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佐藤栄作 戦後日本の政治指導者 (中公新書) Kindle版
1960年代半ばから7年を超える長期政権を誇った佐藤栄作。岸信介の実弟で、吉田茂に寵愛された佐藤は、寡黙な官僚政治家との批判が強く、ノーベル平和賞受賞には違和感の声さえ上がった。だが憲法改正を回避し、日米安保体制の安定を確立させる中、沖縄返還、日韓基本条約締結、急激な経済成長に対する社会開発政策など事績は多い。本書は、佐藤の軌跡を追いつつ、核兵器を保有せず大国の地位を獲得した戦後日本を描く。
- 言語日本語
- 出版社中央公論新社
- 発売日2019/12/25
- ファイルサイズ23945 KB
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商品の説明
著者について
村井良太
1972(昭和47)年香川県生まれ.神戸大学大学院法学研究科博士課程修了.日本学術振興会特別研究員を経て,2003年に駒澤大学法学部講師,同准教授などを経て,13年よ現職.専攻・日本政治外交史.著書に『政党内閣制の成立 1918-27年』(有斐閣,2005年.第27回サントリー学芸賞受賞)『政党内閣制の展開と崩壊 1927-36年』( 有斐閣,2014年)など.共著多数. --このテキストは、paperback_shinsho版に関連付けられています。
1972(昭和47)年香川県生まれ.神戸大学大学院法学研究科博士課程修了.日本学術振興会特別研究員を経て,2003年に駒澤大学法学部講師,同准教授などを経て,13年よ現職.専攻・日本政治外交史.著書に『政党内閣制の成立 1918-27年』(有斐閣,2005年.第27回サントリー学芸賞受賞)『政党内閣制の展開と崩壊 1927-36年』( 有斐閣,2014年)など.共著多数. --このテキストは、paperback_shinsho版に関連付けられています。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
村井/良太
1972(昭和47)年香川県生まれ。神戸大学大学院法学研究科博士課程修了。博士(政治学)。日本学術振興会特別研究員を経て、2003年に駒澤大学法学部講師、同准教授などを経て、13年より駒澤大学法学部政治学科教授。専攻・日本政治外交史。著書『政党内閣制の成立1918~27年』(有斐閣、2005年。第27回サントリー学芸賞受賞)ほか(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです) --このテキストは、paperback_shinsho版に関連付けられています。
1972(昭和47)年香川県生まれ。神戸大学大学院法学研究科博士課程修了。博士(政治学)。日本学術振興会特別研究員を経て、2003年に駒澤大学法学部講師、同准教授などを経て、13年より駒澤大学法学部政治学科教授。専攻・日本政治外交史。著書『政党内閣制の成立1918~27年』(有斐閣、2005年。第27回サントリー学芸賞受賞)ほか(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです) --このテキストは、paperback_shinsho版に関連付けられています。
内容(「BOOK」データベースより)
1960年代半ばから7年を超える長期政権を誇った佐藤栄作。岸信介の実弟で、吉田茂に寵愛された佐藤は、寡黙な官僚政治家との批判が強く、ノーベル平和賞受賞には違和感の声も上がった。だが憲法改正を回避し、日米安保体制の安定を確立させる中、沖縄返還、日韓基本条約締結、急激な経済成長に対する社会開発政策など事績は多い。本書は、佐藤の軌跡を追いつつ、核兵器を保有せず大国の地位を獲得した戦後日本を描く。 --このテキストは、paperback_shinsho版に関連付けられています。
登録情報
- ASIN : B088KLVFDK
- 出版社 : 中央公論新社 (2019/12/25)
- 発売日 : 2019/12/25
- 言語 : 日本語
- ファイルサイズ : 23945 KB
- Text-to-Speech(テキスト読み上げ機能) : 有効
- X-Ray : 有効にされていません
- Word Wise : 有効にされていません
- 本の長さ : 439ページ
- Amazon 売れ筋ランキング: - 262,810位Kindleストア (の売れ筋ランキングを見るKindleストア)
