高知県の北東部、徳島県との県境に物部村はある。四国の霊山として知られる剣山や三嶺が間近にそびえ立つ山深い里である。村の中央を走る国道195号線をはずれて奥に進むと、山道はさらにくねくねと折れ曲がり、深い谷を流れる川の蛇行も激しくなる。険しく切り立った崖が迫る急峻な山並みの、その斜面にはりつくように点在する集落。ここに古くから民間信仰「いざなぎ流」が伝えられてきた。
高知県の北東部、徳島県との県境にある物部村。四国の霊山として知られる剣山や三嶺が間近にそびえる山深い里である。この村に古くから伝わる民間信仰「いざなぎ流」について様々な視点からアプローチする。
著者について
●小松和彦 こまつ・かずひこ
1947年東京都生まれ。
東京都立大学大学院社会人類学博士課程修了。国際日本文化研究センター教授。文化人類学、日本民俗学専攻。著書、『憑霊信仰論』(講談社学術文庫)『異人論』(ちくま学芸文庫)『異界を覗く』(洋泉社)他。
●梅野光興 うめの・みつおき
1962年福岡県生まれ。大阪大学大学院文学部日本科修士課程修了。民俗学専攻。高知県立歴史民俗資料館主任学芸員。著書、『いざなぎ流祭文帳』(編、高知県立歴史民俗資料館)『いざなぎ流の宇宙』(編著、高知県立歴史民俗資料館)他。
●田辺寿男 たなべ・としお
1921年高知県生まれ。民俗写真家。高知市文化財保護審議会委員。著書、『海辺 高知の民俗写真』『山間 高知の民俗写真2』(高知市民図書館)『ぼくの村は山をおりた』(高知県立歴史民俗資料館)他。
●山本ひろ子 やまもと・ひろこ
1946年千葉県生まれ。早稲田大学第一文学部史学科中退。和光大学教授。中世の宗教思想・儀礼文化専攻。著書、『変成譜』(春秋社)『大荒伸頌』『中世神話』(岩波書店)『異神』(平凡社)他。
●大竹昭子 おおたけ・あきこ
1950年東京都生まれ。上智大学文学部社会学科卒業。著述家。著書、『パリの魂、パリの夢』(講談社文庫)、『眼の狩人―戦後写真家たちが描いた軌跡』(新潮社)『図鑑少年』(小学館)他。