日本における「原発即時ゼロ」は早急に実現しなければならない極めて重要な課題である
その理由は、日本と日本人の絶滅を防ぐためである
本書は、そのための、極めて有効な提言に満ちている
初代原子力規制委員会委員長田中俊一さんは、インタビューに答えて「日本の原子力政策は嘘だらけでここまでやってきた。結果論も含め本当に嘘が多い。・・・嘘で世論を誤魔化しながらやるという風土があった。そこにつけ込まれて・・・原発マネーを狙う汚い人間が集まってくる原因にもなった。」と発言している。
全く同感である。
極端な原価割れの深夜電力料金とセットの電気温水器などは、原子力余剰電力対策のためであるが、それを原発のコストに含めていない。
通産省の時代から、国民には絶対安全だと宣伝しながら、裏では電力会社に「暴走する恐れが有るので出力調整はするな!!!」という、強い行政指導を行ってきた。
これは国民に対する重大な背信行為であり、犯罪行為でもある。
河合弘之弁護士は、嘘に対して、一つ一つ丁寧に反論し、原発を止めるための提言、そのための行動についても有効な手段を行使している。
信頼するに足る人物であり、本書の内容は非常に参考になり、役に立つ。
もっと早くに購入すべきであった。
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原発訴訟が社会を変える (集英社新書) 新書 – 2015/9/17
河合 弘之
(著)
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すべての原発は止められる!
バブル期に大型経済事件で名を馳せたビジネス弁護士が
原発訴訟を勝利へと導いた--。
ビジネス弁護士として、バブル期に数々の大型経済事件を手掛けた著者が、原発訴訟でも徹底して勝敗にこだわり、ついに高浜原発三・四号機の運転差し止め訴訟で画期的勝利を収めた。その法廷戦術や訴訟の舞台裏を初公開する。さらに、脱原発を実現するために著者自ら監督・製作した映画『日本と原発』の重要シーンや製作秘話についても解説。
本書は、日本からすべての原発をなくすための闘いの記録であり、原発推進派の巧妙な手口に対抗するための強力なツールとなる!
[著者情報]
河合弘之(かわい ひろゆき)
一九四四年旧満州生まれ。弁護士。一九六八年東京大学法学部卒業。一九七〇年弁護士開業。さくら共同法律事務所所長。脱原発弁護団全国連絡会共同代表。福島原発告訴団弁護団代表、大飯・高浜原発差止仮処分弁護団共同代表、浜岡原発差止訴訟弁護団団長など、原発訴訟を多く手がける。二〇一四年、初監督映画『日本と原発』公開。
バブル期に大型経済事件で名を馳せたビジネス弁護士が
原発訴訟を勝利へと導いた--。
ビジネス弁護士として、バブル期に数々の大型経済事件を手掛けた著者が、原発訴訟でも徹底して勝敗にこだわり、ついに高浜原発三・四号機の運転差し止め訴訟で画期的勝利を収めた。その法廷戦術や訴訟の舞台裏を初公開する。さらに、脱原発を実現するために著者自ら監督・製作した映画『日本と原発』の重要シーンや製作秘話についても解説。
本書は、日本からすべての原発をなくすための闘いの記録であり、原発推進派の巧妙な手口に対抗するための強力なツールとなる!
