余りにも面白すぎる作品。ここ3年の中で最も面白い漫画。おっちゃんワン漫画大賞があったら間違いなく大賞になる作品。一体なぜ、漫画大賞にノミネートすらされてないのか。せめてレビューで貢献したい。
第1巻で余りにも衝撃を受け、その時点で既に多くの方がレビューされていたため、面白いと一言入力して終わってしまった。間違いなく今後バカ売れするだろうと思ってもいたからわざわざ私がクドクドレビューを書く必要もないと思っていた。しかし、発行部数がどの程度かは存じ上げないが、余り広く認知されているようには見えない。ここは一つレビューで何か協力出来ないと思い、今更筆を取った。
というのも、この作品、表紙やタイトルでは中々、中身の予想が付かないのではないだろうか。そしてしかも中身が事前に分かったとして、それが中国古代の怪奇小説短編集のリメイク、というこれまた馴染みのないジャンルに手を出しにくいのかもしれない。しかし間違いなく、上記の理由で敬遠しているのなら、名作を読むチャンスを逃していると言わざるを得ません。
さて、これは一体どういう類の名作なのか?
完全オリジナルの話では無いのかもしれません。お話の元があるのですから。しかし間違いなく名作と呼ばれる作品なのは間違いありません。なぜなら、名作という物は実はゼロから作り出す物だけではなく、過去の作品をリメイクする事でも生まれ得る物だからです。
漫画というジャンルではポンと出てきませんが、小説界隈では往々にしてある作り方。森鴎外の山椒大夫、芥川の羅生門、中島敦の山月記。映画だったら、シンデレラ、白雪姫、人魚姫とかもあるでしょうか。(映画は少し違うか?)。
何にしても、これらの作品の意図するところは一つ。何年、何十年も残ってる作品なんて面白いに決まってるんだから、これをリメイクした作品も面白いに決まってるだろ!ということです。
さて、ではこの千年狐の元になった捜神記はどれ程前の作品か?
それは干宝という古代の中国人が大陸にて記した、約1600年ほど前の作品。何百年前なんていう代物じゃない。正に、千年、二千年前の作品となっている。これだけ長い間残った作品なんだから当然、面白い。そしてそれをリメイクした本作品も当然、面白い。先述した、名作をリメイクした名作と間違いなく言える作品だと思う。
この捜神記は、中国の古代に伝えられていた神、仙、妖、鬼、幽鬼などが主体の話を多数まとめた短編集となっている。昔の中国の怪奇短編集と言った所でしょうか。
この漫画の最後に引用文献が多数載っており(それ自体が異色であるが)、捜神記と中国の文化に関する文献が示されている。この時点で作者は相当勉強している事が伺えるが、私も試しに捜神記(竹田晃訳)なるものを購入して読んでみた所、これが相当量の短編数であるという事が分かった。さらに、この短編集の一つに出てくる千年狐は、本当に無数の作品の中のたった一つという感じで、なぜこれをこの物語の主軸に据えようと思ったのか全く分からない。しかも捜神記の中に出てくる別のお話もチラチラ本作品に登場させており、それが本作のメインストーリーになっていたり伏線になっていたりするところを見ると、恐らく著者は捜神記をちゃんと読んだどころか、相当読み返して内容を十全に把握し、更に自分のオリジナリティを差し込む余地を見つけ出してることになる。原作はあくまで短編集という出来栄えで、話ごとの繋がりはほぼ無いが、今作では実は一つの大きな流れがありました、という風に書き上げている。ここまでの話を作り上げたのは、ひとえに、作者の捜神記への深い愛と敬意があるからだろう。それも本作品が素晴らしい理由の一つだ。
さて、本作品は捜神記に一つの大きな流れがありました、というお話。それを、人間に変じることのできる狐が主人公となって語り、描いていくお話となっている。その流れとはなんなのか?それは作品を読み上げていくことでしか明らかにならないだろう。リメイク?だったらオチはわかってるんだろ?と思われるかもしれないけど、余りにも作者の考察が深く、オリジナリティ溢れているため(しかし原作を大幅に変えていると言った無粋さもない)、先の展開が全く読めない。恐らく後一巻か二巻で終わるであろうから、そのオチが楽しみでしょうがない。唯一残念なのは、本作品があと少しで終わってしまうのでは無いか、ということくらい。
さて、もう一つ絶対にお伝えしなければならない事が、めちゃくちゃギャグが面白いということ。
これまでのレビューを読んで難しい歴史物の話かな?と思われるかもしれないが、そんなことはない。突拍子も無いキャラクターがボケをガシガシかましていく。正直、実はギャグ漫画なんじゃ無いか?と思わせる程ギャグが面白い。ここまで腹が捩れるほど笑ったのは、ジャンプの銀魂を初めて見たとき以来だろうか。