- - 2,060位中公新書
- - 2,516位政治 (Kindleストア)
- - 7,857位政治入門
- カスタマーレビュー:
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カスタマーレビュー
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2022年2月25日に日本でレビュー済み
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Amazonで購入
私の頭が悪いのかわからないが、これほど読みにくく頭に入らない本もあまりないと思う。原因は何か考えてみたが、歴史を書く場合には必ず必要な筆者の視点が欠けていることにある。要は佐藤を見る視点が明確でないまま(あるいは陳腐な誰でも知っている視点で)、慌てて書いているせいであろうと思われる。こういった程度の日本外交史関係の書は他にも多いが、この程度の煮詰め方で出版に走るようなことが繰り返されれば、見た目の実績は作れても、外交史の業界のレベルもずいぶん落ちたのではないだろうか。自分の視点(本来はthesisと呼ぶべきだろうが)が無い歴史。ただの事実の羅列である。歴史学でもなんでもない。
役に立った
ベスト100レビュアー
安倍晋三首相(以下「安倍首相」という。)の大叔父にあたる故・佐藤栄作元首相(以下「佐藤首相」という。)の生涯の足跡を丹念に綴っている。
特に、首相時代の記述は微に入り細を穿つ充実した内容となっている。
内政では、「社会開発」を唱えて高度経済成長の歪みを正し、文化庁や環境庁を発足させ、外交面では、小笠原や沖縄の施政権返還に尽力した。
特に、沖縄復帰は佐藤首相の悲願であり、大きな外交課題でもあり、本書でもアメリカとの返還交渉に大きく紙幅を割いていて、佐藤首相の執念が伝わってくる迫真の内容となっている。
一般的には、冷淡な官僚政治家としてマスコミからの評価は低かったが、首相退任後にノーベル平和賞を受賞したことに代表されるように、日本が非核・専守防衛の平和大国への道を選択したことは、佐藤政権の方向性が正しかったことの証左であろう。
7年8ヶ月に及ぶ長期政権を維持して日本国を平和国家へと導いてきた佐藤首相の偉大さを、安倍首相にも見習っていただきたいと思う。
特に、首相時代の記述は微に入り細を穿つ充実した内容となっている。
内政では、「社会開発」を唱えて高度経済成長の歪みを正し、文化庁や環境庁を発足させ、外交面では、小笠原や沖縄の施政権返還に尽力した。
特に、沖縄復帰は佐藤首相の悲願であり、大きな外交課題でもあり、本書でもアメリカとの返還交渉に大きく紙幅を割いていて、佐藤首相の執念が伝わってくる迫真の内容となっている。
一般的には、冷淡な官僚政治家としてマスコミからの評価は低かったが、首相退任後にノーベル平和賞を受賞したことに代表されるように、日本が非核・専守防衛の平和大国への道を選択したことは、佐藤政権の方向性が正しかったことの証左であろう。
7年8ヶ月に及ぶ長期政権を維持して日本国を平和国家へと導いてきた佐藤首相の偉大さを、安倍首相にも見習っていただきたいと思う。
ベスト500レビュアー
本書は、戦後の高度経済成長期からの重要な時期に首相を務め、日本人唯一(2020年1月時点)のノーベル平和賞受賞者でもある佐藤栄作の評伝である。
新書で400ページ超という厚さは、がっちりした硬派な本の多い中公新書の中でも厚めの一冊である。
前半の3割ほどが、吉田の薫陶を受けて首相に至るまでの道のり、真ん中の6割ほどが首相在任期の話という構成で、首相引退後は(そもそも早く亡くなっているので多くの活動内容はないが)駆け足で終わっている。
首相在任期の話は、特に沖縄と安全保障、アメリカとの関係性に多くの紙面がとられている。
アメリカとの同盟関係は今でこそ自明な存在だが、当時はまだ必ずしも確立しきったものではなく、70年安保で平穏に過ぎ去ったことに彼の手腕を見ることも出来るとしている。
安全保障については、佐藤は現実主義者ではあるが、同時に平和国家日本という理想主義的な要素を理想としてきちんと掲げる意義も重く受け止めている。
他の国での領土紛争を見るならば、沖縄返還を双方の同意のもとで平和裏に行ったことは確かに評価できるものであろう。
ノーベル平和賞は、政治家がもらうことが多いある種の牽制的な賞でもあるとはいえ不釣り合いな印象もあるが、本書で紹介されている江崎玲於奈の評「最近、金もないのに原子爆弾を作ろうとしている国もあるので、国際社会から見ると佐藤さんの行き方は、当の日本人が考えるよりはるかに立派な行動だったのではないでしょうか」(p379)はなるほどそうかなと思わされる。