[著者情報]
河合弘之(かわい ひろゆき)
一九四四年旧満州生まれ。弁護士。一九六八年東京大学法学部卒業。一九七〇年弁護士開業。さくら共同法律事務所所長。脱原発弁護団全国連絡会共同代表。福島原発告訴団弁護団代表、大飯・高浜原発差止仮処分弁護団共同代表、浜岡原発差止訴訟弁護団団長など、原発訴訟を多く手がける。二〇一四年、初監督映画『日本と原発』公開。
- 本の長さ224ページ
- 言語日本語
- 出版社集英社
- 発売日2015/9/17
- ISBN-104087208028
- ISBN-13978-4087208023
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商品の説明
内容(「BOOK」データベースより)
ビジネス弁護士として、バブル期に数々の大型経済事件を手掛けた著者が、原発訴訟でも徹底して勝敗にこだわり、ついに高浜原発三・四号機の運転差し止め訴訟で画期的勝利を収めた。その法廷戦術や訴訟の舞台裏を初公開する。さらに、脱原発を実現するために著者自ら監督・製作した映画『日本と原発』の重要シーンや製作秘話についても解説。日本からすべての原発をなくすための闘いの記録であり、原発推進派の巧妙な手口に対抗するための強力なツールとなる!
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
河合/弘之
1944年旧満州生まれ。弁護士。1968年東京大学法学部卒業。1970年弁護士開業。さくら共同法律事務所所長。脱原発弁護団全国連絡会共同代表。福島原発告訴団弁護団代表、大飯・高浜原発差止仮処分弁護団共同代表、浜岡原発差止訴訟弁護団団長など、原発訴訟を多く手がける。2014年、初監督映画『日本と原発』公開(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
1944年旧満州生まれ。弁護士。1968年東京大学法学部卒業。1970年弁護士開業。さくら共同法律事務所所長。脱原発弁護団全国連絡会共同代表。福島原発告訴団弁護団代表、大飯・高浜原発差止仮処分弁護団共同代表、浜岡原発差止訴訟弁護団団長など、原発訴訟を多く手がける。2014年、初監督映画『日本と原発』公開(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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登録情報
- 出版社 : 集英社 (2015/9/17)
- 発売日 : 2015/9/17
- 言語 : 日本語
- 新書 : 224ページ
- ISBN-10 : 4087208028
- ISBN-13 : 978-4087208023
- Amazon 売れ筋ランキング: - 581,385位本 (の売れ筋ランキングを見る本)
- - 279位核・原発問題
- - 1,034位集英社新書
- - 59,159位ノンフィクション (本)
- カスタマーレビュー:
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2018年7月1日に日本でレビュー済み
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この、矢部さんの説を否定する文章を読みたくて購入しました。
矢部さんの本(「日本はなぜ『基地』と『原発』を止められないのか」)は、条文も示さずに、ただ専門家がそう言っているから、と。専門家が誰なのかも明らかにしない。河合さんは実際に条文を見られて、否定され、岩波の「世界」2015年5月に論文を乗せたが、矢部さんからの反論はない。
僕も自分で条文を読んだ。河合さんと同じ結論だ。むしろ、協定が原子力政策の妨げになってはいけない、とある。
先日の報道(2018/6/10)で、米は日本に、プルトニウムを減らせ、といってきたらしい。いよいよ核燃料サイクルが立ちいかなくなる。どうする、経産省。
