本書のテーマは、「団地」である。
日本における団地造営は、戦後の住宅難を解消すべく国が設置した日本住宅公団が始めたもので、その公団設立の立役者だったのが、まだ総理になる前の田中角栄。
団地は、かつての日本人の生活における、当たり前の風景だった。しかし、少子高齢化の波をもろに受け、現在は多くの団地が、高齢者ばかりの「限界集落」になり果てている。かつての隣人とのつながりもなく、孤独死が当たり前のように起きている。独身者のみではなく、既婚者であっても、配偶者に先立たれれば、孤独死の危険性がある。団地は、この国の未来を暗示、あるいは先取りしているのかもしれない。
その一方で、団地は、排外主義的な日本人の、格好の標的にもなっている。先述した少子高齢化に対応すべく、外国からの移民・出稼ぎを受け入れている団地があるが、在特会を初めとした排外主義を掲げる団体、あるいは個人が、移民や出稼ぎ労働者に対してヘイトスピーチを行っている。(特に韓国人・中国人に対して)彼らは日本人の多数派ではないとはいえ、そこそこの支持者がいるのも事実。これでは、日本人が海外から、排外主義的だと批判されても反論できないだろう。しかも、彼らが支持している安倍政権こそが、移民・出稼ぎを大々的に受け入れる政策を進めているにもかかわらず、彼らの多くはその事実に目をつぶっている。(日本にルーツを持つ日系ブラジル人や、元々は日本人の筈の中国残留孤児に対しても、偏見の目を向ける日本人なので、彼らのような存在がいてもおかしくはないのかもしれない)
なかなか面白い本だったが、帯にあるような、「外国人を襲うネトウヨ」の描写がやや少ない気がした。そこが唯一の不満な点である。
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団地と移民 課題最先端「空間」の闘い 単行本 – 2019/3/23
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そこは外国人、高齢者をネトウヨが襲う「空間」と化していた。最前線ルポ!
そこは外国人、高齢者をネトウヨが襲う「空間」と化していた。
団地は、この国の“未来”である。
外国人実習生や排外主義者の問題を追い続ける著者が、日本だけでなくテロ後のパリ郊外も取材し、日本に突きつける!!
団地。そこは、かつて「夢と希望の地」だった。
しかし、いまは都会の限界集落と化している。高齢者と外国人労働者が居住者の大半を占め、
さらにそこへ“非居住者”のネトウヨはじめ排外主義者が群がる。
排外主義的なナショナリズムに世代間の軋轢、都市のスラム化、そして外国人居住者との共存共栄……。
団地はこの国の課題最先端「空間」となっていた!!
厳しいこの現実に負けずに、“一緒に生き続けること”を実践している各団地の取り組みを私たちは“日本の未来”に出来るのか?
この国の“これまで”と“これから”を浮き彫りにする、地べたからのルポルタージュ!!
そこは外国人、高齢者をネトウヨが襲う「空間」と化していた。
団地は、この国の“未来”である。
外国人実習生や排外主義者の問題を追い続ける著者が、日本だけでなくテロ後のパリ郊外も取材し、日本に突きつける!!
団地。そこは、かつて「夢と希望の地」だった。
しかし、いまは都会の限界集落と化している。高齢者と外国人労働者が居住者の大半を占め、
さらにそこへ“非居住者”のネトウヨはじめ排外主義者が群がる。
排外主義的なナショナリズムに世代間の軋轢、都市のスラム化、そして外国人居住者との共存共栄……。
団地はこの国の課題最先端「空間」となっていた!!
厳しいこの現実に負けずに、“一緒に生き続けること”を実践している各団地の取り組みを私たちは“日本の未来”に出来るのか?
この国の“これまで”と“これから”を浮き彫りにする、地べたからのルポルタージュ!!
