東京藝術大学の声楽科の卒業生や在学生7人が結成したTOKYO VOICESによる奇麗なハーモニーを堪能できるアルバムでした。
1声部を1人で歌っています。それぞれソロを歌える人が、他の人の声を聴きあって美しいハーモニーを作ろうとしているのが伝わってきます。合唱という形式ではなく、重唱のアンサンブルですが、各パートの声部が明瞭になっていますので、それぞれの役割が明確に分かるようになっていました。
ユニゾンもいいですが、ハーモニーになった時の響きの豊かさがこのメンバーの良さでしょう。アマチュアの歌い手とは発声面での違いが明瞭です。無理をして出した声ではなく、自然な歌唱をしようという姿勢にも好感を持って聴きました。
ベルカント唱法を東京藝大で学んでいるわけですが、響きのある透明な発声を意識しているため、聴きやすいですし、ハーモニーが濁らないのでリスナーも心地よく聴くことができます。
このメンバーで歌われた楽譜も別途発売されているようで、その際は、このCDはお手本の演奏と言うことになります。
演奏曲目は、大地讃頌の混声4部以外は全て、混声3部で歌われています。変声期を迎えた中学生たちのクラス合唱としても有用ですし、簡単な編成の高校生の少人数グループで歌う場合も活用できそうでした。
歌唱は9曲ですが、後半は、それのピアノ伴奏カラオケで9曲収録してありますので、練習時にこのCDが伴奏代わりになってくれるわけです。よく考えられています。伴奏のピアノだけを聴いて、一人で旋律部分を歌うことも可能で、まさしく合唱のカラオケを楽しむこともできます。
メンバーは瀧本 真己(Soprano)、石田 彩音(Soprano/Alto)、谷石 奈緒子(Soprano/Alto)、寺島 弘城(Tenor)、久保田 敏生(Tenor)、目黒 知史(Bass)、堤 智洋(Bass)の7人で、写真を見ても分かるように若い方々でした。平均年齢25歳とのこと。その年代でないと出せない初々しい声質の重唱ですので、聴いている方も心地よくなりました。