イギリスの奇想作家ウィル・セルフの短篇8篇を集めた短篇集。
一篇一篇詳述するスペースはないですが、それぞれ奇想に溢れていてその着想や展開のさせ方に驚かされます。訳者あとがきによると、ドラッグ中毒で高名な大学に入った経歴があるとの事で、一筋縄ではいかない小説を書く所はそういう出自に由来しているのかもしれません。
全篇を通して読んで思ったのはあまり陰惨にならない(と思う)という点で、昔の異色作家は結構人が死ぬ・殺される事が多い作品が多かった様に記憶しておりますが、本作ではあまりそういう風にならないで、ある種のソフィスティケイテッドされた所に良さがある様に思えました。
似たタイプの作家を考えると少し難しく、今までのコレクションの中でもかなり浮いている様な印象を持ちました。奇想に浸りながら読者を置いていかない所はフレドリック・ブラウンとかを思い出しましたが、ちと違うかも。なんとも不思議な作品なので、二読三読したくなります。
著者の他の作品も読みたくなる奇想作品集の秀作。機会があったら是非。
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