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嘘つきアーニャの真っ赤な真実 (文芸シリーズ) 単行本 – 2001/7/1

米原万里 (著)

187件のカスタマーレビュー

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商品の説明

受賞歴

第33回（2002年）大宅壮一ノンフィクション賞受賞

内容紹介

だれも生まれる国は選べない――。

プラハのソビエト学校で、マリは50カ国以上の同級生と個性的な教師に囲まれた刺激的な学校生活を送る。30年後、激動の東欧の中で音信の途絶えた親友達を訪ねあてたマリが遭遇した真実とは。

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登録情報

単行本: 283ページ
出版社: 角川書店 (2001/7/1)
言語: 日本語
ISBN-10: 4048836811
ISBN-13: 978-4048836814
発売日： 2001/7/1
梱包サイズ: 19 x 13 x 2.4 cm
おすすめ度： 187件のカスタマーレビュー
Amazon 売れ筋ランキング: 本 - 71,270位 (本の売れ筋ランキングを見る)
- 669位 ─ 本 > 文学・評論 > エッセー・随筆 > 日本のエッセー・随筆 > 近現代の作品
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カスタマーレビュー

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『世界わが心の旅プラハ４つの国の同級生』（YouTube）と一緒に楽しむこと

2017年1月5日

形式: Kindle版Amazonで購入

米原万里といえばTBSの『ブロードキャスター』のコメンテーター。というイメージしか持っていなかった頃に、エッセイ『ロシアは今日も荒れ模様』を読んでその文章の上手さ、面白さに驚いたのを思い出す。当時、「テレビコメントよりも文章の方が良いな」と思ったような気がする（気のせいかも）。

そして、随分と久しぶりに米原万里の本を読んだ。今度は『嘘つきアーニャの真っ赤な真実』。タイトルだけでは中身がまったく想像出来ないので、余程のきっかけがなければ恐らく手にすることもなかっただろう本である。

本書で登場するプラハのソビエト学校時代の親友3人は皆それぞれ国籍が違う。吉本ばななは「だれもに未来がいっぱいにあった頃の生命力いっぱいの空気」と書いたが、親友達とのエピソードからはまさにそんな空気に充ち満ちたソビエト学校時代が感じられる。米原がソビエト学校で過ごしたのはわずか5年。その後、4人は様々な運命に翻弄されながらそれぞれ別の人生を歩み、およそ30年の時を経て米原が親友立ちを求めて東欧各国を探し歩く…というストーリーである。

結局みんな子供時代に描いた未来は実現しなかったけど、30年ぶりに再開してみるとそれぞれ分別のある大人になっていて、それぞれの人生を生きていた。それは本書の元になったと思われるNHKの『世界わが心の旅プラハ４つの国の同級生』（YouTube）を見るとよくわかる。実際の映像でみる再開の場面は、ちょっとどこかよそよそしい。意外とみんなドライな大人だなぁと感じさせられる。でもそれはカメラが回ってるから当然のことであって、本書を読むと実はそうではないことがよくわかる。大人の装いの下には、ソビエト学校自体ど変わらぬ子供のままの姿が残っているのである。

尚、旧共産圏のリアルに興味をお持ちの方にもお勧めです。

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Amazonカスタマー

共産主義国の世界を知るにはとてもよい教本です

2017年4月5日

形式: Kindle版Amazonで購入

共産圏各国要人の子弟が集まる学校というとそれだけで何かの映画のようだが、
出身国の情勢があやうくなると、たちまちクラスメイトから
距離を置かれるなど、普通の学校とはまた違う苦労を強いられており、
ここにいる子供達は、否が応にも自分の生まれた国を背負いながらの学校生活を過ごしている。

３つのエピソードそれぞれのヒロイン達と著者が幼少時代に過ごした目線と、
30数年後著者と再開したときの目線で描かれている。
共産圏の時代の流れというものを、大人になったヒロイン達の姿を通して見ることができる。
ある者は人間の強さというものを教えてくれたり、またある者は
まるで母国に未練は無いというような、残酷な現実も突きつけてくる。

この本を読むと、民族というアイデンティティの根深さがわかる。
日本という島国で暮らしていると、「自分は日本人だ」という感情はほとんど沸かない。
せいぜい海外旅行に出た時にようやく自覚できる程度だ。

「民族感情は合理的に割り切れないから厄介なんだよ・・」

欧州や中東など、陸続きの国は争いが絶えないのも、こういった
「割り切れない事情」があるからだと思った。
「人類皆兄弟」という言葉が、いかに薄っぺらいかを痛感した。

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エッセイを超えたレベルのエンターテイメント

2017年8月1日

形式: 文庫Amazonで購入

実際はエッセイなんですが、読者に与える影響はその枠に収まりきりません。

良い小説のように話に物事の本質つく深みがあり、
テレビドラマのような気軽さは保ちつつ、
コミックのような時を忘れる中毒性を備え、
良い映画を観た後のような心地よい余韻に浸れます。