- 本の長さ256ページ
- 言語日本語
- 出版社KADOKAWA
- 発売日2019/3/23
- 寸法13 x 2.1 x 18.8 cm
- ISBN-104041013887
- ISBN-13978-4041013885
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商品の説明
内容(「BOOK」データベースより)
排外主義的なナショナリズムに世代間の軋轢、都市のスラム化、そして外国人居住者との共存共栄…。かつて「夢と希望の地」だった団地は、課題最先端「空間」となっていた!!厳しいこの現実に負けずに、“一緒に生き続けること”を実践している各団地の取り組みを私たちは“日本の未来”に出来るのか?この国の“これまで”と“これから”を浮き彫りにする、地べたからのルポルタージュ!!
著者について
●安田 浩一:1964 年生まれ。静岡県出身。「週刊宝石」などを経てフリーライターに。事件・社会問題を主なテーマに執筆活動を続ける。ヘイトスピーチの問題について警鐘を鳴らした『ネットと愛国』(講談社)で2012 年の講談社ノンフィクション賞を受賞。15 年、「ルポ 外国人『隷属』労働者」(「G2」vol.17)で第46 回大宅壮一ノンフィクション賞雑誌部門受賞。著書に『「右翼」の戦後史』(講談社現代新書)、『ルポ 差別と貧困の外国人労働者』(光文社新書)、『ヘイトスピーチ』(文春新書)など多数。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
安田/浩一
1964年生まれ。静岡県出身。「週刊宝石」「サンデー毎日」記者を経て2001年よりフリーに。事件・社会問題を主なテーマに執筆活動を続ける。ヘイトスピーチの問題について警鐘を鳴らした『ネットと愛国』(講談社)で12年、第34回講談社ノンフィクション賞を受賞。15年、「ルポ外国人『隷属』労働者」(「G2」vol.17)で第46回大宅壮一ノンフィクション賞雑誌部門受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
1964年生まれ。静岡県出身。「週刊宝石」「サンデー毎日」記者を経て2001年よりフリーに。事件・社会問題を主なテーマに執筆活動を続ける。ヘイトスピーチの問題について警鐘を鳴らした『ネットと愛国』(講談社)で12年、第34回講談社ノンフィクション賞を受賞。15年、「ルポ外国人『隷属』労働者」(「G2」vol.17)で第46回大宅壮一ノンフィクション賞雑誌部門受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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登録情報
- 出版社 : KADOKAWA (2019/3/23)
- 発売日 : 2019/3/23
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 256ページ
- ISBN-10 : 4041013887
- ISBN-13 : 978-4041013885
- 寸法 : 13 x 2.1 x 18.8 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 133,245位本 (の売れ筋ランキングを見る本)
- - 863位社会一般関連書籍
- - 4,588位社会学概論
- - 13,354位ノンフィクション (本)
- カスタマーレビュー:
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2019年3月26日に日本でレビュー済み
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37人のお客様がこれが役に立ったと考えています
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ベスト500レビュアー
