とても素敵なことのように思ってしまう「美の追究」にどれほどの危険が潜んでいるかを説いた、貴重な一冊。
高村光太郎の書いた戦意高揚の詩、戦後の彼の姿勢から、「美に生きる」ことの危険を説くことから始まり、『魔の山』や戦時中の「散華」という表現から、判断を狂わせてしまう原因として人間のもつ感性の問題、その機能を論じる。
第4章で著者の提唱する、感性の統合反転作用理論は、これまでただぼんやりと感じていたことを簡潔に言語化したものであり、今後、言語学、環境学など、あらゆるところで用いられるのではないだろうか。
あとがきで「美学と社会とは、このようにつながっていますと示す本を書きたい」と語っており、それが実現したのが本書だという。なるほど、たしかに「美学」という学問が扱う範囲の広さに非常に興味が沸いた。
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