : 有効にされていません
- 本の長さ : 207ページ
- Amazon 売れ筋ランキング: - 186,831位Kindleストア (の売れ筋ランキングを見るKindleストア)
- - 9,312位投資・金融・会社経営 (Kindleストア)
- - 22,777位ビジネス・経済 (Kindleストア)
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2019年4月16日に日本でレビュー済み
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20人のお客様がこれが役に立ったと考えています
役に立った
2019年5月20日に日本でレビュー済み
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過去から現在に至る地銀の置かれた状況を、実例を中心に記述されており、分かり易く、読みやすい本です。
特段の主義主張が反映されておらず、ひたすら状況を客観的に書かれている為に、余計に地銀の苦しさが理解出来ると思います。
日経新聞社のチームでの著作の為か、ひたすら幅広く実例が記載される一方で、やや深堀に欠ける点や主義主張が見当たらない事からの多少淡白な印象が有ります。しかし、内容は充実しているように思え、地銀をはじめとする金融業界の実情を理解するのに十分役立つ本でした。
さすが、「日本経済新聞社の本」と思えた書物です。静かに、良い本でした。
特段の主義主張が反映されておらず、ひたすら状況を客観的に書かれている為に、余計に地銀の苦しさが理解出来ると思います。
日経新聞社のチームでの著作の為か、ひたすら幅広く実例が記載される一方で、やや深堀に欠ける点や主義主張が見当たらない事からの多少淡白な印象が有ります。しかし、内容は充実しているように思え、地銀をはじめとする金融業界の実情を理解するのに十分役立つ本でした。
さすが、「日本経済新聞社の本」と思えた書物です。静かに、良い本でした。
ベスト1000レビュアー
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日経新聞の記事や連載をまとめたもので、注目を浴びたスルガ銀行とアパートローンの問題にかなりの部分が充てられているが、その他の部分はやや散漫でまとまりを欠く。
しかし、多数の記者の取材による全国の地銀に関する情報は、地銀全般の置かれた苦境を概観するのに有益である。
それにしても、1990年代のバブル崩壊や2000年代のリーマンショックなどの金融危機から銀行業界はまだ脱しきれておらず、かえって長引く超低金利政策の下で本業の収支が悪化し、リスクの大きい投資に依存せざるを得なくなっている。
アベノミクスで史上最長の好景気などといっても、その実態は不正常な超低金利政策の長期化と政府による株価操作そのものの投信買い支えで無理に好景気を演出し続けているのであり、バブル崩壊のような破綻を回避してソフトランディングできるかどうかは全く不透明である。
銀行業界にとって超低金利政策は本業の収支を悪化するものではあるが、金利を上げると体力のない企業が大量倒産して不良債権が増加するため、超低金利政策を続けざるを得ないという。そのため、企業融資から個人融資に転換して成功したかに見えたのがスルガ銀行だったのだが、その行き着く先は回収の見込みのないアパートローンの増加と銀行の組織ぐるみのずさん審査の横行だった。このアパートローンをめぐっては、アパートの借り手がつかずにローンを返済できないオーナーが被害者として報道されたが、本書では「法人スキーム」による錬金術のような融資の引き出しで数十億円の資産家となった個人投資家の話なども紹介されており、金融政策の歪みがよくわかる。
本書は最終章で地銀の活路として「草の根金融」に立ち返り、そのために創意工夫を発揮している例をいくつか紹介しているが、それらはまだ小さな端緒にすぎず、苦境脱出の展望にはほど遠い。
しかし、多数の記者の取材による全国の地銀に関する情報は、地銀全般の置かれた苦境を概観するのに有益である。