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『ネットと愛国』で在特会に迫った安田浩一氏が、高度成長期の風景ともいえる団地の現在を報告。
団地の住民は高齢化。かつて盛んだった隣近所の付き合いは稀薄になり、今や「限界集落」。住民の間で孤独死を減らす試みが始まっている。
団地は日本企業で働く外国人の居場所になりつつあり、旧住民と新住民との間で試行錯誤を繰り返しながら距離感を詰める動きが始まろうとしている。
取材先は首都圏だけでなく、名古屋、広島、パリまで及びます。
過去は豊かさの象徴として。現在は多国籍国家を先取りする現場として。形を変えて団地は時代の先端であり続けています。
『ネットと愛国』の過激な展開とはまた違った、抑制の利いた読後感がありました。
団地の住民は高齢化。かつて盛んだった隣近所の付き合いは稀薄になり、今や「限界集落」。住民の間で孤独死を減らす試みが始まっている。
団地は日本企業で働く外国人の居場所になりつつあり、旧住民と新住民との間で試行錯誤を繰り返しながら距離感を詰める動きが始まろうとしている。
取材先は首都圏だけでなく、名古屋、広島、パリまで及びます。
過去は豊かさの象徴として。現在は多国籍国家を先取りする現場として。形を変えて団地は時代の先端であり続けています。
『ネットと愛国』の過激な展開とはまた違った、抑制の利いた読後感がありました。
2022年1月15日に日本でレビュー済み
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エスニック・セグリゲーションには横浜中華街、池袋北口のような地域もあるが、団地が「移民のゲートウェイ」として機能しているところもある。日本で最初に作られた団地である常盤平団地に起きていることは、「トイレの中で頭を突っ込んだだけで死んだ者」「部屋の中で白骨化した者」「ごみが散乱した部屋で。ごみと一緒にミイラになってしまった死体」「浴槽に浸かったまま死んでいる人」などの高齢化と孤独死の問題だ。
しかし、外国人が住み着くことで団地の様相は変わってきた。埼玉県蕨市の芝園団地は、「チャイナ団地」と呼ばれるほど中国人が多く住みついているが、日本人の高齢者との間にコミュニケーションはない。大学卒業後三井物産に就職した岡崎広樹さんは、海外勤務の駐在者時代に文化摩擦による分断に興味を持ち、共存の可能性を深堀したくなった。そこで、彼は芝園団地に移住し、日本人住民と外国人住民の間で「防災講習会」から「国際交流イベント」などを企画するようになった。
パリのブランメル団地には、多くのマグレブ出身のイスラム移民が暮らすが、2015年のパリ同時多発テロの犯行グループの数名、週刊誌本社襲撃事件の実行犯はパリ郊外の団地で生まれ育った。この傾向はパリだけでなく、他のヨーロッパ諸国でも団地がホームグロウンの実行犯が多く、団地がテロリストの巣窟と言われている。パリ郊外のほとんどの団地ではアソシアシオンと呼ばれる非営利団体が住民活動を行っているが、そこでボランティアで働くソフィーネさんは、団地内の貧困者対策や炊き出しを行っている。彼女は、団地住民に対する世間の見方を変え、住民の意識を変えたいと言う。
このような例から、芝園団地の岡崎広樹さん、パリのブランメル団地のソフィーネさんのように、エスニック・セグリゲーションに寄り添い、内部の分断やホスト社会とのコンフリクトなどの解消に尽力する「ヤキトリの串」のような存在が重要になる。
本書には、このような「ヤキトリの串」の機能を果たす人の存在が日本の将来の形を作っていくのだと実感できるような事例が取材されていて、非常に参考になった。
また、愛知県の保見団地の藤田パウロさんによると、日本中どこの団地でも、エスニック・コンフリクトの最初のきっかけのほとんどは、「ごみの分別問題」だという。池袋北口の池袋チャイナタウンと地元商店街の対立もごみ問題からきているので、まず、多言語化しなければならないのは、ゴミの分別ポスターなのだろう。
