本書は古代ギリシャから近代フランスに至るまで、
ヨーロッパ戦争史の表舞台に立ち続けた傭兵たちの歴史を描いたものである。
傭兵を主体とする軍隊はローマ帝国末期や近世ヨーロッパのそれが有名であるが、
西洋史を見渡せば、傭兵部隊はいたるところに出現していることが分かる。
例えば西ローマ帝国を滅ぼしたオドアケルや、ドイツ30年戦争で活躍したヴァレンシュタイン。
彼らが皇帝の側近と成り得た背景は、世界史の教科書を読んでもいまいち納得できなかったのだが、
傭兵部隊そのものの位置づけを詳細に説明してくれているおかげで理解することが出来た。
また傭兵部隊の位置づけも、その時々の社会・政治構造から分析し、説得力ある答えを提示してくれる。
著者自身は、祖国のためではなくお金のためにその身を危険にさらす傭兵の歴史を通じて
「祖国のために死ぬこと」や、「ナショナリズム」について分析しようとしていたらしい。
その試みが成功したとは思えないが、そのおかげで敷居が低くなったのは喜ばしいことだとも思う。
軍事史だけでなくヨーロッパ史への取っ掛かりとして、お手にとって頂きたい一冊である。
- 新書: 232ページ
- 出版社: 講談社 (2002/1/18)
- 言語: 日本語
- ISBN-10: 4061495879
- ISBN-13: 978-4061495876
- 発売日: 2002/1/18
- 梱包サイズ: 17.2 x 10.6 x 1.4 cm
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