IPv4に次ぐバージョンであるIPv6は、IPv4が抱える拡張性やセキュリティの問題をプロトコルレベルで解消する技術として注目されている。ようやくIPv6を実装するOSも登場し、利用する環境が整いはじめている
本書ではKAMEプロジェクトのIPv6を実装しているFree BSDをもとに、IPv6の基礎知識やIPv6を使用したネットワークの構築、IPsecの使用方法について解説している。IPv6の基礎的な知識についてはifconfigコマンドの情報をもとにしたアドレス情報の内容の説明や通信形態の解説、IPv6アドレスの割り当て方式の解説を行っている。ネットワークの構築については2台のIPv6マシン同士のLAN構築の解説から始まり、DNS問題の扱い、sendmailを用いたIPv6での電子メールの設定とApacheを使ったIPv6対応のWeb環境構築の方法、そしてIPv4との共存するためのプロトコルトランスレータの設置の仕方が解説されている。最後にIPsecの利用としてIPsecの動作のしくみと認証・暗号化技術についての解説を行っている。実用的な設定事例を取り上げて紹介しているので、IPsecを利用したネットワークを構築する際に大いに参考になるだろう。付録として関連するコマンドの一覧が掲載されている点もありがたい。
Unix系OSでネットワーク構築をしたことがある人なら誰でもIPv6を利用することができるようになるだろう。IPv6を使ったネットワークを構築したい人におすすめ。(斎藤牧人)
使って学ぶIPv6 IPv6ネットワークの基礎と構築法を解説。構築法は,FreeBSD4.5と,KAMEプロジェクトが開発したIPv6プロトコル・スタックに基づく。IPSecによるセキュリティ通信も説明。
(日経インターネットテクノロジー 2002/07/01 Copyright©2001 日経BP企画..All rights reserved.)
-- 日経BP企画
著者からのコメント
『使って学ぶIPv6』のしっぽ この本のおまけとして
『使って学ぶIPv6』のしっぽをアスキーのHPに作りました。(KAMEの本なのにlinux以下にあるのはご愛嬌)
書ききれなかった内容なども、少しだけ追加しましたので、よかったらご覧下さい。
内容(「BOOK」データベースより)
128ビットアドレス空間への招待。FreeBSD+KAMEを使って、概念、日常的なネットワークの構築、IPsecの利用までをわかりやすく解説。
内容(「MARC」データベースより)
自動車や携帯電話、家電といった、従来はインターネットに接続されていなかった機器をインターネットに参加させる時に、IPv6が利用されるようになっている。その概念、日常的なネットワークの構築などについて解説する。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
砂原/秀樹
1960年生まれ。1988年、慶応義塾大学大学院理工学研究科博士後期課程修了。工学博士。現在、奈良先端科学技術大学院大学情報科学センター教授。WIDEプロジェクトのボードメンバーでもある。村井純氏らとともにJUNET、WIDEプロジェクトを通して日本のインターネット黎明期よりインターネットの研究に従事。現在とくに自動車とインターネットに関するプロジェクトにかかわっている
増田/康人
1976年生まれ。1999年、慶応義塾大学環境情報学部卒業。2001年、同大学大学院政策・メディア研究科修士課程修了。WIDEプロジェクトメンバーとしてIPv6を中心としたインターネットの研究に従事している
長橋/賢吾
1977年生まれ。2000年、慶応義塾大学環境情報学部卒業。2002年、同大学大学院政策・メディア研究科修士課程修了。東京大学大学院情報理工学研究科博士課程在籍。WIDEプロジェクトメンバー。IPv6における経路制御およびアドレス管理に興味をもつ
有賀/征爾
1975年生まれ。2000年、慶応義塾大学環境情報学部卒業。2002年、同大学大学院政策・メディア研究科修士課程修了。WIDEプロジェクトにて、日本の6Boneの運用に携わる。ネットワークセキュリティをおもな研究分野とする(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)