しかし、外国人が住み着くことで団地の様相は変わってきた。埼玉県蕨市の芝園団地は、「チャイナ団地」と呼ばれるほど中国人が多く住みついているが、日本人の高齢者との間にコミュニケーションはない。大学卒業後三井物産に就職した岡崎広樹さんは、海外勤務の駐在者時代に文化摩擦による分断に興味を持ち、共存の可能性を深堀したくなった。そこで、彼は芝園団地に移住し、日本人住民と外国人住民の間で「防災講習会」から「国際交流イベント」などを企画するようになった。
パリのブランメル団地には、多くのマグレブ出身のイスラム移民が暮らすが、2015年のパリ同時多発テロの犯行グループの数名、週刊誌本社襲撃事件の実行犯はパリ郊外の団地で生まれ育った。この傾向はパリだけでなく、他のヨーロッパ諸国でも団地がホームグロウンの実行犯が多く、団地がテロリストの巣窟と言われている。パリ郊外のほとんどの団地ではアソシアシオンと呼ばれる非営利団体が住民活動を行っているが、そこでボランティアで働くソフィーネさんは、団地内の貧困者対策や炊き出しを行っている。彼女は、団地住民に対する世間の見方を変え、住民の意識を変えたいと言う。
このような例から、芝園団地の岡崎広樹さん、パリのブランメル団地のソフィーネさんのように、エスニック・セグリゲーションに寄り添い、内部の分断やホスト社会とのコンフリクトなどの解消に尽力する「ヤキトリの串」のような存在が重要になる。
本書には、このような「ヤキトリの串」の機能を果たす人の存在が日本の将来の形を作っていくのだと実感できるような事例が取材されていて、非常に参考になった。
また、愛知県の保見団地の藤田パウロさんによると、日本中どこの団地でも、エスニック・コンフリクトの最初のきっかけのほとんどは、「ごみの分別問題」だという。池袋北口の池袋チャイナタウンと地元商店街の対立もごみ問題からきているので、まず、多言語化しなければならないのは、ゴミの分別ポスターなのだろう。
VINEメンバー
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本書を読むと、日本の団地の問題は、地域的なものというよりは、実は世界の他の地域にも見られる普遍的な問題だった、ということが理解できる。本書では、日本の具体的な団地の事例のほか、フランス郊外の複数の団地の事例も紹介されている。そして、それら多数の団地の成立ち(産業上の理由)や、団地内の対立構造などは、意外に似ている(もちろん、フランスではヘイト暴力事件が多かったのに対し、日本では、団地内の加害行為を移民系住民のせいにしていわゆる「濡れ衣を着せる」、という、特徴の違いはあるけれども)。団地居住者として関与している人も、自分とは直接関係ない問題だと思っている人も、本書を読むことによって、近すぎず遠すぎず、熱くなりすぎず冷たくなりすぎずの視点で、日本における移民問題を生活者の立場から俯瞰できる。よりよい日本生活づくり的な意味で、非常におすすめの本。
ベスト500レビュアー
団地と移民
目の付け所はとてもいいですね。今の社会問題、高齢化、外国人、排外思想の交差点です。
しかし、いかんせん内容が薄い。団地から日活ポルノロマンに飛んだりで団地蘊蓄でページ数を稼ぎます。原武史みたいなルポとかにしたいんですかね。それなら彼の著作でいいです。
孤独死、パリ取材、原爆スラムなんかも取り上げますけど、住民のインタビューと簡単な取組でソフトカバーの単行本の出来上がり...
これって新書で良くない?
目の付け所はとてもいいですね。今の社会問題、高齢化、外国人、排外思想の交差点です。
しかし、いかんせん内容が薄い。団地から日活ポルノロマンに飛んだりで団地蘊蓄でページ数を稼ぎます。原武史みたいなルポとかにしたいんですかね。それなら彼の著作でいいです。
孤独死、パリ取材、原爆スラムなんかも取り上げますけど、住民のインタビューと簡単な取組でソフトカバーの単行本の出来上がり...
これって新書で良くない?
VINEメンバー
高齢化に伴い、住民の孤立化、地域の限界集落化は進む一方である。
そこに著者の専門分野であるヘイトが土足で入り込んでくる様子をレポートしている。
そもそも外国人住民による風紀の乱れや治安の悪化とされるものは、ゴミの出し方が分からない、日本語も分からず、ルールも分からないとの誤解によるものが「ゴミ問題」として分断の種となる。
芝園団地では、
