黒人奴隷少女の悲惨であり力強い逃走劇だが、当時は存在しなかった地下鉄がそこにあったのなら、、、
とても読み応えがあり色々と人間のあり方について考えてしまいます。
ただ、翻訳がとても読みづらい。正直、翻訳がもっと現代的な解釈を持って分かりやすく訳されていれば数倍面白い作品となったのではないかと感じました。別の人の翻訳で改めて読んでみたいと切に感じました。
地下鉄道 (ハヤカワepi文庫) (日本語) 新書 – 2020/10/15
Colson Whitehead
(原著),
コルソン ホワイトヘッド
(著),
谷崎 由依
(翻訳)
&
0
その他
コルソン ホワイトヘッド
(著)
著者の作品一覧、著者略歴や口コミなどをご覧いただけます
この著者の 検索結果 を表示
あなたは著者ですか?
著者セントラルはこちら
|
-
本の長さ492ページ
-
言語日本語
-
出版社早川書房
-
発売日2020/10/15
-
寸法10.6 x 1.8 x 15.7 cm
-
ISBN-104151201009
-
ISBN-13978-4151201004
よく一緒に購入されている商品
この商品をチェックした人はこんな商品もチェックしています
ページ: 1 / 1 最初に戻るページ: 1 / 1
- フライデー・ブラックナナ・クワメ・アジェイ=ブレニヤー単行本
- 世界と僕のあいだにタナハシ・コーツ単行本
- ザ・ロード (ハヤカワepi文庫)コーマック・マッカーシー文庫
- ある奴隷少女に起こった出来事 (新潮文庫)ハリエット・アン ジェイコブズ文庫
- 青い眼がほしい (ハヤカワepi文庫)トニ モリスン文庫
- 果てしなき輝きの果てに (ハヤカワ・ミステリ)リズ・ムーア単行本
Kindle 端末は必要ありません。無料 Kindle アプリのいずれかをダウンロードすると、スマートフォン、タブレットPCで Kindle 本をお読みいただけます。
商品の説明
内容(「BOOK」データベースより)
19世紀、アメリカ。南部の農園で過酷な生活を送る奴隷の少女コーラは、新入りの少年シーザーから奴隷を逃がす“地下鉄道”の話を聞き、ともに逃亡を決意する。冷酷な奴隷狩り人リッジウェイに追われながらも、コーラは地下をひそかに走る鉄道に乗り、さまざまな州をわたり、人に助けられ、また裏切られながら、自由が待つという北をめざす。ピュリッツアー賞、全米図書賞、アーサー・C・クラーク賞受賞作。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
ホワイトヘッド,コルソン
1969年生まれ。ハーバード大学卒業後、ヴィレッジ・ヴォイス紙で働く。1999年に第1長篇The Intuitionistを発表。2016年に刊行された第6長篇にあたる『地下鉄道』は、ピュリッツァー賞、全米図書賞、アーサー・C・クラーク賞など7つの文学賞を受賞。2019年に発表した第7長篇『ニッケル・ボーイズ』(早川書房近刊)で再びピュリッツァー賞を受賞し、同賞を2度受賞した史上4人目の作家となった。ニューヨーク在住
谷崎/由依
京都大学文学研究科修士課程修了、作家、翻訳家、近畿大学准教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
1969年生まれ。ハーバード大学卒業後、ヴィレッジ・ヴォイス紙で働く。1999年に第1長篇The Intuitionistを発表。2016年に刊行された第6長篇にあたる『地下鉄道』は、ピュリッツァー賞、全米図書賞、アーサー・C・クラーク賞など7つの文学賞を受賞。2019年に発表した第7長篇『ニッケル・ボーイズ』(早川書房近刊)で再びピュリッツァー賞を受賞し、同賞を2度受賞した史上4人目の作家となった。ニューヨーク在住
谷崎/由依
京都大学文学研究科修士課程修了、作家、翻訳家、近畿大学准教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
この商品を買った人はこんな商品も買っています
ページ: 1 / 1 最初に戻るページ: 1 / 1
カスタマーレビュー
5つ星のうち3.9
星5つ中の3.9
39 件のグローバル評価
評価はどのように計算されますか?