矢部さんの本(「日本はなぜ『基地』と『原発』を止められないのか」)は、条文も示さずに、ただ専門家がそう言っているから、と。専門家が誰なのかも明らかにしない。河合さんは実際に条文を見られて、否定され、岩波の「世界」2015年5月に論文を乗せたが、矢部さんからの反論はない。
僕も自分で条文を読んだ。河合さんと同じ結論だ。むしろ、協定が原子力政策の妨げになってはいけない、とある。
先日の報道(2018/6/10)で、米は日本に、プルトニウムを減らせ、といってきたらしい。いよいよ核燃料サイクルが立ちいかなくなる。どうする、経産省。
ベスト500レビュアー
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『はじめに』を読むと、筆者は、福島第一原発事故を機に、絶対に日本の原発の全てを廃絶しなければならないと決意し、読者が深く考え、そして実際に行動を起こすための材料、つまり「脱原発」を闘うためのツールになればと思い、本書の刊行を決意したのだそうだ。
筆者はまず第一章で、筆者が弁護団の共同代表を務める高浜原発三、四号機の再稼働差し止め訴訟で運転禁止の仮処分命令が発令された今年の4月14日を、日本の司法が原発の再稼働に初めてストップをかけた歴史的な記念日だとするとともに、その法的判断を詳しく解説している。また、この命令は、原子力規制委に対する事実上の業務改善命令でもあったとし、同委の委員長の反論に対しても、事実誤認は委員長の方だと、明快に論破している。
第二章では、前記判断を下した裁判官の大飯原発三、四号機の運転差し止め判決文の一節を紹介している。一部だけ引用しておくが、まことに格調高く、かつ、非常に感銘深いものなので、この後も続く判決要旨を、ぜひ、読まれることをお勧めしたい。「当裁判所は、極めて多数の人の生存そのものに関わる権利と電気代の高い低いの問題等とを並べて論じるような議論に加わったり、その議論の当否を判断すること自体、法的には許されないことであると考えている」。
第三章では、国民の大半が原発は嫌だと思っているにもかかわらず、選挙になると、原発の再稼働を進める自民党が圧勝するのは、心からの怒りや恐怖、絶望感や責任感に裏打ちされた「脱原発」ではなく、不平不満レベルの「脱原発」にとどまっているからだとしている。自分自身をかえりみても、全くそのとおりだと思う。筆者はそんな風潮に対抗するために、脱原発への確信を深めてもらい、原発推進派との論争にも打ち勝つためのツールとして活用してもらいたくて、『日本と原発』という映画を製作したのだそうだ。本書で紹介されている特に重要な場面の抜粋を読んでみると、事故発生直後の状況は危機的なものであり、事故を収束できたのも、日本の科学力によるものではなく、神がかり的な「偶然」によるものだったのだと、思い知らされる。
第四章では、現在の原発を取り巻く政治状況は、民意と実際の政策が大きく乖離しているという民主主義のねじれ状態にあり、そういう時こそ、司法の果たす役割が大変重要になるとし、司法の場で脱原発を進めていく方法を、実例を詳しく示しながら紹介している。
最終第五章では、脱原発のためにあなたにもできることがたくさんあるとして、映画本編では原発推進派の論理を一つひとつ挙げ、その全ての論理を論破しているので、原発推進派の語る嘘を見破り、論破する知識と知恵を身につけてほしいとするとともに、最後に脱原発への具体的な戦略を語って、本書を締め括っている。
筆者はまず第一章で、筆者が弁護団の共同代表を務める高浜原発三、四号機の再稼働差し止め訴訟で運転禁止の仮処分命令が発令された今年の4月14日を、日本の司法が原発の再稼働に初めてストップをかけた歴史的な記念日だとするとともに、その法的判断を詳しく解説している。また、この命令は、原子力規制委に対する事実上の業務改善命令でもあったとし、同委の委員長の反論に対しても、事実誤認は委員長の方だと、明快に論破している。
第二章では、前記判断を下した裁判官の大飯原発三、四号機の運転差し止め判決文の一節を紹介している。一部だけ引用しておくが、まことに格調高く、かつ、非常に感銘深いものなので、この後も続く判決要旨を、ぜひ、読まれることをお勧めしたい。「当裁判所は、極めて多数の人の生存そのものに関わる権利と電気代の高い低いの問題等とを並べて論じるような議論に加わったり、その議論の当否を判断すること自体、法的には許されないことであると考えている」。
