日本は遅れている、という単純化された刷り込みではなく、国連やNGOの役割り、国内の法整備状況等まで客観的な全体観を学ぶことができる。
一方で、「人権意識の進歩」的な流れが強まる中で、実際に制度化されていくためにはやはり国民の多数の共感・理解が必要かと思うが、「日本は遅れている論」に対して、「自分はその遅れた劣った集団の中で進歩的」というリベラル的メンタリティと、「リベラル派はことさら問題点ばかりをあげて、日本の良さを認めない」というナショナリスト的なメンタリティへの分断が、近時むしろ大きくなってしまっているようにも感じる。
悩ましいところだが、お互いに排他的になることなく、歩み寄りながら状況を改善していくような、政治的な知恵とか、寛容さが求められていくと思った。(端的にいえば、この本で安倍政権の防衛政策を批判してもしかたないと思った)
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国際人権入門――現場から考える (岩波新書) 新書 – 2020/8/21
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第二次大戦後、人権に関するさまざまな国際ルールがめざましい発展を遂げ、日本もそれを守ることとされている。日本社会で現実に起きているさまざまな人権問題も、これらの国際人権基準に照らして考えることで、新たな光を当てられ、解決の方法を見出すことができる場合が少なくない。日本の現場から国際人権法の「活かし方」を考える。
- 本の長さ192ページ
- 言語日本語
- 出版社岩波書店
- 発売日2020/8/21
- 寸法10.7 x 0.8 x 17.3 cm
- ISBN-104004318459
- ISBN-13978-4004318453
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商品の説明
内容(「BOOK」データベースより)
第二次大戦後、人権に関するさまざまな国際ルールが発展し、日本もそれを守ることとされている。日本社会で起きている人権問題も、これら国際人権基準に照らして考えることで解決への新たな視座が得られる場合が少なくない。豊かな内容を持つ国際人権法の姿を概説し、具体的な事件を題材にその「活かし方」を考える。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
申/惠〓
1966年東京生まれ。1988年青山学院大学法学部卒業。1993年ジュネーブ国際高等研究所修士課程修了。1995年東京大学大学院法学政治学研究科博士課程修了、法学博士。現在、青山学院大学教授・法学部長、認定NPO法人ヒューマンライツ・ナウ理事長(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
1966年東京生まれ。1988年青山学院大学法学部卒業。1993年ジュネーブ国際高等研究所修士課程修了。1995年東京大学大学院法学政治学研究科博士課程修了、法学博士。現在、青山学院大学教授・法学部長、認定NPO法人ヒューマンライツ・ナウ理事長(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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カスタマーレビュー
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トップレビュー
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2021年11月15日に日本でレビュー済み
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同僚と、「人権について知らな過ぎるから、まずは、基本的なことを理解しよう。」と話をし、この書籍を選んだ。内容は、まったく知らないということはなかったが、日常生活で意識する機会がほとんどなく、もっと、気軽に、話題にできるようになっても良いのではないか、と感じた。
ただ、そのような話題を取上げることで、傷つく人が出てくるのではないかと思ったり、さらなる不利益を被る人が出てくるのではないかと思ったり。だからと言って、タブーでもないし、アンタッチャブルにするものでもない。
人間が持っている、人より優れている(不遇ではない)と感じることで得られる安心感みたいなものは、どうにもならないのだろうか。
ただ、そのような話題を取上げることで、傷つく人が出てくるのではないかと思ったり、さらなる不利益を被る人が出てくるのではないかと思ったり。だからと言って、タブーでもないし、アンタッチャブルにするものでもない。
人間が持っている、人より優れている(不遇ではない)と感じることで得られる安心感みたいなものは、どうにもならないのだろうか。
ベスト500レビュアー
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題名は「国際人権入門」。
めちゃくちゃ意識高めのThe岩波新書である。
実利を重んじる人からすれば下らない本に思えるかもしれない。
しかし答えは「NO」。
日本経済を復活の秘策はこの本にあるのだ。
この本の柱は
①外国人の人権
②女性の人権
③学生の人権 の保護を訴える内容である。
人口減少が進む日本において労働力の確保は必要不可欠。生産年齢人口は令和元年までの23年間で1200万人が減少している。ざっくり言うと平成の間に東京都の人口分の労働力を失ったのである。
ではその失った部分をどうカバーするか?
海外からは優秀な労働力を呼ぶ。女性の活用、学生に学ぶ機会を与える。
まずはここから始めるのがベターな手ではないだろうか。
その為には、彼らの権利を認め働きやすくすることが絶対条件である。権利が保障されない状況でなんか普通働きたくないでしょ…
なおこの本は学部生の憲法を理解できれば読めるレベルなので、大学生は読むべし。
これからの時代、国際レベルの人権意識は常識です。知らないでは済まされません。
また大学進学を考えている高校生は第4章だけでもオススメ。学費があがり続け、学ぶ機会が失われつつある現状は意識すべきです。
めちゃくちゃ意識高めのThe岩波新書である。
実利を重んじる人からすれば下らない本に思えるかもしれない。
しかし答えは「NO」。
日本経済を復活の秘策はこの本にあるのだ。
この本の柱は
①外国人の人権
②女性の人権
③学生の人権 の保護を訴える内容である。
人口減少が進む日本において労働力の確保は必要不可欠。生産年齢人口は令和元年までの23年間で1200万人が減少している。ざっくり言うと平成の間に東京都の人口分の労働力を失ったのである。
ではその失った部分をどうカバーするか?
