本書は、中国が如何にして南シナ海に覇権を広げるかという(海軍)戦略的視点で述べている、というよりも、南シナ海に面している国々の、歴史や文化に根差す政治的思惑が、どのように南シナ海問題を捉えているか、という内容となっています。それは、国によって捉え方の温度差があり、そこが中国の付け入る隙を与えている現状を伝える物ともなっています。
第1章と第2章は、それ以降の章と比較すると、歴史書の記述を少し引用しながら地政学の考え方を用いて南シナ海問題を俯瞰してます。ここは正直言ってしまえば、予備知識がないと読み進めていくのはやや困難かもしれません。
地政学入門―外交戦略の政治学 (中公新書 (721))
も併せてお読みいただくのが一番良いでしょう。
第3章以降は、南シナ海問題に関連する国がどのような国なのか(あえて「国」という言葉のみ使います)、その紹介に充てられています。ここは先述の「温度差」に直結する話なので、重要な部分と言えるでしょう。なお、紹介されている国は、ベトナム、マレーシア、シンガポール、フィリピン、台湾、中国(北京)となってます。
ここで興味深く読めるのは、まず、マレーシアのマハティール元首相とシンガポールのリー・クアンユー元首相の話と、それぞれが作り上げた国家の話です。また、台湾の章では、どこか日本の戦略にも通じるのではないかと思わせ、面白いです。
惜しむらくは、タイやカンボジア、インドネシアの話が無い事と、一部違和感を感じざるを得ない表記がわずかながらある点です。
それはともかくとしても、本書は、今後更に複雑さの増す南シナ海問題を考えていくにおいて、丁度よいと言えます。
中国の海洋進出や、その思想・理論武装の歴史や背景を知りたい場合は、平松茂雄氏の著作である
中国の戦略的海洋進出
をお読みいただくと良いでしょう。出版自体は10年以上前のものとやや古いですが、中国海軍が沿岸海軍から外洋艦隊へどのように変わっていったのかも書かれており、非常に興味深い一冊と言えます。
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南シナ海が“中国海”になる日 中国海洋覇権の野望 (講談社+α文庫) 文庫 – 2016/1/21
ロバート.D・カプラン
(著),
奥山 真司
(翻訳)
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南シナ海は、海底資源もさることながらインド洋と東シナ海、日本海を結ぶ世界経済の大動脈。海洋大国をめざす中国が、南シナ海の覇権を奪取しようとして、周辺諸国と一触即発になっている。影のCIA「ストラトフォー」地政学アナリストのロバート・カプランが、周辺国を歩いてつぶさに観察し、現地の学者や政治家に取材して、今後の南シナ海情勢を予測する。
米中衝突は不可避となった! “赤い中国”による新帝国主義的覇権主義の危険なゲームが始まる。
海底資源が豊富で、インド洋と東シナ海、日本海を結ぶ世界経済の大動脈・南シナ海。海洋大国をめざす中国は南シナ海の覇権奪取を目論み、周辺諸国と一触即発の状態になっている。
すでに国力の貧弱なフィリピンは完全に見下され、スプラトリー諸島を戦火を交えることなく中国に奪われた。
だが、南シナ海周辺諸国には経済力のあるシンガポールや台湾、マレーシア、中国を恐れぬ国ベトナムなど強敵がひしめいている。
“影のCIA”とも噂される民間情報機関「ストラトフォー」の地政学アナリストのロバート・D・カプランが、周辺国を歩いてつぶさに観察し、現地の学者や政治家に取材して、今後の南シナ海情勢を予測する。
危険な中国の野望とアジアの将来。
マーティン・デンプシー米統合参謀本部議長絶賛!
米中衝突は不可避となった! “赤い中国”による新帝国主義的覇権主義の危険なゲームが始まる。
海底資源が豊富で、インド洋と東シナ海、日本海を結ぶ世界経済の大動脈・南シナ海。海洋大国をめざす中国は南シナ海の覇権奪取を目論み、周辺諸国と一触即発の状態になっている。
すでに国力の貧弱なフィリピンは完全に見下され、スプラトリー諸島を戦火を交えることなく中国に奪われた。
だが、南シナ海周辺諸国には経済力のあるシンガポールや台湾、マレーシア、中国を恐れぬ国ベトナムなど強敵がひしめいている。
“影のCIA”とも噂される民間情報機関「ストラトフォー」の地政学アナリストのロバート・D・カプランが、周辺国を歩いてつぶさに観察し、現地の学者や政治家に取材して、今後の南シナ海情勢を予測する。
危険な中国の野望とアジアの将来。
マーティン・デンプシー米統合参謀本部議長絶賛!
