アニメ「クロスアンジュ」のED曲、5か月半ぶりとなるシングル。
喜多村英梨自身も準ヒロイン役として出演している。
1.「凛麗」
シングル曲「Birth」同様山口朗彦作詞作曲の曲。
TV版では喜多村英梨の丁寧な歌唱と流麗なストリングスを聞かせるバラードといった感じだが、2番でバンドの演奏が力強くダイナミックになる。
一番は聞かせる歌い方だが2番では前のめりなくせを出した、必死な印象の歌になる。ストリングスとバンドサウンドの比率も入れ替わり、ギターソロを聞かせる。
「どんなに どんなに」と何度も繰り返す言葉も最初は祈りから、運命に立ち向かう強い意志になる。
1番はエンディングらしいバラード、2番はラウドロックに寄ったキタエリ仕様の楽曲になっている。
インストを聞くと歌なしでも演奏に感情が宿っているのが分かる、アレンジの多彩さが秀逸な曲。
2.「incomplete」
キタエリらしい、ラウドロック寄りのアッパーな印象の前向きな応援歌。
不敵な感じの英詞のラップを聞かせ、歌は展開に合わせいくつもの表情を見せる。
ピコリーモ風の打ち込み、ギターの存在感が強い曲。
3.「残響//輪廻」
DVD付には収録されていない3曲目。さながらV系のシングルのごとく、通常盤のみで聞ける曲で、ダウンロードもなしという徹底ぶり。
シングル「掌 -show-」のカップリング曲「Greedy;(cry)」同様、壮大なスケールのゴシックなシンフォニックメタルになっているが、前回解禁されたグロウルはなし。
作詞はキタエリ本人、作曲は彼女の楽曲でお馴染みの山崎寛子。
宗教的な荘厳な演奏とともに「reincarnation,destination」と朗々と歌う男声コーラス。抑え気味の色香漂う歌唱から、凛々しい歌唱になっていく。反復するギターフレーズにストリングスが鳴り響き、パイプオルガンで丁寧に歌い上げるパートもある。
不吉さを漂わせつつ、前向きな意志を見せる壮大な恋愛の歌になっている。
アニメのタイアップ曲でありつつ彼女らしさを随所に折り込み、特に3曲目に惹かれた。
「タイアップ曲でラウドすぎるところを見せるのは違うと思っていて、そういう曲はカップリングやアルバムでやる」ということを言っていたが、今回もそういった意志が反映された作品となった。
こちらの通常盤を発売前に予約注文したものの、届いたのは1週間後で、大型CDショップでも在庫わずかが続出していた。
コアなファンは通常盤(とDVD付か)、ライトユーザーは初回限定盤かアニメ盤を購入といった感じか。
最近は女性アイドルの楽曲でもメタルな曲調やフレーズが入っていることが珍しくないが、「メタルやロックはよく分からないけど曲をもらったからやっている」という人が大半かと思う。
大きめの規模で展開できる、メタルやラウドな音楽を強く志向する女性アーティストがいるということ自体、価値があることだと思う。
今後のリリースも楽しみなるシングル。