1曲目の長尺な演奏を聴けば、多くの人が一噌さんに興味を持つでしょう。
カッコいいし、パワフルだし、優しげだし、何だか懐かしくてウルっとくるし...。
が、聴く機会の少ないアーティストであることも事実で、その点、実にもったい
ないと思います。何か刺激的な音をお探しの方には是非、一聴を薦めたい作品です。
元々、当方は一噌さんの作品群を「和風JAZZ」と勝手に称していましたが、今回は
楽器にダブラが加わったことで、インド・パキスタン辺りの音楽と純和風な音楽の
融合したワールドミュージックのようにも感じられます。
私も含め、多くの人は能楽というものを身近に感じていないでしょうし、能管、篠笛
等の楽器に対しては、神社っぽいねという感想しか出てこないかもしれません。
でも、一噌さんの吹く笛はカッコいい。シビれます。その上、笛の音は何か懐かしさ
を感じさせてくれ、曲によってはとても優しい気持ちにさせてくれます。
別作品ですが、「東京ダルマガエル」の収録曲「メダカの学校むかし話」なんかは、
クレヨンしんちゃんの映画「オトナ帝国の逆襲」に使われた「ひろしの回想」(知ら
ない方ごめんなさい)くらい、得体のしれない懐かしさを感じ、涙腺が緩みます。
こちらも合わせてお薦めします。
ただ、一枚聴き通すのはちょっと長いかな、とも感じます。何枚か楽器編成の異なる
作品を聴き比べた方が良いかもしれません。