第三章では、国民の大半が原発は嫌だと思っているにもかかわらず、選挙になると、原発の再稼働を進める自民党が圧勝するのは、心からの怒りや恐怖、絶望感や責任感に裏打ちされた「脱原発」ではなく、不平不満レベルの「脱原発」にとどまっているからだとしている。自分自身をかえりみても、全くそのとおりだと思う。筆者はそんな風潮に対抗するために、脱原発への確信を深めてもらい、原発推進派との論争にも打ち勝つためのツールとして活用してもらいたくて、『日本と原発』という映画を製作したのだそうだ。本書で紹介されている特に重要な場面の抜粋を読んでみると、事故発生直後の状況は危機的なものであり、事故を収束できたのも、日本の科学力によるものではなく、神がかり的な「偶然」によるものだったのだと、思い知らされる。
第四章では、現在の原発を取り巻く政治状況は、民意と実際の政策が大きく乖離しているという民主主義のねじれ状態にあり、そういう時こそ、司法の果たす役割が大変重要になるとし、司法の場で脱原発を進めていく方法を、実例を詳しく示しながら紹介している。
最終第五章では、脱原発のためにあなたにもできることがたくさんあるとして、映画本編では原発推進派の論理を一つひとつ挙げ、その全ての論理を論破しているので、原発推進派の語る嘘を見破り、論破する知識と知恵を身につけてほしいとするとともに、最後に脱原発への具体的な戦略を語って、本書を締め括っている。
ベスト500レビュアー
関西電力大飯原発三・四号機(若狭湾に突き出した半島の先端部分に位置する。二つ合わせて236万kWの出力)の運転差し止め訴訟に取り組んでいる河合弘之弁護士の原発訴訟の現状。2015年の発行で、その後の変化もあるが、とりあえず、それまでの状況はわかる。
原発訴訟は、1970年代から行われているが、住民側が勝訴したのは稀である。2011年3月11日 東日本大震災において、津波により 福島原発のメルトダウンによって、大きな認識の変化があった。
2011年7月には、脱原発弁護団全国連絡会が結成され、弁護士が170人集まった。バラバラに訴訟していた原発訴訟の情報共有が可能となった。
2015年4月14日 福井地方裁判所(樋口英明裁判長)において、大飯原発3号機及び4号機の原子炉を運転してはならないという仮処分命令を発令した。同原発は、2015年2月12日に、国の原子力規制委員会(原子力規制委)の審査をパスして、再稼働しようとしていた。
2005年から2011年までの7年間に、基準地震動を上回る地震が4回も発生していた。2005年8月16日宮城県沖地震、2007年3月25日能登半島沖地震、2007年7月16日新潟中越沖地震、2011年3月11日東北地方太平洋沖地震。それは、もはや想定外とは言えない。
大飯原発の基準地震動は、700ガルに設定されていた。新潟県中越沖地震は、1699ガルだった。
原発の安全性は、多重防護と言われていたが、福島原発では最も簡単に、多重防護が崩壊してメルトダウンをした。
福井地方裁判所は、「運転禁止」の仮処分命令とは、原子力規制委に対する事実上の業務改善命令だった。700ガルの基準地震動が低いのではないかと指摘した。
地震が来たときに原発がとるべき「安全三原則」がある。核分裂を「止める」、核燃料を「冷やす」、格納容器に放射能を「閉じ込める」。すべてが守られなければ甚大な被害が生じる。福島第一原発事故では三原則は守られなかった。これは、安全安心神話を崩壊させ、結果として国の原子力規制の失敗だった。
判決の内容は、「ひとたび深刻な事故が起これば多くの人の生命、身体やその生活基盤に重大な被害を及ぼす事業に関わる組織には、その被害の大きさ、程度に応じた安全性と高度の信頼性が求められて然るべきである。このことは、当然の社会的要請であるとともに、生存を基礎とする人格権が公法、私法を問わず、すべての法分野において、最高の価値を持つとされている。」「 福島原発事故においては、15万人もの住民が避難生活を余儀なくされ、この避難の過程で少なくとも入院患者等60名がその命を失っている。家族の離散という状況や劣悪な避難生活の中でこの人数を遥かに超える人が命を縮めたことは想像に難くない。」