- 本の長さ400ページ
- 言語日本語
- 出版社講談社
- 発売日2016/1/21
- 寸法10.5 x 1.5 x 14.8 cm
- ISBN-104062816431
- ISBN-13978-4062816434
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商品の説明
内容(「BOOK」データベースより)
米中衝突は不可避となった!新帝国主義の危険なゲームが始まる。海底資源が豊富で、インド洋と東シナ海、日本海を結ぶ世界経済の大動脈・南シナ海。海洋大国をめざす“赤い中国”は南シナ海の覇権奪取を目論み、周辺諸国と一触即発の状態になっている。“影のCIA”とも噂されるアメリカ民間情報機関「ストラトフォー」の地政学アナリストが占う、危険な中国の野望とアジアの将来。
著者について
ロバート.D・カプラン
世界的なインテリジェンス企業、米ストラトフォーのチーフ地政学アナリストの他、ワシントンのシンクタンク「新米国安全保障センター」の上級研究員や、高級誌である『アトランティック』誌の外交・安全保障担当記者を長年務める、フリーランスの国際ジャーナリスト。米政権ブレーンとして国防総省・防衛政策協議会のアドバイザーも歴任。2012年には、『フォーリン・ポリシー』誌による「100人のグローバルな思索家」に選出される。『バルカンの亡霊たち』(NTT出版)、『インド洋圏が、世界を動かす』(インターシフト)など、10冊を超える著書がある。
奥山 真司
国際地政学研究所上席研究員、青山学院大学非常勤講師。カナダ、ブリティッシュ・コロンビア大学卒業。英国レディング大学大学院博士課程修了。戦略学博士(Ph.D)。著書の『地政学』(五月書房)のほか、訳書には、ジョン・J・ミアシャイマー『大国政治の悲劇』(五月書房)、エリノア・スローン『現代の軍事戦略入門 陸海空からサイバー、核、宇宙まで』(関根大助との共訳、芙蓉書房出版)、ロバート・D・カプラン『地政学の逆襲 「影のCIA」が予測する覇権の世界地図』(朝日新聞出版)などがある。
世界的なインテリジェンス企業、米ストラトフォーのチーフ地政学アナリストの他、ワシントンのシンクタンク「新米国安全保障センター」の上級研究員や、高級誌である『アトランティック』誌の外交・安全保障担当記者を長年務める、フリーランスの国際ジャーナリスト。米政権ブレーンとして国防総省・防衛政策協議会のアドバイザーも歴任。2012年には、『フォーリン・ポリシー』誌による「100人のグローバルな思索家」に選出される。『バルカンの亡霊たち』(NTT出版)、『インド洋圏が、世界を動かす』(インターシフト)など、10冊を超える著書がある。
奥山 真司
国際地政学研究所上席研究員、青山学院大学非常勤講師。カナダ、ブリティッシュ・コロンビア大学卒業。英国レディング大学大学院博士課程修了。戦略学博士(Ph.D)。著書の『地政学』(五月書房)のほか、訳書には、ジョン・J・ミアシャイマー『大国政治の悲劇』(五月書房)、エリノア・スローン『現代の軍事戦略入門 陸海空からサイバー、核、宇宙まで』(関根大助との共訳、芙蓉書房出版)、ロバート・D・カプラン『地政学の逆襲 「影のCIA」が予測する覇権の世界地図』(朝日新聞出版)などがある。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
カプラン,ロバート・D.
世界的なインテリジェンス企業、米ストラトフォーの地政学チーフアナリストの他、ワシントンのシンクタンク「新米国安全保障センター」の上級研究員や、高級誌である『アトランティック』誌の外交・安全保障担当記者を長年務める、フリーランスの国際ジャーナリスト。米政権ブレーンとして国防総省・防衛政策協議会のメンバーも歴任。2012年には、『フォーリン・ポリシー』誌による「100人のグローバルな思索家」に選出される
奥山/真司
国際地政学研究所上席研究員、青山学院大学非常勤講師。カナダ、ブリティッシュ・コロンビア大学卒業。英国レディング大学大学院博士課程修了。戦略学博士(Ph.D)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
世界的なインテリジェンス企業、米ストラトフォーの地政学チーフアナリストの他、ワシントンのシンクタンク「新米国安全保障センター」の上級研究員や、高級誌である『アトランティック』誌の外交・安全保障担当記者を長年務める、フリーランスの国際ジャーナリスト。米政権ブレーンとして国防総省・防衛政策協議会のメンバーも歴任。2012年には、『フォーリン・ポリシー』誌による「100人のグローバルな思索家」に選出される
奥山/真司
国際地政学研究所上席研究員、青山学院大学非常勤講師。カナダ、ブリティッシュ・コロンビア大学卒業。英国レディング大学大学院博士課程修了。戦略学博士(Ph.D)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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VINEメンバー
Amazonで購入
6人のお客様がこれが役に立ったと考えています
役に立った
2017年10月23日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
筆者は著名なジャーナリストのようだが、本書を読んでみれば分かるが、南シナ海やアジア情勢についてはほとんど素人同然である。戦前の日本をファシズムと呼んだり、中国を海軍国と呼ぶなど、疑問符をつけざるを得ない箇所が少なくなかった。本書を読んで得られた知識もほとんどない。ただ、著名なジャーナリストだけあって、物事のポイントを把握するのが巧みであり、マレーシア、シンガポール、フィリピン、台湾の比較は面白かった。また、地政学の影響を強く受け、地政学や歴史の観点から、南シナ海の戦略的意義を論じているところに、筆者の神髄を見た気がする。