「この団地には広い中庭があるので、昔から近隣の悪ガキたちのたまり場になっているんです。そうした者たちのイタズラを、中国人の仕業だと喧伝する住民がいるんです。少し前のことですが、夏祭りの前夜に、盆踊りの舞台に飾られた提灯が壊されるという事件が起きました。目撃者もいたことで、"犯人"は団地の外に住む日本人の中学生グループだということはわかったのですが、それでも、中国人がやったに違いないというウワサが、あっという間に広がりました」
また、団地内にある芝園公民館の職員も「誤解に基づいた偏見が多い」と嘆いた。
「たとえば大小便の問題も、調べてみたら犬の糞だった、ということもありました。ごみ出しなどで、生活習慣の違いなどからトラブルもあったことは事実ですが、中国人だって団地生活が長くなれば、最低限のルールは覚えてくれます
と話している。
日本
中国人住民の多くは、日本の大学を出て、そのまま日本の企業に就職した会社員とその家族。
蕨市に住んでいたフィリピン人一家が「不法滞在」を理由に入国管理局から強制送還を迫られる。
フィリピン籍の両親には日本生まれの中学1年生の娘がいた。
2009年に行われた大規模なヘイトデモでは、あろうことかデモ隊が娘の通う中学校の前で「追放せよ」と声を張り上げた。
当時、彼女は音楽部の活動中だったという。
友だちの前でヘイトスピーチによって罵倒された少女の胸の内を思うと怒りが込み上げてくる。
メディアもヘイトをあおる。
2018年5月13日、TBSが日曜午後に放映しているバラエティ番組「噂の! 東京マガジン」は、埼玉県川口市内で急増する中国人を特集した。
そのタイトルは「町に中国人が急増! 恐怖の乱闘騒ぎとゴミ問題」である。 司会者が「今回は、年々増えている中国人移住者によるトラブルです」「多くの日本人の住民の方々が悩まされているといった問題です」と特集コーナーの紹介した後に“現地取材”の映像が流された。
西川口駅周辺は、かつて風俗の街として知られていた。
違法な「本番風俗」も行っていたと噂されるその風俗街が、警察による摘発などによって壊滅状態となった。それら違法風俗店に代わって登場したのが、中国人が経営する中華料理店だった。
そうした経緯は番組でも紹介されていたが、特集を貫くのは「中国人によって町の治安が悪化した」という論調である。
では、街の各所に呼び込みの人間が立ち、違法風俗店であふれ、本番風俗の聖地であるとささやかれていた、かつての西川口の街のほうがよかったとでも言うのだろうか。
番組が伝えたのは、西川口の街を暴力とゴミで塗り替える中国人、というイメージ以外のなにものでもない。ましてや芝園団地の映像を、意味もなく挟み込む必要があったのだろうか。
県営基町高層アパート(広島市)
原爆被災者たちが住み始めた“原爆スラム”が建替えられたもの。
日系ブラジル人の多い保見団地(愛知県豊田市)
バブル期に企業が日系人の社宅として団地の部屋を借り上げたことと、1990年に日系二、三世の定住が認められたことで日系人が増えた。
ここでは、1999年に「保見団地抗争」との事件が、ヘイトや右翼によって勃発している。
発端は5月31日22時50分ごろ起きた。
団地内でラーメンを販売していた車の近くで右翼関係者とみられる約10人とブラジル人約20人がにらみ合ったという。
匿名の通報を受けた署員が駆け付けたが、騒ぎは既に鎮まった後で、何が原因かは分からなかった。
多数の情報によると、騒ぎの発端は次のようであった。
ラーメン販売車でラーメンを食べていた日本人の一団が、たまたまそこを通りかかった数人のブラジル人をからかった。
数分後ブラジル人たちが現場に戻り、からかった日本人の一人を殴った。
さらに、ラーメン屋台の自動車を破壊した。
翌日、鉄パイプ、棒、木刀で武装した日本人グループが、日本人を殴ったブラジル人を捜し始めた。
目指す相手は見つからなかったが、殴ったブラジル人の一人の物だと思われる車を滅多打ちにした。
6月5日20時ごろから、同じ右翼関係者のものとみられる街宣車と暴走族風のバイク72台などバス1台、乗用車10台から成る極右集団が団地内の道路を流し「ブラジル人出てこい」「ブラジル人は日本から出て行け」と叫んだ。
180人もの日本人が、手に手に鉄パイプ・木刀・ゴルフクラブ・野球バットなどを持ち武装し、日本人を襲ったブラジル人の若者たちを捜して回った。