「新しい技術が潜在的に有する危険性を許さないとすれば社会の発展はなくなるから、新しい技術の有する危険性の性質やもたらす被害の大きさが明確でない場合には、その技術の実施の差止めの可否を裁判所において判断することは困難を極める。しかし、技術の危険性の性質やそのもたらす被害の大きさが判明している場合には、技術の実施に当たっては危険の性質と被害の大きさに応じた安全性が求められることになるから、この安全性が保持されているかの判断をすればよいだけであり、危険性を一定程度容認しないと社会の発展が妨げられるのではないかといった葛藤が生じることはない。」
「我が国の地震学会においてこのような規模の地震の発生を一度も予知できていないことは公知の事実である。地震は地下深くで起こる現象であるから、その発生の機序の分析は仮説や推測に依拠せざるを得ないのであって、仮説の立論や検証も実験という手法がとれない以上過去のデータに頼らざるを得ない。」
「被告は本件原発の稼動が電力供給の安定性、コストの低減につながると主張するが、当裁判所は、極めて多数の人の生存そのものに関わる権利と電気代の高い低いの問題等とを並べて論じるような議論に加わったり、その議論の当否を判断すること自体、法的には許されないことであると考えている。このコストの問題に関連して国富の流出や喪失の議論があるが、たとえ本件原発の運転停止によって多額の貿易赤字が出るとしても、これを国富の流出や喪失というべきではなく、豊かな国土とそこに国民が根を下ろして生活していることが国富であり、これを取り戻すことができなくなることが国富の喪失であると当裁判所は考えている。」いやー。実に格調の高い判決文である。
一言で言えば、「電気代の安さより、安全な暮らし」といっている。
この本出版以降に、2018年7月4日の関西電力大飯原発3、4号機の運転差し止めを住民らが求めた訴訟の控訴審判決が、名古屋高裁金沢支部であった。内藤正之裁判長は運転差し止めを命じた一審・福井地裁判決を取り消し、住民側の請求を棄却した。2018年3月から3号機が再稼働し、同年5月からは4号機も再稼働した。
原発訴訟は、1970年代から行われているが、住民側が勝訴したのは稀である。2011年3月11日 東日本大震災において、津波により 福島原発のメルトダウンによって、大きな認識の変化があった。
2011年7月には、脱原発弁護団全国連絡会が結成され、弁護士が170人集まった。バラバラに訴訟していた原発訴訟の情報共有が可能となった。
2015年4月14日 福井地方裁判所(樋口英明裁判長)において、大飯原発3号機及び4号機の原子炉を運転してはならないという仮処分命令を発令した。同原発は、2015年2月12日に、国の原子力規制委員会(原子力規制委)の審査をパスして、再稼働しようとしていた。
2005年から2011年までの7年間に、基準地震動を上回る地震が4回も発生していた。2005年8月16日宮城県沖地震、2007年3月25日能登半島沖地震、2007年7月16日新潟中越沖地震、2011年3月11日東北地方太平洋沖地震。それは、もはや想定外とは言えない。
大飯原発の基準地震動は、700ガルに設定されていた。新潟県中越沖地震は、1699ガルだった。
原発の安全性は、多重防護と言われていたが、福島原発では最も簡単に、多重防護が崩壊してメルトダウンをした。
福井地方裁判所は、「運転禁止」の仮処分命令とは、原子力規制委に対する事実上の業務改善命令だった。700ガルの基準地震動が低いのではないかと指摘した。
地震が来たときに原発がとるべき「安全三原則」がある。核分裂を「止める」、核燃料を「冷やす」、格納容器に放射能を「閉じ込める」。すべてが守られなければ甚大な被害が生じる。福島第一原発事故では三原則は守られなかった。これは、安全安心神話を崩壊させ、結果として国の原子力規制の失敗だった。