海外からは優秀な労働力を呼ぶ。女性の活用、学生に学ぶ機会を与える。
まずはここから始めるのがベターな手ではないだろうか。
その為には、彼らの権利を認め働きやすくすることが絶対条件である。権利が保障されない状況でなんか普通働きたくないでしょ…
なおこの本は学部生の憲法を理解できれば読めるレベルなので、大学生は読むべし。
これからの時代、国際レベルの人権意識は常識です。知らないでは済まされません。
また大学進学を考えている高校生は第4章だけでもオススメ。学費があがり続け、学ぶ機会が失われつつある現状は意識すべきです。
2020年10月14日に日本でレビュー済み
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日本社会の排他性について考え続けてきた者としては、国際人権法のスタンダードが多くの人に共有される必要を痛感しておりましたので、国際人権法についてコンパクトでありながら濃縮された新書が出版されたことを喜んでおります。
本書には、私が「これは酷い…」と感じていた難民・エスニシティ・ジェンダー・奨学金…およそ国際人権法に関する問題が漏れなく凝縮されています。
現在の日本社会の後進性は、レイシズム・歴史修正主義が蔓延する現状からも明らかですが、現状打破にためには「まず国際人権法を知る」ことが第一歩だと思っておりますので、是非、多くの方に本書が読まれることを期待しています。
本書には、私が「これは酷い…」と感じていた難民・エスニシティ・ジェンダー・奨学金…およそ国際人権法に関する問題が漏れなく凝縮されています。
現在の日本社会の後進性は、レイシズム・歴史修正主義が蔓延する現状からも明らかですが、現状打破にためには「まず国際人権法を知る」ことが第一歩だと思っておりますので、是非、多くの方に本書が読まれることを期待しています。
2020年10月14日に日本でレビュー済み
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申先生は,2020年4月から,青山学院大の法学部長をされているようです。長年の研究成果,実践が,平易に書かれています。女性(男女平等),入管,その他の多くの人権問題にしても,日本がなぜひどい状況なのか,それを変えていく,個人通報や人権救済手続きの条約の批准をすべきことの重要性がわかります。裁判所も各種の人権条約の規定の直接適用,間接適用をしていかなければいけませんし,それをすべきです。裁判所を「人権の砦」にしていかなければ,日本の貧しい人権状況は改善されないことがよく分かります。
2020年8月29日に日本でレビュー済み
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国際人権法の研究者だから仕方ないのかもしれないが、日本国内でこれこれこういう人権侵害が起こっており、条約を結んだのだから守るべきだ、結んでない場合は結ぶべきだ、というのが全てである。その限りでは同意できるのだが、なぜ日本で広く国際的に人権として認められ、その軽視が非難されるものがマジョリティに受け入れられていたり、「権利」一般に通じることだが、他所のものとして拒絶されるのか、という点は一顧だにされない。それを越えてどうして人権が尊重されるべきなのか、という説得もなされない。特に日本人は、迫害の対象になっている者が不法滞在など脛に傷持つ立場にある場合(例えば犯罪者の権利)に人権を認めることに抵抗が強い(一種の自己責任論)ので、それを乗り越えてそれでも守るべきで、そのことで利益があるということが丁寧に説明されなければならないのではないか。
2021年7月23日に日本でレビュー済み
この本を読んで驚いたことがある。それは「日本には社会生活における人種差別を禁止する法律がない」ということだ。
本書は、以下の3つの側面から国際水準の人権システムの必要性を訴えかけている。
①外国人の人権
②女性の人権
③学生の人権
しかし、憲法に「すべての国民は、法の下に平等であって、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又社会的関係において差別されない」とあるにも関わらず、それが実社会の法律に落とし込まれていないのだ。
例えば旅館業法では、次の場合を除いて宿泊を拒否してはならないとあり、「1、伝染性の疾病の場合、2、賭博などで風紀を乱す場合、宿泊施設に余裕がない場合」とはあるが、人種を理由にした宿泊拒否はしてはならない、と明文化されていない。
一方、日本が1995年に加入した人種差別撤廃条約は人種差別を禁止している。
つまり日本は、憲法でも、国際条約においても、外国人の人権は認めているが、社会生活に必要に法律のレベルではまったく未整備で、民法709条の「不法行為」(故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う」を拠り所に民事訴訟を起こす必要があるのだ。小樽市内の公衆浴場が「JAPANESE ONLY」という張り紙により、入場を断られたデビット・アルドウィンクルさんは、実際に民事訴訟を行った。銭湯に入るのにいちいち民事訴訟を起こす必要性があるということは、異常なことだ。
