映画やドラマで使われる歌には、それ単独で聴いても素晴らしいものと、見た人にこそ良さがわかるものがあるけれど、この歌は後者でしょう。
少なくとも旋律に関して言えば、この歌だけを聞いた人にはそれほど強い印象は残らないと思う。けど、一度でも原作漫画なりTVアニメなりを観た人にとっては、これほどクライマックスにふさわしい歌はない。透明で、そして物語を振り返らずにはいられない切なさに満ちています。原作者が、キャラソンとして作られて一度はお蔵入りになったけれど、どうしても惜しいと思った、と言ったわけがよく分かる。
この歌が作者の心の中にあった女神篇最終回に奇跡的なまでにハマったのか、それとも作者の創作自体に影響を及ぼしたのかはわかりませんが、原作19巻のラストは少年漫画史上でも屈指の名シーンだったし(いい歳してまだ少年誌のラブコメで泣くとは思わなんだ)、アニメもそれに恥じない出来でありました。曲調は自分の抱いていたイメージとはだいぶ違ったけれど、満足です。
CDの出来としては、表題曲には満足ながらもせっかくのボーナストラックが別アレンジの割にあまり代わり映えしないことがやや減点(どうせならアコギ1本のスローバラード調とかで聴きたかった)、けどカップリングのキャッチ・ザ・レインボー(Words by若木民喜)が明るいガールズロックでとても良かった(hysteric blueを思い出した、と言ったら歳がバレるな)ので差し引きプラマイゼロ。19巻かTV版最終回で泣いた人はもう買ってそうですが、もしまだならぜひ。いくらキャラソンでも歌がイマイチだったらやだなー…という人がもしいたら、その点は大丈夫です、と言っておきます。