電撃文庫から出版された初版を手に取ったのは中学生の終わり頃でした。表紙の女の子の儚さに惹かれたのが一番の理由でしたが、面白くて一気に読んでしまい、あわてて次の巻を買いに行ったのを覚えています。以降この小説は私のお気に入りの一つになり、ついには文春文庫(kindle版)も購入してしまいました(文庫本が手元にあるのに……)。
祐一がどこにでもいる17歳なんですね。たぶんこういうのって誰の中にもあったと思うんです。将来がどうなるかわからなくて、そのことにふざけているように見えて、ほんとは真剣に悩んで、でもこれといってやりたいこともなくて、地元にはいたくなくて、どこか遠くに行ってしまいたいけれど、それがほんの少しだけ怖くて……そんな十代の頃の思い出がよみがえってきます。これ、地方都市で育った人には良くわかる感覚なのかもしれません。地元が好きという人がいるのはわかりますが、正直友人がいても二度と戻りたいと思えないので。
そんな男の子がやがて死んでしまう女の子と出会うところからこのお話は始まります。設定だけ見るとありがちなストーリーですが、登場人物の内面が非常に丁寧に描かれ、生き生きしています。そんな彼ら/彼女らと共感し、こっそり泣きそうになったり、恋とかしてみたくなったり、この物語のなにげない日常から漂う寂寥感にどこか惹きつけられ、10代の頃に、祐一と同じ立場でこの物語に出会えたのはしあわせでした。
ただ、一点だけ気になることとして、祐一たちの言葉が方言となっていることに違和感を感じました。これはこれでいいのかもしれませんが、私にとっては彼ら/彼女らがいるのはどこか特定の場所ではなく、すぐとなりの隣人という感覚が強かったので……。
半分の月がのぼる空 1 (文春文庫) (日本語) 文庫 – 2013/7/10
橋本 紡
(著)
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本の長さ316ページ
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言語日本語
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出版社文藝春秋
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発売日2013/7/10
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ISBN-104167819023
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ISBN-13978-4167819026
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商品の説明
内容(「BOOK」データベースより)
永遠の青春小説、ここに再び!
17歳の裕一は入院先の病院で本好きの絶世の美少女里香に出会う。世界一ワガママな彼女は難病を抱えていた。メディアミックスも話題となった大人気のシリーズ第一巻。
これは、男の子と女の子が出会う、普通の話。だけど、僕たちにとっては本当に本当に特別なことだった――。肝炎で入院中の高校生・戎崎裕一はエロ本集めが趣味の多田さんや元ヤンキーの看護師・亜希子さんに翻弄される日々のなか、同い年の秋庭里香に出会う。人形のように美しく本を愛する文学少女、そして女王様のようにワガママである彼女は、難しい病気をかかえていた。彼女にふりまわされながらも裕一は恋におちていく――。「聖地巡礼」を生んだ、ライトノベルの金字塔のリメイク版、イラストも新たに登場!!
17歳の裕一は入院先の病院で本好きの絶世の美少女里香に出会う。世界一ワガママな彼女は難病を抱えていた。メディアミックスも話題となった大人気のシリーズ第一巻。
これは、男の子と女の子が出会う、普通の話。だけど、僕たちにとっては本当に本当に特別なことだった――。肝炎で入院中の高校生・戎崎裕一はエロ本集めが趣味の多田さんや元ヤンキーの看護師・亜希子さんに翻弄される日々のなか、同い年の秋庭里香に出会う。人形のように美しく本を愛する文学少女、そして女王様のようにワガママである彼女は、難しい病気をかかえていた。彼女にふりまわされながらも裕一は恋におちていく――。「聖地巡礼」を生んだ、ライトノベルの金字塔のリメイク版、イラストも新たに登場!!