法の未整備は、国会議員の意識レベルの低さに問題が集約されるが、この問題が票に結びつかないことも大きな問題だろう。
現政権の与党、野党の比率では、この問題が自発的に遡上にあがり、議論される可能性は薄い。だとすると、前進するためには、不幸な社会問題になるようなネガティブな事案が必要になる、とは思いたくない。秋の総選挙の結果がこの問題をフォーカスすることにつながることを祈っている。
本書は、以下の3つの側面から国際水準の人権システムの必要性を訴えかけている。
①外国人の人権
②女性の人権
③学生の人権
しかし、憲法に「すべての国民は、法の下に平等であって、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又社会的関係において差別されない」とあるにも関わらず、それが実社会の法律に落とし込まれていないのだ。
例えば旅館業法では、次の場合を除いて宿泊を拒否してはならないとあり、「1、伝染性の疾病の場合、2、賭博などで風紀を乱す場合、宿泊施設に余裕がない場合」とはあるが、人種を理由にした宿泊拒否はしてはならない、と明文化されていない。
一方、日本が1995年に加入した人種差別撤廃条約は人種差別を禁止している。
つまり日本は、憲法でも、国際条約においても、外国人の人権は認めているが、社会生活に必要に法律のレベルではまったく未整備で、民法709条の「不法行為」(故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う」を拠り所に民事訴訟を起こす必要があるのだ。小樽市内の公衆浴場が「JAPANESE ONLY」という張り紙により、入場を断られたデビット・アルドウィンクルさんは、実際に民事訴訟を行った。銭湯に入るのにいちいち民事訴訟を起こす必要性があるということは、異常なことだ。
法の未整備は、国会議員の意識レベルの低さに問題が集約されるが、この問題が票に結びつかないことも大きな問題だろう。
現政権の与党、野党の比率では、この問題が自発的に遡上にあがり、議論される可能性は薄い。だとすると、前進するためには、不幸な社会問題になるようなネガティブな事案が必要になる、とは思いたくない。秋の総選挙の結果がこの問題をフォーカスすることにつながることを祈っている。
2020年11月2日に日本でレビュー済み
1.内容
国連憲章、世界人権宣言、国際人権規約、その他の条約において、「『国際人権基準』」(p2)がどう形成され、日本社会における事例においてどう評価すべきかを明らかにした本。
2.評価
(1)先ず序章が役に立つ。「『国際人権基準』」がうまく説明されている。蛇足だが、読後の実践としては、Yahoo!ニュース個人「「日韓合意見直し」 勧告したのは国連の委員会でも国連の機関でもない」(楊井人文)の間違いを探すことであろう(本書p21からを読めばわかる)。
(2)次に、最近の時事ネタ(タイトル)というか、事例が「『国際人権基準』」から見ていかに問題が書かれている。いわゆる大学(高等教育)無償化は、経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約第13条第2項(c)の「無償教育の漸進的な導入により」に合致しており本来はいい政策のはずだが、日本のそれは前述の国際規約に合致してないことの指摘(特にp153「学費値上げ」と「減免枠(略)が大幅に縮小」のところ)は己の不勉強を恥じた。
(3)「法学博士」(プロフィール欄より)だから、例えば憲法の人権規定の私人間における間接適用説を判例が採用していることを的確に説明している(p86「民法の「不法行為」の規定を当てはめて解釈する迂遠な方法」)というように、法理論の解説もしっかりしている。
(4)以上の通りであるから、星5つ。
国連憲章、世界人権宣言、国際人権規約、その他の条約において、「『国際人権基準』」(p2)がどう形成され、日本社会における事例においてどう評価すべきかを明らかにした本。
2.評価
(1)先ず序章が役に立つ。「『国際人権基準』」がうまく説明されている。蛇足だが、読後の実践としては、Yahoo!ニュース個人「「日韓合意見直し」 勧告したのは国連の委員会でも国連の機関でもない」(楊井人文)の間違いを探すことであろう(本書p21からを読めばわかる)。
(2)次に、最近の時事ネタ(タイトル)というか、事例が「『国際人権基準』」から見ていかに問題が書かれている。いわゆる大学(高等教育)無償化は、経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約第13条第2項(c)の「無償教育の漸進的な導入により」に合致しており本来はいい政策のはずだが、日本のそれは前述の国際規約に合致してないことの指摘(特にp153「学費値上げ」と「減免枠(略)が大幅に縮小」のところ)は己の不勉強を恥じた。
(3)「法学博士」(プロフィール欄より)だから、例えば憲法の人権規定の私人間における間接適用説を判例が採用していることを的確に説明している(p86「民法の「不法行為」の規定を当てはめて解釈する迂遠な方法」)というように、法理論の解説もしっかりしている。
(4)以上の通りであるから、星5つ。