本書は、英国Reaktion Books から刊行されている The Earth Seriesの一冊。著者レベッカ・ゾラックは、米国ノースウェスタン大学美術史教授。
序章『金を求めて』は、次のように書き起こされる。「金は文明が始まった当初から人々を魅了してきた」。そして、以下の問いが立てられる。「物質としての金には、私たち人間に長く支持されるだけの何かが備わっているのだろうか。なぜ私たちはそれほど遠くまで旅をし、それほど苦労してまでも金を手に入れようとするのだろうか」「なぜ人間は金を追い求めるのだろうか。その飽くなき欲望が突きつけてくるのは、そもそも価値とは何なのか、意味とは何なのか」。
著者はいう。「本書は金の包括的な歴史を記したものではない。むしろ、歴史や人間の想像力において、金が果たしてきたさまざまな役割を探究しようとするものだ。実際、金の果たしてきた役割は多岐にわたるため、ひとつの観点にしぼってとらえるのは難しい。本書では、ときに対立する金の要素を明らかにしながら、欲望の実体としての金の歴史を掘り下げていく。流れとしては、まず金がどのような目的で用いられてきたかを分類し、つぎにそれがどのような影響を与え、どのようなものを形作ってきたかを全6章に分けて解説する。具体的には、身につけるための金、宗教における金、貨幣としての金、芸術の媒体としての金、科学における金、そして神話や現実における金をめぐる多くの危険といったテーマで、それぞれ詳しく検証する」。
元素としての金の特徴、金鉱のある場所、採掘方法、今日まで採掘した金の総量(17万6000トン、各辺の長さが20メートル超の立方体になる)、金をめぐる神話・伝説、「イングランド女王エリザベスⅠ世の友人(おそらく愛人)」であるウォルター・ローリー卿のギアナ遠征隊、インカ帝国最後の王アタワルパとフランシスコ・ピサロのこと、古代ヌビアにおける金の採掘とエジプトの関係、大航海時代の立役者:ポルトガルのエンリケ航海王子と西アフリカの黄金海岸のこと(さらには「黒い金ー奴隷ーギニアが差し出せるもっとも魅力的な積み荷」)のこと、金の黄色い色合いとアインシュタインの相対論のこと、「カラット」は「小さな角」を意味するギリシャ語(重量の単位として用いられたイナゴマメの実)に由来すること・・が『序章』に紹介される。
文化“史”として過去のことが示されるだけでなく、今日的情報も加えられる。金採掘のために1960年代以後シアン化物によるヒープ・リーチングという科学的プロセスが加わり「環境へのリスクはさらに高まった」という。「結婚指輪ひとつ分の金を抽出するために、20トンもの(死をもたらす)廃棄物が生み出されるという」。その点で、ある採掘会社の年次総会で抗議する人々の写真も出ている。そして、本書巻末には《環境破壊や人命の犠牲といった代償を本質的に招いているのは、金を身につけたいという私たちの飽くなき欲望なのである。・・略・・「もし金を得るための代償が環境破壊や十代の売春や強制労働という現実なら、金の結婚指輪は愛と信頼のシンボルでも何でもない」》。
黄金をめぐる広汎な話題がめまいがするほど取り上げられて、モノの値打ちについて考えさせられる本だ。
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図説 金の文化史 - – 2016/11/11
レベッカ ゾラック
(著),
マイケル・W. フィリップス,ジュニア
(著),
Rebecca Zorach
(原著),
Michael W. Phillips,Jr.
(原著),
高尾 菜つこ
(翻訳)
&
2
その他
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古代エジプト人が金鉱の採掘を始めて以来、歴史を彩った金。貨幣や装飾品になり、金をめぐる神話が生まれ、錬金術からは科学が発展した。金と人類の関わりの文化史を、美しい写真ととともに、世界各地の豊富な事例でひもとく。
- 本の長さ245ページ
- 言語日本語
- 出版社原書房
- 発売日2016/11/11
- ISBN-104562053534
- ISBN-13978-4562053537
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商品の説明
内容(「BOOK」データベースより)
ファラオの財宝からゴールドラッシュまで。貨幣、神話、権力の象徴、錬金術…古代から現代まで金はどのように人類の生活を彩ったのか。金と人類の関わりの歴史を、美しい写真とともに、世界各地の豊富な事例からひもとく。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
ゾラック,レベッカ
イリノイ州エヴァンストンのノースウェスタン大学美術史教授。これまでの著書に『情熱の三角形』(2011年)、『血、乳、インク、金―フランス・ルネサンスにおける過剰な豊かさ』(2005年)がある
フィリップス,ジュニア,マイケル・W.
独立系の映画制作者、映画評論家、映画プログラマー
高尾/菜つこ
1973年生まれ。翻訳家。南山大学外国語学部英米科卒業(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
イリノイ州エヴァンストンのノースウェスタン大学美術史教授。これまでの著書に『情熱の三角形』(2011年)、『血、乳、インク、金―フランス・ルネサンスにおける過剰な豊かさ』(2005年)がある
フィリップス,ジュニア,マイケル・W.
独立系の映画制作者、映画評論家、映画プログラマー
高尾/菜つこ
1973年生まれ。翻訳家。南山大学外国語学部英米科卒業(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
登録情報
- 出版社 : 原書房 (2016/11/11)
- 発売日 : 2016/11/11
- 言語 : 日本語
- - : 245ページ
- ISBN-10 : 4562053534
- ISBN-13 : 978-4562053537
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