発酵が着目される今、腐敗や分解に視野を広げる本書は面白い。
生まれた瞬間から死に向かって時を刻み続ける人間は、火葬の風習によって自ら生態系のサイクルから外れたけれど、フンコロガシの美しさに魅了される。腐敗を恐れて、永遠に動き続けたくて、ロボットにAIを詰め込んだけれど、組み上げた積み木の崩れる音を聞きたがる。
作ったものを売り続けるためにモデルチェンジを繰り返し、計画的に陳腐化させるけれど、金継ぎの技術や文化を称賛する。捨てられた紙くずの所有権を曖昧にして、収集や販売の経済圏を作り上げたけれど、原発から出るゴミの置き場は考えない。
総じて矛盾だらけ。
食の歴史の専門家である著者の思想には、「壊れる」ことに対する人の苦悩の歴史が現れるのだ。作った後を無視できない時代。本書には「もの」を「ものがたり」に変えるヒントがある気がする。
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