判決の内容は、「ひとたび深刻な事故が起これば多くの人の生命、身体やその生活基盤に重大な被害を及ぼす事業に関わる組織には、その被害の大きさ、程度に応じた安全性と高度の信頼性が求められて然るべきである。このことは、当然の社会的要請であるとともに、生存を基礎とする人格権が公法、私法を問わず、すべての法分野において、最高の価値を持つとされている。」「 福島原発事故においては、15万人もの住民が避難生活を余儀なくされ、この避難の過程で少なくとも入院患者等60名がその命を失っている。家族の離散という状況や劣悪な避難生活の中でこの人数を遥かに超える人が命を縮めたことは想像に難くない。」
「新しい技術が潜在的に有する危険性を許さないとすれば社会の発展はなくなるから、新しい技術の有する危険性の性質やもたらす被害の大きさが明確でない場合には、その技術の実施の差止めの可否を裁判所において判断することは困難を極める。しかし、技術の危険性の性質やそのもたらす被害の大きさが判明している場合には、技術の実施に当たっては危険の性質と被害の大きさに応じた安全性が求められることになるから、この安全性が保持されているかの判断をすればよいだけであり、危険性を一定程度容認しないと社会の発展が妨げられるのではないかといった葛藤が生じることはない。」
「我が国の地震学会においてこのような規模の地震の発生を一度も予知できていないことは公知の事実である。地震は地下深くで起こる現象であるから、その発生の機序の分析は仮説や推測に依拠せざるを得ないのであって、仮説の立論や検証も実験という手法がとれない以上過去のデータに頼らざるを得ない。」
「被告は本件原発の稼動が電力供給の安定性、コストの低減につながると主張するが、当裁判所は、極めて多数の人の生存そのものに関わる権利と電気代の高い低いの問題等とを並べて論じるような議論に加わったり、その議論の当否を判断すること自体、法的には許されないことであると考えている。このコストの問題に関連して国富の流出や喪失の議論があるが、たとえ本件原発の運転停止によって多額の貿易赤字が出るとしても、これを国富の流出や喪失というべきではなく、豊かな国土とそこに国民が根を下ろして生活していることが国富であり、これを取り戻すことができなくなることが国富の喪失であると当裁判所は考えている。」いやー。実に格調の高い判決文である。
一言で言えば、「電気代の安さより、安全な暮らし」といっている。
この本出版以降に、2018年7月4日の関西電力大飯原発3、4号機の運転差し止めを住民らが求めた訴訟の控訴審判決が、名古屋高裁金沢支部であった。内藤正之裁判長は運転差し止めを命じた一審・福井地裁判決を取り消し、住民側の請求を棄却した。2018年3月から3号機が再稼働し、同年5月からは4号機も再稼働した。
2018年9月18日に日本でレビュー済み
先日、2018年9月11日に映画『日本と再生』を見て、その会場で著者のサイン入りの本書を購入。
さすがの私も、本書第三章(98~143頁)を読んで、原発問題の重大性を理解し、弁護士なのに映画監督までやって、映画『日本と原発』及び映画『日本と再生』を創った事情を理解することができました。
裁判官、政治家、財界および官僚のなかにも、少なからずの「脱原発」に同調する人が、現れてきた。圧倒的多数が「原発安全神話」に支配されていた国民も、3.11の福島第一原発事故以来、圧倒的多数が「脱原発」に傾き、現在も後戻りは見られない。
どうやら、さすがの日本社会も、社会を変えるところまで行かないわけには、行かなくなったようだ。
さすがの私も、本書第三章(98~143頁)を読んで、原発問題の重大性を理解し、弁護士なのに映画監督までやって、映画『日本と原発』及び映画『日本と再生』を創った事情を理解することができました。
裁判官、政治家、財界および官僚のなかにも、少なからずの「脱原発」に同調する人が、現れてきた。圧倒的多数が「原発安全神話」に支配されていた国民も、3.11の福島第一原発事故以来、圧倒的多数が「脱原発」に傾き、現在も後戻りは見られない。
どうやら、さすがの日本社会も、社会を変えるところまで行かないわけには、行かなくなったようだ。