極右集団には、10台ばかりのパトカーと私服警察官ら約30人が付き添っていた。
該当するブラジル人たちは、結局見つからず、外国人側に目立った動きはなかった。
フランス
団地がニュースになるとき、それは多くの場合、暴力とドラッグ、そしてテロリズムが同時に語られる。
2015年のパリ同時テロの犯人も、同年に起きた週刊誌銃撃事件の実行犯も、郊外の団地で生まれ育った。
同時テロ事件の直後、日本の新聞は「テロリスト予備軍が育つ場になると同時に、襲撃の前線基地としても機能していた首都郊外」と報じた。
欧州内で起きる「テロ」実行犯の多くは、欧州育ちの「ホームグロウン」なエスニック・マイノリティである。
しかもほとんどが団地出身なのだ。
団地が「テロリストの巣窟」だと思われる所以である。
ル・ブラン=メニル団地
自動車産業労働者による「赤い郊外」が、オイルショックなどによって「移民の郊外」となったもの。
植民地であったアルジェリアが独立したことで、それを是としないフランス人の怒りの矛先は移民に向くようになった。
それがレイシズムとなっている。
中華街
ベトナム・ラオス・カンボジアのインドシナ難民が、共産主義から逃れて旧宗主国へと逃げてきた。
その後、中華街へと変貌する。
目立つのは、仕送りのために路上に立つ売春婦。
ニコラ=サルコジ元大統領は、内務大臣になって以来、団地に対して挑発を続けた。
パリの老朽化した住宅で50人以上の死者を出した火災に対して、彼が指示したのは劣悪な居住環境にある者の立ち退きであった。
非正規滞在者狩りを次から次へと行い、外見だけで尋問を行い、子どもすらがその対象となった。
「社会のクズ」など、言葉による攻撃をしてきた。クリシー=ス=ボワのモスクのなかで女性の祈りの部屋に警察が侵入することを遺憾としなかった。
この「都市一揆」は、こうした地区で政府がとってきた政策、スティグマ化、抑圧、仲介的な役割を担う社会的ストラクチャーの解体、予防措置の解体、低家賃の公営住宅を解体して、不動産投機をやりたい放題やらせ、失業率、とくに若者の失業率が記録的に高くなるなどの結果、によりもたらされたものだ。
また、ホームレスとなった難民が寝泊まりしているパリ北駅構内では、ギーギーとの不協和音が嫌がらせとして襲う。
これらのことから、フランスの自由・平等・博愛の寛容さは、同化の上で成り立っていると読者は知る。
このような“下ごしらえ”があれば、フランス有権者がジャン=マリー・ルペンが率いるヘイトな国民戦線が台頭していった背景も分かる。
このような分断をなくそうとの動きもあり、少しは救われた気持ちになる。
保見ケ丘ブラジル人協会
日本人の防犯パトロールと一緒に活動することで、打ち解けあえてきた。
芝園かけはしプロジェクト
基町プロジェクト
広島市大芸術学部を中心とする学生らによって、行われるソフト面での再開発。
集いの場開設や、地域紙発行など。
フランスでは、難民への炊き出しなどを続ける団地住民のボランティア組織スペランザ。
弱者が弱者を襲うのが、現代の姿であり、それを志向する政権についても、自らが弱者である有権者は経済を主眼に投票する。
この連鎖が断ち切られ、真の寛容が社会に訪れるまで、本書などで学び、抗い続けよう。
そこに著者の専門分野であるヘイトが土足で入り込んでくる様子をレポートしている。
そもそも外国人住民による風紀の乱れや治安の悪化とされるものは、ゴミの出し方が分からない、日本語も分からず、ルールも分からないとの誤解によるものが「ゴミ問題」として分断の種となる。
芝園団地では、
「この団地には広い中庭があるので、昔から近隣の悪ガキたちのたまり場になっているんです。そうした者たちのイタズラを、中国人の仕業だと喧伝する住民がいるんです。少し前のことですが、夏祭りの前夜に、盆踊りの舞台に飾られた提灯が壊されるという事件が起きました。目撃者もいたことで、"犯人"は団地の外に住む日本人の中学生グループだということはわかったのですが、それでも、中国人がやったに違いないというウワサが、あっという間に広がりました」
また、団地内にある芝園公民館の職員も「誤解に基づいた偏見が多い」と嘆いた。