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
橋本/紡
1967年、三重県伊勢市に生まれる。97年「猫目狩り」で電撃ゲーム小説大賞金賞を受賞してデビュー。ライトノベル作家として人気を博す。2005年『猫泥棒と木曜日のキッチン』以降は一般文芸作品を発表(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
1967年、三重県伊勢市に生まれる。97年「猫目狩り」で電撃ゲーム小説大賞金賞を受賞してデビュー。ライトノベル作家として人気を博す。2005年『猫泥棒と木曜日のキッチン』以降は一般文芸作品を発表(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
登録情報
- 出版社 : 文藝春秋 (2013/7/10)
- 発売日 : 2013/7/10
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 316ページ
- ISBN-10 : 4167819023
- ISBN-13 : 978-4167819026
- Amazon 売れ筋ランキング: - 667,211位本 (の売れ筋ランキングを見る本)
- カスタマーレビュー:
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カスタマーレビュー
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2017年1月11日に日本でレビュー済み
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役に立った
2013年7月12日に日本でレビュー済み
この作品が出たのも今年で10年になりますね
私はこの小説のことが好きで三重大学を受験しようと考えたこともあったりしました
(結局、東京のほうに行きましたが…その時は重病でしたね…)
*この小説の背景地は三重県伊勢市です
長い間(と言っても7年ぐらいですが)この作品を愛している人として、また再文庫化されたことはとてもうれしいことです
ありがとうございます、そして再文庫化おめでとうございます
私はこの作品をきっかけでこちらの世界(…)に足を入れることになりました、
それだけでなく、橋本紡先生の小説も買って読んだりしましたね...
この作品をきっかけで、橋本紡先生は一般小説を著すようになったらしいです(?)
半分の月がのぼる空は特に橋本紡先生にとっても意味のある作品だと思います
少し話が変わりますが、最近のライトノベルというジャンルは(サーブカルチャー全体的かもしれません)
こういうボーイ ミーツ ガール式(?)の物語が減った感じがしますね
「時代遅れ」と思われるのでしょうか…
私個人的にはハーレムやファンタジー、「萌え」だらけになった今日の業界は何か足りない…といいますか、
全体的なストーリーや流れ、感動より、キャラクターの萌え度(?)ばっかり考えているように見えます
私としては、感動のある、一般小説のようなライトノベル、(これを考えると切がないですが...)
萌えだけでは語れないそういう作品がもっと出て欲しいところです
「あくまでも私個人的な考えです」
ありふれた病院恋愛小説にみえるかもしれません、でもこの小説には人を魅了する何かがあると私は思います
サブカルチャーが好きな人だけでなく、青春小説に興味がある方、時間つぶしで、軽く本でも読んでみたい方など、
様々な読者層におすすめな小説です!
私はこの小説のことが好きで三重大学を受験しようと考えたこともあったりしました
(結局、東京のほうに行きましたが…その時は重病でしたね…)
*この小説の背景地は三重県伊勢市です
長い間(と言っても7年ぐらいですが)この作品を愛している人として、また再文庫化されたことはとてもうれしいことです
ありがとうございます、そして再文庫化おめでとうございます
私はこの作品をきっかけでこちらの世界(…)に足を入れることになりました、
それだけでなく、橋本紡先生の小説も買って読んだりしましたね...
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少し話が変わりますが、最近のライトノベルというジャンルは(サーブカルチャー全体的かもしれません)
こういうボーイ ミーツ ガール式(?)の物語が減った感じがしますね
「時代遅れ」と思われるのでしょうか…
私個人的にはハーレムやファンタジー、「萌え」だらけになった今日の業界は何か足りない…といいますか、
全体的なストーリーや流れ、感動より、キャラクターの萌え度(?)ばっかり考えているように見えます
私としては、感動のある、一般小説のようなライトノベル、(これを考えると切がないですが...)
萌えだけでは語れないそういう作品がもっと出て欲しいところです
「あくまでも私個人的な考えです」
ありふれた病院恋愛小説にみえるかもしれません、でもこの小説には人を魅了する何かがあると私は思います
サブカルチャーが好きな人だけでなく、青春小説に興味がある方、時間つぶしで、軽く本でも読んでみたい方など、
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