全体的な星の評価と星ごとの割合の内訳を計算するために、単純な平均は使用されません。その代わり、レビューの日時がどれだけ新しいかや、レビューアーがAmazonで商品を購入したかどうかなどが考慮されます。また、レビューを分析して信頼性が検証されます。
トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
レビューのフィルタリング中に問題が発生しました。後でもう一度試してください。
2019年3月24日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
すみずみまで丹精で精緻さのみなぎる文章は、時折ハッとするほど美しかったり、唸らされる哲学的な機知に富んでいて、数ページに一度は美しい名文を摂取させてくれる稀有な作品。
だけど自分は、逃げた奴隷とそれを追う賞金稼ぎとのチェイスを期待しちゃって(だって地下鉄道(アンダーグラウンド・レイルロード)をめぐるロードノヴェルで、奴隷ハンターなんてものも出てくるんですよ!)、文学というよりも映画的なサスペンスドラマとしての期待感を寄せて読んでしまったので、その意味では食い足りなさもあった。あと翻訳の問題ではないと思うのだけれど、あと一言、置いておいてほしい言葉を置いてくれない、がためにリーダビリティが損なわれるという面がしばしばあった。例えば、登場人物のそれぞれが、白人なのか黒人なのか、という点。追跡者のリッジウェイは? 屋根裏に主人公を匿う夫妻は? 旅すがらで出会う人々は? きっちりと読んでいけば描写があるのかと思うが、たびたびあれどっちだっけ?とわからなくなり、それってけっこう明文化しておいてほしいところなので困った。そのあたりを暈かすところに著者の文学的な意図があったのかもしれないが、私にとっては妨げになってしまった。
とはいえ、文章は素晴らしいです。アメリカの裏面史、隠蔽されがちな真実を抉りだす鋭さや強度も申しぶんない。
こうした作品がピュリッツアー賞を受賞するというところが、アメリカという国の真の強靭さを裏打ちしているのだと思う。トランプの時代に文学が浴びせるカウンター、素晴らしく知的でクリティカルで、尊い。
だけど自分は、逃げた奴隷とそれを追う賞金稼ぎとのチェイスを期待しちゃって(だって地下鉄道(アンダーグラウンド・レイルロード)をめぐるロードノヴェルで、奴隷ハンターなんてものも出てくるんですよ!)、文学というよりも映画的なサスペンスドラマとしての期待感を寄せて読んでしまったので、その意味では食い足りなさもあった。あと翻訳の問題ではないと思うのだけれど、あと一言、置いておいてほしい言葉を置いてくれない、がためにリーダビリティが損なわれるという面がしばしばあった。例えば、登場人物のそれぞれが、白人なのか黒人なのか、という点。追跡者のリッジウェイは? 屋根裏に主人公を匿う夫妻は? 旅すがらで出会う人々は? きっちりと読んでいけば描写があるのかと思うが、たびたびあれどっちだっけ?とわからなくなり、それってけっこう明文化しておいてほしいところなので困った。そのあたりを暈かすところに著者の文学的な意図があったのかもしれないが、私にとっては妨げになってしまった。
とはいえ、文章は素晴らしいです。アメリカの裏面史、隠蔽されがちな真実を抉りだす鋭さや強度も申しぶんない。
こうした作品がピュリッツアー賞を受賞するというところが、アメリカという国の真の強靭さを裏打ちしているのだと思う。トランプの時代に文学が浴びせるカウンター、素晴らしく知的でクリティカルで、尊い。
2018年7月21日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
文章は淡々として美しく、翻訳もよい。静謐な文章で凄惨な暴力が語られるのは、黒原敏行―コーマック・マッカーシーを思わせる痛快さ。
文体のリズムが良く、翻訳文学ならではの過度にローカライズしすぎないひねりのきいた味わいがある。この訳者にぜひ同じ作者のほかの作品も手掛けてほしい。
特に印象に残った一文を引用します。
「奴隷使役者たちが畑の畝に植えるよう命じたのは海島綿だが、その種のあいだには暴力と死の種も蒔かれ、この作物の成長は早かった。」