「たとえば大小便の問題も、調べてみたら犬の糞だった、ということもありました。ごみ出しなどで、生活習慣の違いなどからトラブルもあったことは事実ですが、中国人だって団地生活が長くなれば、最低限のルールは覚えてくれます
と話している。
日本
中国人住民の多くは、日本の大学を出て、そのまま日本の企業に就職した会社員とその家族。
蕨市に住んでいたフィリピン人一家が「不法滞在」を理由に入国管理局から強制送還を迫られる。
フィリピン籍の両親には日本生まれの中学1年生の娘がいた。
2009年に行われた大規模なヘイトデモでは、あろうことかデモ隊が娘の通う中学校の前で「追放せよ」と声を張り上げた。
当時、彼女は音楽部の活動中だったという。
友だちの前でヘイトスピーチによって罵倒された少女の胸の内を思うと怒りが込み上げてくる。
メディアもヘイトをあおる。
2018年5月13日、TBSが日曜午後に放映しているバラエティ番組「噂の! 東京マガジン」は、埼玉県川口市内で急増する中国人を特集した。
そのタイトルは「町に中国人が急増! 恐怖の乱闘騒ぎとゴミ問題」である。 司会者が「今回は、年々増えている中国人移住者によるトラブルです」「多くの日本人の住民の方々が悩まされているといった問題です」と特集コーナーの紹介した後に“現地取材”の映像が流された。
西川口駅周辺は、かつて風俗の街として知られていた。
違法な「本番風俗」も行っていたと噂されるその風俗街が、警察による摘発などによって壊滅状態となった。それら違法風俗店に代わって登場したのが、中国人が経営する中華料理店だった。
そうした経緯は番組でも紹介されていたが、特集を貫くのは「中国人によって町の治安が悪化した」という論調である。
では、街の各所に呼び込みの人間が立ち、違法風俗店であふれ、本番風俗の聖地であるとささやかれていた、かつての西川口の街のほうがよかったとでも言うのだろうか。
番組が伝えたのは、西川口の街を暴力とゴミで塗り替える中国人、というイメージ以外のなにものでもない。ましてや芝園団地の映像を、意味もなく挟み込む必要があったのだろうか。
県営基町高層アパート(広島市)
原爆被災者たちが住み始めた“原爆スラム”が建替えられたもの。
日系ブラジル人の多い保見団地(愛知県豊田市)
バブル期に企業が日系人の社宅として団地の部屋を借り上げたことと、1990年に日系二、三世の定住が認められたことで日系人が増えた。
ここでは、1999年に「保見団地抗争」との事件が、ヘイトや右翼によって勃発している。
発端は5月31日22時50分ごろ起きた。
団地内でラーメンを販売していた車の近くで右翼関係者とみられる約10人とブラジル人約20人がにらみ合ったという。
匿名の通報を受けた署員が駆け付けたが、騒ぎは既に鎮まった後で、何が原因かは分からなかった。
多数の情報によると、騒ぎの発端は次のようであった。
ラーメン販売車でラーメンを食べていた日本人の一団が、たまたまそこを通りかかった数人のブラジル人をからかった。
数分後ブラジル人たちが現場に戻り、からかった日本人の一人を殴った。
さらに、ラーメン屋台の自動車を破壊した。
翌日、鉄パイプ、棒、木刀で武装した日本人グループが、日本人を殴ったブラジル人を捜し始めた。
目指す相手は見つからなかったが、殴ったブラジル人の一人の物だと思われる車を滅多打ちにした。
6月5日20時ごろから、同じ右翼関係者のものとみられる街宣車と暴走族風のバイク72台などバス1台、乗用車10台から成る極右集団が団地内の道路を流し「ブラジル人出てこい」「ブラジル人は日本から出て行け」と叫んだ。
180人もの日本人が、手に手に鉄パイプ・木刀・ゴルフクラブ・野球バットなどを持ち武装し、日本人を襲ったブラジル人の若者たちを捜して回った。
極右集団には、10台ばかりのパトカーと私服警察官ら約30人が付き添っていた。
該当するブラジル人たちは、結局見つからず、外国人側に目立った動きはなかった。
フランス
団地がニュースになるとき、それは多くの場合、暴力とドラッグ、そしてテロリズムが同時に語られる。
2015年のパリ同時テロの犯人も、同年に起きた週刊誌銃撃事件の実行犯も、郊外の団地で生まれ育った。
