通常、原作となる小説と映像化したテレビドラマを比較した場合、様々な点でドラマを物足りなく感じるものであるが、本作については、ドラマの演出や脚本があまりにも素晴らしかったため、小説よりもドラマに軍配を上げたい。
とはいえ、この小説も抜群に面白く、読み始めたら一気に引き込まれるストーリー展開は秀逸である。
元銀行員の経験を活かして銀行の実情をリアルに描いているため説得力もある。
バブル崩壊を経て銀行を取り巻く状況が様変わりする中で、上司に裏切られ、理不尽に責任を押し付けられた部下が、起死回生の逆転劇を演じ、復讐を遂げるという勧善懲悪のストーリーとなっている。
見どころは、絶体絶命の危機に瀕する半沢直樹が、粉飾決算を行った西大阪スチールの東田と共犯の浅野支店長を粘り強く追い詰めて、完膚なきまでに叩きのめすまでの過程である。
とりわけ、卑劣に半沢の追い落としを図った浅野の尻尾を掴んで、匿名メールを通じて精神的に追い詰めていくシーンは圧巻である。
このほか、姑息な手段で半沢を罠にかけようとした人事部の小木曽、小心で小賢しい西大阪スチールの波野、窮地に立った実家への融資を打ち切った業務統括部の木村といった悪役にも容赦なく鉄槌を下して、不可能と思われた5億円の回収を成し遂げる。
「やられたらやり返す。十倍返しだ。」と言って鬼と化した半沢の反撃は痛快で、多くの読者は溜飲を下げる思いをするだろう。
夢と希望を抱いて銀行員となったバブル入行組も、その多くは、夢破れ、理想を失い、厳しい現実に直面する。
そんな中で、最後に半沢が語る言葉が印象的だ。「夢を見続けるってのは、実は途轍もなく難しいことなんだよ。その難しさを知っている者だけが、夢を見続けることができる。」
娯楽性が高く万人受けするストーリーのため、誰でも楽しめる小説である。
半沢直樹 1 オレたちバブル入行組 (講談社文庫) (日本語) 文庫 – 2019/11/14
池井戸 潤
(著)
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本の長さ400ページ
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言語日本語
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出版社講談社
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発売日2019/11/14
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寸法10.5 x 1.6 x 14.8 cm
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ISBN-104065170826
-
ISBN-13978-4065170823
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商品の説明
内容(「BOOK」データベースより)
大志を抱いてバンカーとなり、今では大阪西支店融資課長を務める半沢直樹。ある時、支店長命令により五億円もの融資を行った会社があえなく倒産した。融資ミスの責任をすべて半沢に押し付けて醜い保身に走る上司を横目に、半沢は巨額の債権を回収するすべを探る。やられたら、倍返し―痛快リベンジ劇が始まる!
著者について
池井戸 潤
1963年岐阜県生まれ。慶應義塾大学卒。’98年『果つる底なき』で江戸川乱歩賞を受賞しデビュー、2010年『鉄の骨』で吉川英治文学新人賞、2011年『下町ロケット』で直木賞を受賞。主な著書に「半沢直樹」シリーズ、「下町ロケット」シリーズ、「花咲舞」シリーズ、『空飛ぶタイヤ』『ルーズヴェルト・ゲーム』『七つの会議』『陸王』『民王』『アキラとあきら』『ノーサイド・ゲーム』などがある。
1963年岐阜県生まれ。慶應義塾大学卒。’98年『果つる底なき』で江戸川乱歩賞を受賞しデビュー、2010年『鉄の骨』で吉川英治文学新人賞、2011年『下町ロケット』で直木賞を受賞。主な著書に「半沢直樹」シリーズ、「下町ロケット」シリーズ、「花咲舞」シリーズ、『空飛ぶタイヤ』『ルーズヴェルト・ゲーム』『七つの会議』『陸王』『民王』『アキラとあきら』『ノーサイド・ゲーム』などがある。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
池井戸/潤
1963年岐阜県生まれ。慶應義塾大学卒。’98年『果つる底なき』で江戸川乱歩賞を受賞しデビュー。2010年『鉄の骨』で吉川英治文学新人賞、’11年『下町ロケット』で直木賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
1963年岐阜県生まれ。慶應義塾大学卒。’98年『果つる底なき』で江戸川乱歩賞を受賞しデビュー。2010年『鉄の骨』で吉川英治文学新人賞、’11年『下町ロケット』で直木賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
登録情報
- 出版社 : 講談社 (2019/11/14)
- 発売日 : 2019/11/14
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 400ページ
- ISBN-10 : 4065170826
- ISBN-13 : 978-4065170823
- 寸法 : 10.5 x 1.6 x 14.8 cm
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Amazon 売れ筋ランキング:
- 271,019位本 (の売れ筋ランキングを見る本)
- - 178位経済・社会小説 (本)
- - 2,043位直木賞受賞(126-150回)作家の本
- - 5,218位講談社文庫
- カスタマーレビュー:
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カスタマーレビュー
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2019年8月8日に日本でレビュー済み
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2020年7月26日に日本でレビュー済み
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さて、最近、第2シリーズが始まったので、買い直した一冊です
TVで有名になった半沢直樹と言えば、「倍返し」というセリフが有名になりましたが、改めて、読み返してみると、この最初の巻から、既に、「倍返し」という言葉は出てくるんですね
バブル期の銀行と言えば花形業種だったんですが、既に、中間管理職となった半沢の同期も、病気でエリート街道から外れたりと悲喜交々の人生が訪れています
そんな中、大阪の支店の融資課長になった半沢は、倒産した企業の全責任を押し付けられそうになりますが・・・
後は、ネタバレになるので書きませんが、勧善懲悪物になっているので、読後も爽快な一冊です
TVで有名になった半沢直樹と言えば、「倍返し」というセリフが有名になりましたが、改めて、読み返してみると、この最初の巻から、既に、「倍返し」という言葉は出てくるんですね
バブル期の銀行と言えば花形業種だったんですが、既に、中間管理職となった半沢の同期も、病気でエリート街道から外れたりと悲喜交々の人生が訪れています
そんな中、大阪の支店の融資課長になった半沢は、倒産した企業の全責任を押し付けられそうになりますが・・・
後は、ネタバレになるので書きませんが、勧善懲悪物になっているので、読後も爽快な一冊です
2019年1月5日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
やられたら、倍返し!でお馴染みの半沢直樹シリーズ第1作。スカッとする痛快な読後感でした。ですが同時にいろんな気になる点も残りましたね。東田がバラさないだろうか、とかメールの返事を長引かせる事で相手を焦らせて精神を崩壊させる遣り口はあまりにも残酷ではないのか、とか土下座を強要するやり方は後々まで相手に強い遺恨の念を抱かせてしまうのではとか、これ程の激情のぶつかり合いの中では冷静さのタガが外れて修羅場の果てに殺人に発展する恐れもあるという懸念ですね。でも半沢が憎き敵にかけた武士の情けは素直に嬉しかったですね。