それにしても、1990年代のバブル崩壊や2000年代のリーマンショックなどの金融危機から銀行業界はまだ脱しきれておらず、かえって長引く超低金利政策の下で本業の収支が悪化し、リスクの大きい投資に依存せざるを得なくなっている。
アベノミクスで史上最長の好景気などといっても、その実態は不正常な超低金利政策の長期化と政府による株価操作そのものの投信買い支えで無理に好景気を演出し続けているのであり、バブル崩壊のような破綻を回避してソフトランディングできるかどうかは全く不透明である。
銀行業界にとって超低金利政策は本業の収支を悪化するものではあるが、金利を上げると体力のない企業が大量倒産して不良債権が増加するため、超低金利政策を続けざるを得ないという。そのため、企業融資から個人融資に転換して成功したかに見えたのがスルガ銀行だったのだが、その行き着く先は回収の見込みのないアパートローンの増加と銀行の組織ぐるみのずさん審査の横行だった。このアパートローンをめぐっては、アパートの借り手がつかずにローンを返済できないオーナーが被害者として報道されたが、本書では「法人スキーム」による錬金術のような融資の引き出しで数十億円の資産家となった個人投資家の話なども紹介されており、金融政策の歪みがよくわかる。
本書は最終章で地銀の活路として「草の根金融」に立ち返り、そのために創意工夫を発揮している例をいくつか紹介しているが、それらはまだ小さな端緒にすぎず、苦境脱出の展望にはほど遠い。
2019年7月2日に日本でレビュー済み
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私は金融機関人(地銀ではない)であるが、
日々の営業の中で地銀の低レート及び与信判断の甘さに手を焼いている(もちろん利率をとり、堅い与信判断するところもある)。
本書は何年後かに訪れる景気後退期にまた読みたい一冊。
各所及び金融庁からエクセレントカンパニーとされていた銀行が、メッキを剥がせば貸出金の中身はボロボロ。
まだ顕在化していない銀行もあると思う
景気後退期の資産査定に耐えうるのか
こうした時にまた血税が注がれる一方、堅実経営の銀行には何の配慮もないのかと思うと、悲しさも出てくる。
一線を超え拡大路線を走ったものだけが援助されるのかと。
ただ、バブル崩壊後の金融不安による混乱も避けなければならないのも事実で、金融機関人としてはやむを得ないとも感じる。
重ねてになるが、景気後退期に厳しい状態となる銀行を観ながら、再度読みたい良書であった。
危機は本人の知らないところでスタートしている。金融機関の経営者は常に景気後退期を意識しつつ経営してほしい。
雨の日に傘をさしてあげる
それこそが、バンカーとしての矜持ではないか。
日々の営業の中で地銀の低レート及び与信判断の甘さに手を焼いている(もちろん利率をとり、堅い与信判断するところもある)。
本書は何年後かに訪れる景気後退期にまた読みたい一冊。
各所及び金融庁からエクセレントカンパニーとされていた銀行が、メッキを剥がせば貸出金の中身はボロボロ。
まだ顕在化していない銀行もあると思う
景気後退期の資産査定に耐えうるのか
こうした時にまた血税が注がれる一方、堅実経営の銀行には何の配慮もないのかと思うと、悲しさも出てくる。
一線を超え拡大路線を走ったものだけが援助されるのかと。
ただ、バブル崩壊後の金融不安による混乱も避けなければならないのも事実で、金融機関人としてはやむを得ないとも感じる。
重ねてになるが、景気後退期に厳しい状態となる銀行を観ながら、再度読みたい良書であった。
危機は本人の知らないところでスタートしている。金融機関の経営者は常に景気後退期を意識しつつ経営してほしい。
雨の日に傘をさしてあげる
それこそが、バンカーとしての矜持ではないか。
ベスト1000レビュアー
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日銀のマイナス金利政策、YCC政策で地方銀行の収益構造が歪められている。また金融庁は地銀をはじめとする地域金融機関には、大手銀行のような厳しい経営改革を迫らず、ダブル・スタンダードの金融行政を行ってきた。
その結果、世界経済が景気後退の淵にいるいま、何が起ころうとしているのだろう?
