他の方のレビューにも重なる部分があるかとは思いますが、読後の感想です。
筆者の主張は決して間違っていないとは思いましたが、この本の内容自体が筆者の主張する圧倒的強みとやらをどれだけ打ち出せているかは甚だ疑問です。
どの章を読んでもこの企業はこうしたから成功した。この企業はこうしてしまったから失敗した。
といった結果をよそから見て比較し、だからこうすればよいとダメ出しているだけの内容で、筆者がコンサルタントとして長年活動してきて、こんなダメ企業を自らが携わってこういう戦略で成功に導いた。
といった経験やプロセスがまったく書いてありませんでした。私としてはそういった部分も読みたかった。
私に言わせれば事が起きた後に「たられば」で物事を語るなどというのは単なる傍観者や一生自分の置かれている環境に支配され続け、そこから脱却し、自らが人生をコントロールしようとチャレンジする勇気すらない弱き群れたちの常套句であり、自分で自分のケツもふけない青二才がとる態度です。私はプレイヤーですので、ありがた迷惑な評論家の意見など「聞き」たくもありません。私が「聴く」のはたとえ分野が違くとも懸命に世の中を少しでもよくしようと努力を続ける同志たちの熱き言葉のみです。
少なくとも企業の行く末を案じ、そこで我々のビジョンに付いてきてくれ、毎日働いてくれている従業員たち、そしてその家族の生活を背負って立つため人生を賭して組織の全責任を負い、チャレンジし続けている経営者に対して取る態度ではないと思います。
なんというか、綺麗事ばかりで筆者が今までかいてきたであろう汗や恥、流してきただろう血や涙を、つまり酒井光雄という男の生き様であったり、人生観であったりをまったく感じないです。血の通っていない美辞麗句などジルコニアの輝き同然です。何万個並べようともダイアモンドの本物が放つ輝きの前では遠く及びません。
確かに文章の端々にいいことは書いてありますが、正直経営に関する本を数百冊読めば行動をしない者でも痛みを伴わずに妄想で書けるような内容です。
文章全体に筆者自身の経験が伴っていないため、途中で興醒めしてしまい、完読するのに通常より時間がかかってしまいました。
読み物としてはいいかもしれませんが、読み物としてどうせ読むのならば芳村思風とか、執行草舟などの人格を高める手助けをしてくれる本を読みたいです。彼らの言葉には本物のダイアモンドの輝きが随所にあります。
そして社長業を営む者としてはこの手の本は極めて実務的な物でないと意味がありません。
その証拠に戦略策定シートというページが各章の終わりについていますが、
具体的な利用方法と解説がどこにも書かれておらず、まったく使い物になりませんでした。
この程度ならば似たような内容が1,500円ほどで販売されている書籍に腐るほど書かれています。
果たしてこの書籍に価格の決定権はあるのでしょうか。私にこの本に対する価格の決定権があるとしたら価格をつけるどころがこの本は世に出しません。一生お蔵入りにします。
ちなみにこの本に書かれていた企業のうち数社はこの本が発売されてから10数年経過した今、倒産していたり、
事業の方向性をより大衆向けに転換していたり、販売する商品を高価格帯から低価格帯に変更しています。
それこそ結果をよそから見れば、なんだかね。っていう感じでしょうか。
この本を読むのならば、同じ出版社から出ている牟田學氏の今までの著書全てと佐藤義典氏の戦略BASiCS、高江常男氏の執念の経営をオススメします。
どれもスタイルは違いますが、経験談がありますし、含蓄があります。説得力があります。自ら行った戦略がこうなったという事例も紹介されています。
そしてそれらの文章にはこの本と違い、きちんと血が通っています。
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