きっと視聴者の殆どが恵里奈の母親に同情すると思います。何故なら作中で一番の被害者は恵里奈本人と恵里奈の母親の二人で、特に母親の方は一番報われなかったからです。流石にあんまりだ、と思うでしょう。
それでも恵里奈にとって、母として純粋に愛情を注いでくれた人は希和子になるのでしょう。非常に残酷なことですが。
恵里奈は物心ついてから愛情に触れてこなかった、というより触れる余裕がなかったのでしょう。母が急に変わり、気持ちのすれ違いから常に母は怒っている。父も罪悪感から親として距離を感じる。その上世間では色々と騒がれる始末。恵里奈はそんな切羽詰まった環境下でずっと純粋な愛情を求めていたのだと思います。もう忘れてしまった希和子との思い出は、恵里奈の本当に求めていた愛情に触れる特別な時間だったのだと思います。
勿論希和子の行動は褒められるものではないし、悪者といってしまえば簡単です。ただ希和子を悪者と呼ぶなら、不倫をした恵里奈の父親や、中絶した希和子をひたすら追い詰めた恵里奈の母親だって善人とは言えないと思います。この物語の本筋は誰が悪いかといったところではなく、空っぽになりたくないと必死に愛情を求めた恵里奈が、確かに愛されていたんだ、空っぽじゃなかったんだ、そうして最後に愛情に触れることが出来たところにあるのだと思います。