あと単なる好みですが、個人的に「洗い熊」という表記を選ぶのがなんだか奇妙でセンスある!と思いました。
文体のリズムが良く、翻訳文学ならではの過度にローカライズしすぎないひねりのきいた味わいがある。この訳者にぜひ同じ作者のほかの作品も手掛けてほしい。
特に印象に残った一文を引用します。
「奴隷使役者たちが畑の畝に植えるよう命じたのは海島綿だが、その種のあいだには暴力と死の種も蒔かれ、この作物の成長は早かった。」
あと単なる好みですが、個人的に「洗い熊」という表記を選ぶのがなんだか奇妙でセンスある!と思いました。
ベスト1000レビュアー
非常に読みにくく内容をイメージしにくい文章です。登場人物も一体何者なのかいっさい説明もなく、
奴隷なのか誰なのか見えません。加えて今どんな状況を描いているのかも理解不能。ただ虚しく文字列を
追いかけるのみでした。
私の想像力、読解力、忍耐力のなさのせいで、わずか30ページも読み進むことが出来ず、故に主人公が
地下鉄道で逃亡するシーンまでも行き着くことが出来ませんでした。完全にお手上げです。更に巻末の解
説もまた何を言っているのか不明。高い評価を投稿されている先行レビュアー諸氏の感性に尊敬の念を覚
えます。
奴隷なのか誰なのか見えません。加えて今どんな状況を描いているのかも理解不能。ただ虚しく文字列を
追いかけるのみでした。
私の想像力、読解力、忍耐力のなさのせいで、わずか30ページも読み進むことが出来ず、故に主人公が
地下鉄道で逃亡するシーンまでも行き着くことが出来ませんでした。完全にお手上げです。更に巻末の解
説もまた何を言っているのか不明。高い評価を投稿されている先行レビュアー諸氏の感性に尊敬の念を覚
えます。
2018年1月30日に日本でレビュー済み
19世紀、アメリカ南部の農園で奴隷として生きる少女の逃亡劇。
当時Underground Railroadという逃げる奴隷を助ける地下組織があったそう。もしそれが本当に地下を走る鉄道だったとしたら、という設定。SFでありファンタジーであり、史実には基づかないけれど、おそらく事実よりもっと正確な真実を描いています。
例えば、物語後半、奴隷制に反対する人々による演説。
『そしてアメリカも。アメリカこそが、もっともおおきな幻想である。白人種の者たちは信じている ― この土地を手に入れることが彼らの権利だと、心の底から信じているのだ。インディアンを殺すことが。戦争を起こすことが。その兄弟を奴隷とすることが。この国は存在すべきではなかった。(中略) なぜならこの国の土台は殺人、強奪、残虐さでできているから。それでもなお、われらはここにいる。』(P360)
これは本書のテーマの一部を要約していると思います。この小説が2016年度のピュリッツァー賞、全米図書賞、アーサー・C・クラーク賞を受賞し、40以上の言語に翻訳されること、それが端的に今のアメリカが直面する現実を表しています。
アメリカにおける黒人の歴史を描く本を読むと、黒人音楽の起源がよくわかります。アフリカ大陸の様々な場所から連れてこられた黒人の末裔は、母国語も英語も不自由になり、手足を枷でつながれ、お前たちは人間ではない。神に許しを請うべき下等な生き物なのだと、聖書を渡され讃美歌を聴かされる。
手足は繋がれているから、感情を発散するには、何かを表現するには、讃美歌を歌い、腰を振って踊るしかない。アフリカ各地の風俗とヨーロッパの伝統が混ざる。ソウル、ブルース、ゴスペルといった黒人音楽が生まれる。
最後に、「地下鉄道」について作中で語られる内容を引用します。
『個人的な、自分だけの秘密で、他人に打ち明ける気にはならなかった。悪い秘密ではない、でも、自分の核に深く、親密に関わっていて、わけることはできない。ひとに話したら、それは消えてしまう。(中略) 「地下鉄道はその運営者たちよりおおきい ― それはきみたちすべてなんだよ。」』(P336)
当時Underground Railroadという逃げる奴隷を助ける地下組織があったそう。もしそれが本当に地下を走る鉄道だったとしたら、という設定。SFでありファンタジーであり、史実には基づかないけれど、おそらく事実よりもっと正確な真実を描いています。
例えば、物語後半、奴隷制に反対する人々による演説。
