Eテレで、毎週金曜日に放送されている「ロンリのちから」がおもしろいので、監修をなさっている野矢氏の著わした本書を購入した。
本書で、野矢氏はこう述べている。
現代の論理学は、「記号論理学」ともいわれ堅い本だと記号や式のオンパレードだが、本書は記号論理学の入門なのに、記号をほとんど使わず、しかもタテ書き。
論理とは、ふだんことばを使うときの重要な技術のひとつ。
その論理の仕組みを解明するのが、論理学。
ふだんづかいのことばから、その論理を取り出し、理論化し、体系化する学問である。
入門書というのは、少なくとも二種類ある。
①これからもっと進んで勉強するひとのために、第一段階の基礎を教える入門書。積み上げ型。
②ある学問の根本的なところ、その本質をつかみとり提示するという、哲学的な追究。
本書は、②のやり方で根本に向かおうとする入門だという。
そして、日常用いていることばに潜む論理を理論化し、体系化していく作業のプロセスを味わうことに重きを置く。
本書と同じ野矢氏が著わした「論理学」(東京大学出版会 1994年)と本書は、補完的なもので、「論理学」をより平易にした入門編というわけではないという。
論理の証明など、ことばの数学を解いているみたいだが、野矢氏の口調は、あくまでもやさしい。
ほんの少し問題があるが、紙とペンを使って解くと有意義さが増すと思う。
目次は次の通りです。
第1章 あなたは「論理的」ですか?
「論理的」って、どういう意味だろう?
論理は非常識か?
論理学が扱う推論とはどういうものか
論証と導出を区別しよう
ちょっと論理力をテストしてみましょう
論理学って何のためにあるのだろう
論理のことばたち
第2章 「否定」というのは、実はとてもむずかしい
ひとはどういうときに否定するのだろう
私はあなたのことが好きではない
肯定するか、否定するか、どっちかしかない?
勇気と盲腸の違い
二回否定すると肯定になるのか?
矛盾の形
背理は否定される
否定の論理
第3章 「かつ」と「または」
論理と接続詞
「かつ」の入れ方・はずし方
「かつ」の仲間たち
ひとが「または」と言うとき
こうすれば「または」は取れる
「かつ」と「または」を否定すれば
ド・モルガンの法則を導いてみる
第4章 「ならば」の構造
「ならば」で困った
「ならば」のはずし方
導入則をどうしよう
「ならば」の否定
対偶をとる
「ならば」の連鎖
第5章 命題論理のやり方
私たちはいまどのあたりにいるのか
証明するとはどういうことか
論理命題と推論規則
証明も、けっこう楽しい
ほしい論理法則・ほしくない論理法則
二つのアプローチ
「健全」で「完全」な公理系
いろいろな公理系が作れる
遠くにゲーデルの不完全性定理が見える
第6章 「すべて」と「存在する」の推論
この推論はどう扱おう
全称と存在
全称と存在のド・モルガンの法則
世界に三匹のブタしかいなかったら
「すべての男はバカである」の論理構造
「バカな男がいる」の論理構造
「すべて」と「存在する」を組み合わせる
述語論理の公理系
論理学のやり方
おわりに
索引
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