私は原作を先に読みました。
原作では第2章までで、「働かない働きアリがいる」ことと「なぜ、いるのか」が説明されており、第3章以降は、アリやミツバチなどの社会性生物の驚くべき実態が紹介され、それについての進化生物学的な考察が加えられています。ただし、第3章以降は高校生物の遺伝分野について基礎的知識が前提とされており、なじみのない方にはわかりづらいと思います。
本書は、原作の第2章までをコミック化したもので、なぜ「働かないアリに意義がある」のかを説明することに成功しています。
「働きアリはメスなのに、なぜ男性ビジネスマン化して描かれているのか」とか、「女王アリは、べつに働きアリに命令しているわけじゃないのに、なぜ社長として描かれているの?」とか、突っ込みどころは多々ありますが、そこはマンガということで(笑)、流してよろしいのではないでしょうか。作者のいずもり・ようさんも苦労されたことでしょう。
私は小学生と中学生の子どもたちのために買いましたが、とても面白がって読んでいました。
高校生物の知識(ヒトの場合にn=23、2n=46ということと、減数分裂を知っていれば十分です)のある方は、ぜひ原作も読んでみてください。衝撃的で、知的好奇心をくすぐられる話が満載です。生物の世界は「なんでもあり」なんだなぁ、ということがよくわかります。教科書的知識を基準に考えると「例外だらけ」の世界です。でも、そう思えてしまうのは、教科書に「規則通り」のことしか載っていないからなんですね。教科書は基礎知識を伝えるのが目的なので仕方がないのかもしれませんが、「本当に面白いこと」の一歩手前で終わってしまっているのがとても残念です。
Kindle 端末は必要ありません。無料 Kindle アプリのいずれかをダウンロードすると、スマートフォン、タブレットPCで Kindle 本をお読みいただけます。
無料アプリを入手するには、Eメールアドレスを入力してください。
