ジョン・クロウリーは「リトル、ビッグ」「エンジン・サマー」の2長編しか読んだことがありません。
なのにこの作家の作品の空気感は非常になじみのあるもののように感じます。ジャンルもSF、ファンタジー、メインストリームと変化しているはずなのに…
文学的なのに重たくない、難解でない、感傷的でない、鬼火のようにとらえどころのない世界--しかもその下には大理石のようなひんやりとした硬い土台を感じます。
そんなに特徴的な作風の作家ではないですが、その分アクがなくて読みやすいので、こうした魅力が伝わりやすいのだと思います。情緒と理性のバランスも程よい。技巧もやりすぎず嫌味がない。
内容はともかく、描き方で合わなかったと感じる読者はまずいないだろうなと思います(たぶん)。
中でも印象に残るのはやはりSFの傑作「雪」です。メインストリームの中編「シェイクスピアのヒロインの少女時代」のエピソードの重ね方から来る余韻も印象的ですが、他の作品も皆それぞれ味わいがあります。
秋の夜長の読書よりも、夏のいつまでも薄明るい夜にお薦めしたい作品集です。
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