著者とのご縁があり、この1冊を手に取りました。
私も家族に難病指定される疾患を持つ者がいる中で、著者に初めて会った時、「なんて強い人なんだ」という印象を受けました。
しかし著者と話し、この本を読んで、「強い」とは忍耐や根性の問題ではなく、「自分の人生を自分で掴む」ことを諦めないことなのだと感じます。病気や障害によって「主体的に生きる」ことは奪われていないんですね。
そして、これは何も患者に限らず、今健康な人にも大いに当てはまることだと考えます。
この1冊の中には、著者の病気との向き合うプロセスをもとに、健康観や病気の捉え方をはじめ、自分の人生を生きるための医療そのものへの向き合い方、考え方が非常に具体的に綴られています。
専門用語はほぼ使用されていないので、読むにあたって医療の知識は不要です。
著者が冒頭で触れるように、健康観は十人十色です。
長く生きることなのか、自宅で過ごすことなのか、定期的に趣味のスポーツを行うことなのか、人によって様々です。
しかし、患者と医療者の間でそれが共有されなければ、医療は「標準」や「正常」へと向かうための行為を推奨し、実行していく。これが医療。
この本の中で記述されている医療の捉え方には感銘を受けました。
著者は患者の目線ではあるので、医療者側からすると「失敗しない医療機関の選び方」というフレーズは少々トゲがありますが、それは逆に今の医療が「患者を病気から救う」という点ばかりに焦点が当たっていることの表れなのかもしれません。
患者自身が「自分の人生」を生きるために医療に参画するという捉え方を双方が持つことは、真の意味での患者中心の医療、あえて拡大して言えば「人が自分らしく生きる世の中」を実現するためにとても重要なことだと感じられました。
医療者、患者の方はもちろんですが、今後の医療を考えていく医学生・看護学生・薬学生にもぜひ読んでもらいたい1冊です。
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