マイ箸愛好家の稚拙な批判を、あの手この手で論破していく。割り箸という身近な生活道具から、今の日本のみならず世界の森林問題へと言及していく構成は見事である。割り箸を使う全ての人に一読を勧めたい。
私はおよそ20年前の割り箸論争について書かれた本を読み、それについては十分理解しているつもりだった。しかし、遅ればせながら本書を読み、この論争の構造や背景についての勉強不足を大いに反省させられた。
本書は、論争のその後の推移のみならず、社会背景・森林問題の変容等についてもわかりやすく解説しており、今の国内外の森林問題についても十分に理解することができるだろう。割り箸問題を入口にした、森林問題の優れた解説書となっている。
ちなみに・・・近くにある某観光地の土産売り場には、いまだに「マイ箸で森林破壊を食い止めましょう!」の宣伝文。私が住む市の2010年版NTTタウンページ「製箸業」に載っている会社に問い合わせてみれば、全ての会社がとうの昔に割り箸製造をやめていた・・・。本書が訴える問題は現在進行形で今も続いている。
他のレビュアーの指摘通り、マイ箸愛好家の稚拙な批判にやや感情的になった文章や、説明不足の部分があるのは玉にキズである。しかし、本書を読んで森林問題に関心をもち、国産割りばしを積極的に使おうとする人が少しでも増えることを願ってやまない。多くの人に一読を強くお勧めしたい。
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