これらを全て持ちつつも教養は忘れない。恐るべし本です。

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この時代の共産圏のことをこれほどに詳細に、そして感受性豊かに書き記した著作は他に一つもない

2013年3月30日

形式: Kindle版Amazonで購入

オリジナルは2001年7月リリース。文庫化は2004年6月25日リリース。電子化は2012年9月1日リリース。第33回（2002年）大宅壮一ノンフィクション賞受賞を受賞している。

著者が中学生頃(1960年から64年)を過ごしたプラハのソヴィエト学校の同級生3人のその後を探しに行く、という事実譚なのだが、ただ事実を書いているだけなのにヘタな小説よりよっぽど面白い。事実を書き連ねるだけでも読む者を惹きつけられる。それほどの『事実』にまず感心した。

当時プラハのソヴィエト学校には共産党の親を持つ50カ国以上の同級生がいたらしい。フツーの日本人には感じないことがたくさん出てくる。戦争、各国の共産党の考え方の違い、宗教、人種。そういうった日頃ほとんどの日本人が気にも留めないことが、大きく日々の生活、そしてこの後の人生に大きく影響してくる。フツーの日本人の平々凡々とした生活が、いかに世界的に観て、浮世離れしたものかも痛感する。そしてそれ以上に、この後のプラハ、そしてヨーロッパの共産圏は激動の時代に突入していく中、単なる想像力の産物である『小説』を超える『事実』に圧倒されてしまう。

この時代の共産圏のことをこれほどに詳細に、そして感受性豊かに書き記した著作は他に一つもなかったことも痛感した。ただひとつあげるとすれば、1968年のチェコスロヴァキアの変革運動『プラハの春』を題材にしたミラン・クンデラの『存在の耐えられない軽さ(1984年)』だけだった気がする。

ぼくは特に3番目の同級生ヤースナの話が一番胸に来た。

米原万里自身も、既に2006年5月25日、56歳の若さで早逝している。人の人生は予想もつかないくらいたくさんの要素に影響を受ける。彼女の妹のユリは作家・戯曲家の井上ひさしの妻になっている。どちらも眩い人生だと思う。

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2016年5月24日

形式: 単行本Amazonで購入

暖かいけれどもクールな視点を忘れない作者の文章力が、再会のドラマを、歴史的考察の文脈にきっちりとらえていて、素晴らしい。
YoutubeでNHK　BSの番組と合わせてみると、登場人物を映像で実際に見ることができて、さらに小説がリアリティーをもって訴えかけてくれます。
また、TVの番組だけだと作者の深い考察がまったくカバーできたいないのも理解できて、小説を読むことの楽しみを実感できます。

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2016年1月16日

形式: 文庫Amazonで購入

旅に出るときは、持っていく一冊。今回は、以前のものが、ボロボロになっていたので、購入した。米原さんのニュートラルな視点に好感がもてる。『真っ赤な真実』というタイトルがすごいと思う。読んだ後にこそ、このタイトルの意味がわかる。日本に住んでいたのでは、わからない事実だ。米原さんがいまもご存命なら、今の世界情勢をどう書かれただろう。

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2015年2月23日

形式: Kindle版Amazonで購入

子供のころ、そういえばソ連なんてものがあったな～と、なんだか懐かしく思い返しました。
その頃の共産圏の子供たちの生活や、その後の、特にユーゴ動乱が、どう彼女たちへ影響していたか叙述されており、とても興味深く一気に読んでしまいました。
人生いろいろ。

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2015年3月8日

形式: Kindle版Amazonで購入

米原万里さんの軽妙洒脱な面白いエッセイを以前読んでました。ユーモアたっぷりで、毒舌なんだけどどこか暖かい作品のファンでした。今回もタイトルから、どこか皮肉の効いたユーモアたっぷりの話かと思っていたのですが、いい意味で裏切られました。
米原万里さんの子供時代を共に過ごした茶目っ気たっぷりでそれぞれ魅力的な友人たちとの、エピソードに笑わせてもらい、その後の20世紀終盤のソビエト崩壊と周辺国の政変のニュースに、米原万里さんが彼らの無事を願い、彼らの国を訪れ足跡をおい、なんとか再会をはたすまでの経緯に一緒にドキドキし、再会してから明らかになる彼らの人生も、とてもドラマチックなものでした。
日本ではニュースも国内がメインで、特に東部中部ヨーロッパは情報も少なく遠い気がしますが、もっと世界や世界の人々を知ったり、今の日本にいることがいかに幸せでラッキーなことか、ずっとこのように過ごすにはどうすべきか、とか、色々考えさせられました。多くの人に読んでいただきたいです。

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