留学することの意義が本書のテーマである。私が本書を面白いと考えた理由は、3つある。
1. 多角的な視点から執筆されている。面白い本が書ける理系の著者(例;養老孟司、茂木健一郎、福岡伸一)に共通する点は、読書家で博識であることだ。本書の著者も、例外ではない。あらゆる書籍を引用しつつ様々な知見が動員され、複眼的に書かれた本となっている。
2. 客観的である。留学を扱った本には自己満足的なものが少なくないが、本書はそのような陥穽に陥らないよう、メタな視点で書かれている。これは良質な研究者に必須な知性のあり方だが、これは本書の執筆にも大いに役立っている。
3. 抽象的である。これは見方によっては「難しい、(具体的でないぶん)分かりにくい」と考えられないこともないのだが、留学の具体的なあり方はあまりにも多様である。そのため、留学を具体的に語り始めてしまうと、情報密度の低下を容易に招いてしまう。本書は、あえて抽象的なスタンスを貫いているため情報密度が高い。
以下は、私にとって重要と思われた部分(原文を簡素化しています)。
・語りには「ベタ」「メタ」「ネタ」の三種がある。ベタとは、事実をシリアスに話すこと。メタとは、自分の経験を相対化する語り方。ネタとは、ある物事の文脈をずらすことにより、なんらかの別の意味付けを与え、付加価値を生み出すプロセスをさす。本書は、留学をネタとしてメタに語るというスタンスを貫いた本である。
・留学の準備に時間をかけすぎると、留学する機会を逸することになりかねない。
・「リスクを恐れてまわりと同じように行動すること」は、リスクが高い。
・「ふつうの人」ほど、留学などで他の人と違う経験をしないと、成功できる可能性は低い。
・留学は、いつか終わる。つまり、期限がある。期限があると、人間は濃密な時間を過ごすことができる。
・失敗することを恐れるな。失敗ほど人が多くを学べるものはない。
・留学について無知であることで、かえって留学に挑戦する勇気が出ることもある。
・留学すると、「日本人代表」として日本に関する質問に答える立場に立たされる。この結果、イヤでも日本についての理解が深まる。
・リーマンショックのように、起こる可能性は低いが、事前に予想できず、破滅的な結果をもたらしうる事象をブラック・スワンと呼ぶ。これから身を守る方法として有用なのが「ハイリスク・ハイリターン」と「ローリスク・ローリターン」を同時に活用することである。
・不慣れな英語を使うことで、私たちは思考の速度を落として熟慮することが容易になる。
・試行錯誤には、コツがある。まず、手段を試行錯誤する。それでダメなら、目的を試行錯誤する。
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優雅な留学が最高の復讐である 若者に留学を勧める大人に知ってほしい大切なこと 単行本 – 2015/9/15
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●大学病院医師としての安定した職を捨て,米国留学に挑戦し,Harvard大学でPIとして研究室運営まで行った著者が,いまあらためて研究留学とはなんなのかという問いを起点に,研究者の生存戦略,グローバル人材育成から,STAP騒動にみる“ネタのベタ化"問題まで,幅広いトピックを展開する.
●これから留学したいと考えている若手と,若手に留学を勧めたいシニア,両者必読の一冊!
■■目次■■
はじめに
第1章 留学はするな─留学のベタ,ネタ,メタ
第2章 やりたいことのない「普通」のあなたに留学を勧める理由
第3章 留学というプロジェクト
第4章 生存戦略としての留学
第5章 Let It Goの罠と留学
第6章 「グローバル化」という中空構造
第7章 大人が「グローバル人材育成」に貢献できること
第8章 大学教師はじまりの物語
第9章 「脳トレ」としての英語─英語で頭を鍛えて賢く長生きする
第10章 なぜわれわれは若者に留学を勧めるのか
対談編
1 椛島健治(京都大学医学部皮膚科)
2 藤井直敬(理研脳科学総合研究センター)
3 色平哲郎(佐久総合病院地域医療部)
4 窪田 良(アキュセラ・インク)
5 矢倉英隆(パリ大学ディドロ博士課程)
6 別役智子(慶應義塾大学医学部呼吸器内科)
7 今井由美子(秋田大学大学院医学系研究科)
8 山本雄士(株式会社ミナケア)
解説(門川俊明/慶應義塾大学医学部医学教育統轄センター)
●これから留学したいと考えている若手と,若手に留学を勧めたいシニア,両者必読の一冊!
■■目次■■
はじめに
第1章 留学はするな─留学のベタ,ネタ,メタ
第2章 やりたいことのない「普通」のあなたに留学を勧める理由
第3章 留学というプロジェクト
第4章 生存戦略としての留学
第5章 Let It Goの罠と留学
第6章 「グローバル化」という中空構造
第7章 大人が「グローバル人材育成」に貢献できること
第8章 大学教師はじまりの物語
第9章 「脳トレ」としての英語─英語で頭を鍛えて賢く長生きする
第10章 なぜわれわれは若者に留学を勧めるのか
対談編
1 椛島健治(京都大学医学部皮膚科)
2 藤井直敬(理研脳科学総合研究センター)
3 色平哲郎(佐久総合病院地域医療部)
4 窪田 良(アキュセラ・インク)
5 矢倉英隆(パリ大学ディドロ博士課程)
6 別役智子(慶應義塾大学医学部呼吸器内科)
7 今井由美子(秋田大学大学院医学系研究科)
8 山本雄士(株式会社ミナケア)
解説(門川俊明/慶應義塾大学医学部医学教育統轄センター)
- 本の長さ272ページ
- 言語日本語
- 出版社医歯薬出版
- 発売日2015/9/15
- 寸法18.8 x 12.8 x 2.5 cm
- ISBN-104263206762
- ISBN-13978-4263206768
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商品の説明
内容(「BOOK」データベースより)
「なぜ最近の若者は留学しなくなったのか」から始まるおとなの自分探し?医学のあゆみ留学対談8本収載。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
島岡/要
大学教授/研究者/医師/教育者/作家。1964年奈良県生まれ。大阪大学医学部を卒業後、医師として約10年集中治療室および手術室で勤務する。1998年渡米、ハーバード大学医学部で助教授・准教授として米国政府より研究費を受け研究室を運営する。2008年ハーバードビジネススクールのパートナーとバイオベンチャーLeuko Bioscienceを起業するがリーマンショックの余波で頓挫する。しかし失敗しても命まで取られないことを学ぶ。2011年より三重大学大学院医学系研究科・分子病態学教授/災害救急医療・高度教育研究センター長/バイオエンジニアリング国際教育研究センター代表(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
大学教授/研究者/医師/教育者/作家。1964年奈良県生まれ。大阪大学医学部を卒業後、医師として約10年集中治療室および手術室で勤務する。1998年渡米、ハーバード大学医学部で助教授・准教授として米国政府より研究費を受け研究室を運営する。2008年ハーバードビジネススクールのパートナーとバイオベンチャーLeuko Bioscienceを起業するがリーマンショックの余波で頓挫する。しかし失敗しても命まで取られないことを学ぶ。2011年より三重大学大学院医学系研究科・分子病態学教授/災害救急医療・高度教育研究センター長/バイオエンジニアリング国際教育研究センター代表(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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