原本の出版は1961年ですが、2007年の文庫化にあたり、鈴木武雄氏による「解説 和算の歴史を狭く閉じ込めておかないために」と幾つかの注、そして、人名・事項・和算書名の3索引が付けられています。
最初の出版から46年。この間の研究の進展や新たな知見の追加など、和算をめぐる動きや「歴史学」をとりまく社会的な変化はきっとあったはずで、解説者も、この本の中で著者が疑問としたことを自らのちの著作で解明している事例もあるとし、1993年刊の「和算の誕生」と併せて読むことを勧めています。
これも解説と重複するのですが、和算関係の本には、歴史畑のかたが文化史の一分野として関心を寄せる場合と数学畑のかたがその歴史に関心を寄せる場合とに大分され、若干の方法・方向に相違があるような気がします。その意味からすれば本書は明らかに後者と言えます。ですから本書は横組みで、そのことにこの本の位置づけがあらわれているように思います。
また、著者は「数式をとばしても理解されるものと思うように書いた。」とまえがきでは述べていますが、どうしてなかなか肝心なところで数式等が現れ、それをとばしたのでは何やら解らない、というか事項羅列になってしまって、本を読むのが全く面白くないように思いました。ぱらぱらとめくってみるととても興味深く思えることがたくさん並んでいるのですが、読むのはたいへんシンドイように感じました。
そうですね、理系における講義テキスト・教科書のようと言っておきましょうか。
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