『そしてアメリカも。アメリカこそが、もっともおおきな幻想である。白人種の者たちは信じている ― この土地を手に入れることが彼らの権利だと、心の底から信じているのだ。インディアンを殺すことが。戦争を起こすことが。その兄弟を奴隷とすることが。この国は存在すべきではなかった。(中略) なぜならこの国の土台は殺人、強奪、残虐さでできているから。それでもなお、われらはここにいる。』(P360)
これは本書のテーマの一部を要約していると思います。この小説が2016年度のピュリッツァー賞、全米図書賞、アーサー・C・クラーク賞を受賞し、40以上の言語に翻訳されること、それが端的に今のアメリカが直面する現実を表しています。
アメリカにおける黒人の歴史を描く本を読むと、黒人音楽の起源がよくわかります。アフリカ大陸の様々な場所から連れてこられた黒人の末裔は、母国語も英語も不自由になり、手足を枷でつながれ、お前たちは人間ではない。神に許しを請うべき下等な生き物なのだと、聖書を渡され讃美歌を聴かされる。
手足は繋がれているから、感情を発散するには、何かを表現するには、讃美歌を歌い、腰を振って踊るしかない。アフリカ各地の風俗とヨーロッパの伝統が混ざる。ソウル、ブルース、ゴスペルといった黒人音楽が生まれる。
最後に、「地下鉄道」について作中で語られる内容を引用します。
『個人的な、自分だけの秘密で、他人に打ち明ける気にはならなかった。悪い秘密ではない、でも、自分の核に深く、親密に関わっていて、わけることはできない。ひとに話したら、それは消えてしまう。(中略) 「地下鉄道はその運営者たちよりおおきい ― それはきみたちすべてなんだよ。」』(P336)
2018年2月13日に日本でレビュー済み
奴隷制度と関わる形での“地下鉄道”のことは知っていたので、読み進めながら少々首をかしげることが多かった(「訳者あとがき」を読んで納得した)。ただ、1800年代の前半、アメリカにおける奴隷制度、白人と黒人の考え方、“インディアン”に対する考え方などは、リアルなものだろうと感じられた。
農園で奴隷として働くコーラは、仲間のシーザーから誘われて、逃亡を決意する。その道は、母メイベルも辿ったはずの道だ。逃亡は上手くいったかに思えたが、奴隷狩り人リッジウェイはコーラを執念深く追い続ける。逃亡の途中で様々な人物に出会い、彼らの持つ黒人に対する考え方を知ることによって、コーラは少しずつ変わっていく…
奴隷制度、逃亡奴隷を助ける“地下鉄道”、アメリカが黒人や“インディアン”に対して行ってきた残虐行為など、いくつかの史実を背景に、著者は奔放な想像力を駆使して、コーラの逃亡をドラマチックに描いていく。「訳者あとがき」にあるように、先行作品や様々なモデルを巧みに織り込むことで、最後までスリリングだ。
個人的にはリッジウェイが印象に残る。血も涙もない「奴隷狩り人」だが、農園主テランス・ランドルや黒人へのリンチで差別意識をむき出しにする白人たちの“黒人差別”とは違う側面が感じられる。もちろん彼の行為は許されるものではないが、何かが明らかに違っている。ある意味で、彼の存在こそがこの物語を支えているような気がする。
農園で奴隷として働くコーラは、仲間のシーザーから誘われて、逃亡を決意する。その道は、母メイベルも辿ったはずの道だ。逃亡は上手くいったかに思えたが、奴隷狩り人リッジウェイはコーラを執念深く追い続ける。逃亡の途中で様々な人物に出会い、彼らの持つ黒人に対する考え方を知ることによって、コーラは少しずつ変わっていく…
奴隷制度、逃亡奴隷を助ける“地下鉄道”、アメリカが黒人や“インディアン”に対して行ってきた残虐行為など、いくつかの史実を背景に、著者は奔放な想像力を駆使して、コーラの逃亡をドラマチックに描いていく。「訳者あとがき」にあるように、先行作品や様々なモデルを巧みに織り込むことで、最後までスリリングだ。
個人的にはリッジウェイが印象に残る。血も涙もない「奴隷狩り人」だが、農園主テランス・ランドルや黒人へのリンチで差別意識をむき出しにする白人たちの“黒人差別”とは違う側面が感じられる。もちろん彼の行為は許されるものではないが、何かが明らかに違っている。ある意味で、彼の存在こそがこの物語を支えているような気がする。