このギャグのおかげか、敬遠されやすい古代中国怪奇譚が一気に現代人の感性に近づいている。このコメディだけでも見る価値のある作品だ。
しかもキャラクターも凄い。
顔がお尻になっている奴や、北斗星や南斗星、足の速いカワウソやダンスを決めるネズミ。読んでて訳わからないと思われるかもしれないが、書いてる自分だって訳わからん。恐らく、捜神記に出てるキャラを史実の通りに描いてるからこその無作為、且つ突拍子も無い造形なのだろう。
普通の作品はどんなに色々なキャラクターが出たとしても同じ一人の作者から生まれているから、大枠からははみ出さない。しかし、本作品は、千年以上前に集められた様々な伝聞から伝わるキャラを出しているからか、全くその法則性が掴めない。全然先が読めないのだ。しかもそのキャラクターの造形について細々と説明することなんてない。ここにも作者の自信が伺える。恐らく、作者にとってこの程度とキャラの造形は造作もないのだろう。引き出しは千年以上前に無数に用意されているのだ…、と言わんばかりである。
これで少しは本作品の中身を掴めたのであれば嬉しい。気になった方は是非購入して欲しい。全く損はしないでしょう。
それでも悩んでる方は、Webのコミックウォーカーにて無料で最初の数話を見られるのでそちらをご覧になっていただきたい。まず間違いなく楽しめると思う。
…じゃあ最初から紹介だけで良いじゃん!と思われるかもしれない。
その通りです。
実は只々、この作品の面白いところを書き連ねたかっただけなんです。
千年狐 三 ~干宝「捜神記」より~ (MFコミックス フラッパーシリーズ) Kindle版
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言語日本語
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出版社KADOKAWA
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発売日2020/2/22
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ファイルサイズ148567 KB
この本はファイルサイズが大きいため、ダウンロードに時間がかかる場合があります。Kindle端末では、この本を3G接続でダウンロードすることができませんので、Wi-Fiネットワークをご利用ください。
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カスタマーレビュー
5つ星のうち4.7
星5つ中の4.7
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2020年4月27日に日本でレビュー済み
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Amazonで購入
32人のお客様がこれが役に立ったと考えています
役に立った
2020年2月24日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
一巻、めっちゃおもろい!Kindleで買ったけど即紙で買い直し。
二巻、うん、おもろい。そんな繋がりがあったんだね~でもちょっとつなぎ的な部分もあるし、若干ギャグに飽きたかな。
三巻、ごめん、面白い。なんかベクトルが増えた気がする!四巻夏だね?!分かった待ってる!
…みたいな感想の変遷…。
王朝の滅亡や人の生き死に、それぞれの主義主張がちょっとした一コマの表情や眉の動かし方で伝わってくる。
同じヒトでも違う世界で生きているモノは異物なんだね…ちょっとそれは寂しいけれど、そうなのか…互いに理解するには時間が足りなさすぎる。
次回どんな風に物語が動いていくんだろう。
二巻、うん、おもろい。そんな繋がりがあったんだね~でもちょっとつなぎ的な部分もあるし、若干ギャグに飽きたかな。
三巻、ごめん、面白い。なんかベクトルが増えた気がする!四巻夏だね?!分かった待ってる!
…みたいな感想の変遷…。
王朝の滅亡や人の生き死に、それぞれの主義主張がちょっとした一コマの表情や眉の動かし方で伝わってくる。
同じヒトでも違う世界で生きているモノは異物なんだね…ちょっとそれは寂しいけれど、そうなのか…互いに理解するには時間が足りなさすぎる。
次回どんな風に物語が動いていくんだろう。