超低金利や人口減少で地銀を取り巻く経営環境が厳しさを増した結果、スルガ銀行の暴走や「メガ大家」を産んだサラリーマンのアパートローン問題が出てきた。
日銀のジャブジャブの金融緩和で、日本の地域金融で進む不動産投資への過剰な信用創造が起こった。将来的に金利が上がったり、空室が増えれば不動産の価格は下がり、巨額の融資は不良債権になる可能性がある。臨界点は静かに、着実に近づいている。
2009年12月に施行されたモラトリアム法は企業の連鎖倒産を防ぐため、返済猶予で時間稼ぎをするためにつくられたが、結局、企業の新陳代謝を阻む副作用でゾンビ企業を温存することになった。
一方、貸出し金利の低下は地銀の収益力を奪ったが、皮肉にもゾンビ企業を延命させる結果になった。
地銀の保有する日本国債はいま大量償還期にある。金利が上昇した場合のリスク量について金融庁の調査によれば、地銀がメガバンクなど大手銀行の3倍を超える。その結果、地銀は国債の保有量を急速に減らしている。
その代わりに流行りだしたのが「私募投信」「ローン旦保証券(CLO)」「アクティブ・ポートフォリオ運用」「融資ファンド」といったさまざまな運用手法である。
最近のBloombergニュースによれば
>金融庁は昨年末以降の米レバレッジドローン市場の過熱を背景に、国内金融機関のCLO投資への監視を強化。特に残高の大きかった農林中央金庫、ゆうちょ銀行、MUFGの資産管理状況を注視している。一方の日銀も、19年度の金融機関に対する考査方針にCLO保有リスクの点検を盛り込んだ。
米国、欧州が金融緩和に舵を切った現在、日銀が出口戦略に向かう窓は閉じられた。米中貿易戦争を引き金に景気が後退局面に入れば、日本の金融システムにおける潜在的なリスクが爆発するマグマが溜まりつつあるようだ。
その結果、世界経済が景気後退の淵にいるいま、何が起ころうとしているのだろう?
超低金利や人口減少で地銀を取り巻く経営環境が厳しさを増した結果、スルガ銀行の暴走や「メガ大家」を産んだサラリーマンのアパートローン問題が出てきた。
日銀のジャブジャブの金融緩和で、日本の地域金融で進む不動産投資への過剰な信用創造が起こった。将来的に金利が上がったり、空室が増えれば不動産の価格は下がり、巨額の融資は不良債権になる可能性がある。臨界点は静かに、着実に近づいている。
2009年12月に施行されたモラトリアム法は企業の連鎖倒産を防ぐため、返済猶予で時間稼ぎをするためにつくられたが、結局、企業の新陳代謝を阻む副作用でゾンビ企業を温存することになった。
一方、貸出し金利の低下は地銀の収益力を奪ったが、皮肉にもゾンビ企業を延命させる結果になった。
地銀の保有する日本国債はいま大量償還期にある。金利が上昇した場合のリスク量について金融庁の調査によれば、地銀がメガバンクなど大手銀行の3倍を超える。その結果、地銀は国債の保有量を急速に減らしている。
その代わりに流行りだしたのが「私募投信」「ローン旦保証券(CLO)」「アクティブ・ポートフォリオ運用」「融資ファンド」といったさまざまな運用手法である。
最近のBloombergニュースによれば
>金融庁は昨年末以降の米レバレッジドローン市場の過熱を背景に、国内金融機関のCLO投資への監視を強化。特に残高の大きかった農林中央金庫、ゆうちょ銀行、MUFGの資産管理状況を注視している。一方の日銀も、19年度の金融機関に対する考査方針にCLO保有リスクの点検を盛り込んだ。
米国、欧州が金融緩和に舵を切った現在、日銀が出口戦略に向かう窓は閉じられた。米中貿易戦争を引き金に景気が後退局面に入れば、日本の金融システムにおける潜在的なリスクが爆発するマグマが溜まりつつあるようだ。