同時テロ事件の直後、日本の新聞は「テロリスト予備軍が育つ場になると同時に、襲撃の前線基地としても機能していた首都郊外」と報じた。
欧州内で起きる「テロ」実行犯の多くは、欧州育ちの「ホームグロウン」なエスニック・マイノリティである。
しかもほとんどが団地出身なのだ。
団地が「テロリストの巣窟」だと思われる所以である。
ル・ブラン=メニル団地
自動車産業労働者による「赤い郊外」が、オイルショックなどによって「移民の郊外」となったもの。
植民地であったアルジェリアが独立したことで、それを是としないフランス人の怒りの矛先は移民に向くようになった。
それがレイシズムとなっている。
中華街
ベトナム・ラオス・カンボジアのインドシナ難民が、共産主義から逃れて旧宗主国へと逃げてきた。
その後、中華街へと変貌する。
目立つのは、仕送りのために路上に立つ売春婦。
ニコラ=サルコジ元大統領は、内務大臣になって以来、団地に対して挑発を続けた。
パリの老朽化した住宅で50人以上の死者を出した火災に対して、彼が指示したのは劣悪な居住環境にある者の立ち退きであった。
非正規滞在者狩りを次から次へと行い、外見だけで尋問を行い、子どもすらがその対象となった。
「社会のクズ」など、言葉による攻撃をしてきた。クリシー=ス=ボワのモスクのなかで女性の祈りの部屋に警察が侵入することを遺憾としなかった。
この「都市一揆」は、こうした地区で政府がとってきた政策、スティグマ化、抑圧、仲介的な役割を担う社会的ストラクチャーの解体、予防措置の解体、低家賃の公営住宅を解体して、不動産投機をやりたい放題やらせ、失業率、とくに若者の失業率が記録的に高くなるなどの結果、によりもたらされたものだ。
また、ホームレスとなった難民が寝泊まりしているパリ北駅構内では、ギーギーとの不協和音が嫌がらせとして襲う。
これらのことから、フランスの自由・平等・博愛の寛容さは、同化の上で成り立っていると読者は知る。
このような“下ごしらえ”があれば、フランス有権者がジャン=マリー・ルペンが率いるヘイトな国民戦線が台頭していった背景も分かる。
このような分断をなくそうとの動きもあり、少しは救われた気持ちになる。
保見ケ丘ブラジル人協会
日本人の防犯パトロールと一緒に活動することで、打ち解けあえてきた。
芝園かけはしプロジェクト
基町プロジェクト
広島市大芸術学部を中心とする学生らによって、行われるソフト面での再開発。
集いの場開設や、地域紙発行など。
フランスでは、難民への炊き出しなどを続ける団地住民のボランティア組織スペランザ。
弱者が弱者を襲うのが、現代の姿であり、それを志向する政権についても、自らが弱者である有権者は経済を主眼に投票する。
この連鎖が断ち切られ、真の寛容が社会に訪れるまで、本書などで学び、抗い続けよう。
2019年10月21日に日本でレビュー済み
最近の団地ものでは「レッドアローとスターハウス :もうひとつの戦後思想史【増補新版】」というのが新潮選書からでており、この本も興味深かった。
この「団地と移民」はそれとは共通する部分も多いのだが、決定的に違うのは「レッドアローとスターハウス」が東京の西武線を軸に論を進めていて局地的なところであり、「団地と移民」は常盤平(千葉県)、神代団地(東京都)、芝園団地(埼玉)、フランスのパリ郊外、広島基町高層アパートそして保見団地(愛知県)など各所の団地の現在の状況を著者が足を運んでルポしている。だから読者は実際に著者と一緒に団地巡りをすることになる。民族ヘイトを乗り越えて団地の新しい未来を模索する人々の活動は読者に希望を与えてくれる。まさにコンテンポラリーな書籍である。
この「団地と移民」はそれとは共通する部分も多いのだが、決定的に違うのは「レッドアローとスターハウス」が東京の西武線を軸に論を進めていて局地的なところであり、「団地と移民」は常盤平(千葉県)、神代団地(東京都)、芝園団地(埼玉)、フランスのパリ郊外、広島基町高層アパートそして保見団地(愛知県)など各所の団地の現在の状況を著者が足を運んでルポしている。だから読者は実際に著者と一緒に団地巡りをすることになる。民族ヘイトを乗り越えて団地の新しい未来を模索する人々の活動は読者に希望を与えてくれる。まさにコンテンポラリーな書籍である。