現実主義的な政治、引退会見の不手際、不釣り合いなノーベル賞などで評判は芳しくないが、戦後日本の基礎を築いた点はもっと評価されてもいいのだろう。
安全保障のほかに社会開発もまたスローガンとしてよく出ては来るのだが、こちらについてはスローガン以上の政策面での奮闘はあまり深く描かれていない。
すでに紙面を十分使ってしまっているからかもしれないが、このあたりについても佐藤政権のもう一つの柱でありその後の日本の基礎にもあるのだから、もう少し解説してくれるとよかった気はする。
最後に、日本語の文章、特に読点の打ち方や複文の際のつなげ方がしばしば変なのは気になった。
例えば「岸の見立てでは、佐藤は自ら連座した造船疑獄は鳩山の自由党からに離党と復党に関係があると考えていたので、鳩山新党への参加はどうしてもできず、吉田は逆に佐藤に殉じたのだろうという」(p72)とか、「池田側近の大平正芳は一九五四年一二月に吉田が政権を去って以来、反吉田勢力の時代が続いたが、ここで池田、佐藤という旧自由党系の実力者が政権の柱になったと評価する」(p87)とか、引用型の複文で切れ目が分かりにくく、一読で意味がとりにくかった。
文章はもう少し工夫してもらえるとよかったように思う。
新書で400ページ超という厚さは、がっちりした硬派な本の多い中公新書の中でも厚めの一冊である。
前半の3割ほどが、吉田の薫陶を受けて首相に至るまでの道のり、真ん中の6割ほどが首相在任期の話という構成で、首相引退後は(そもそも早く亡くなっているので多くの活動内容はないが)駆け足で終わっている。
首相在任期の話は、特に沖縄と安全保障、アメリカとの関係性に多くの紙面がとられている。
アメリカとの同盟関係は今でこそ自明な存在だが、当時はまだ必ずしも確立しきったものではなく、70年安保で平穏に過ぎ去ったことに彼の手腕を見ることも出来るとしている。
安全保障については、佐藤は現実主義者ではあるが、同時に平和国家日本という理想主義的な要素を理想としてきちんと掲げる意義も重く受け止めている。
他の国での領土紛争を見るならば、沖縄返還を双方の同意のもとで平和裏に行ったことは確かに評価できるものであろう。
ノーベル平和賞は、政治家がもらうことが多いある種の牽制的な賞でもあるとはいえ不釣り合いな印象もあるが、本書で紹介されている江崎玲於奈の評「最近、金もないのに原子爆弾を作ろうとしている国もあるので、国際社会から見ると佐藤さんの行き方は、当の日本人が考えるよりはるかに立派な行動だったのではないでしょうか」(p379)はなるほどそうかなと思わされる。
現実主義的な政治、引退会見の不手際、不釣り合いなノーベル賞などで評判は芳しくないが、戦後日本の基礎を築いた点はもっと評価されてもいいのだろう。
安全保障のほかに社会開発もまたスローガンとしてよく出ては来るのだが、こちらについてはスローガン以上の政策面での奮闘はあまり深く描かれていない。
すでに紙面を十分使ってしまっているからかもしれないが、このあたりについても佐藤政権のもう一つの柱でありその後の日本の基礎にもあるのだから、もう少し解説してくれるとよかった気はする。
最後に、日本語の文章、特に読点の打ち方や複文の際のつなげ方がしばしば変なのは気になった。
例えば「岸の見立てでは、佐藤は自ら連座した造船疑獄は鳩山の自由党からに離党と復党に関係があると考えていたので、鳩山新党への参加はどうしてもできず、吉田は逆に佐藤に殉じたのだろうという」(p72)とか、「池田側近の大平正芳は一九五四年一二月に吉田が政権を去って以来、反吉田勢力の時代が続いたが、ここで池田、佐藤という旧自由党系の実力者が政権の柱になったと評価する」(p87)とか、引用型の複文で切れ目が分かりにくく、一読で意味がとりにくかった。
文章はもう少し工夫してもらえるとよかったように思う。
2020年1月17日に日本でレビュー済み
岸信介は、「勉強では兄、オレ、弟の順だが、政治力では弟、オレ、兄の順
だった」と言っていましたが、これは謙遜と思いきや正直な実感だったようで、
佐藤栄作は戦前は官僚として軍部の愚劣さを眺めながら、戦後は師の吉田茂
の影響下、兄の岸の蹉跌も目の当たりにしつつ、池田の高度成長の歪みを修正
しながら長期政権を担い、今から思えばありえないほど難しい沖縄返還を実現
して、日本の戦後に一区切りをつけることに成功します。
日本が核兵器を持たないと決めた段階で、アメリカの核の傘の下でのバランス
ということになるため、地政学的に重要な沖縄の返還の際に核の持ち込みを
どう規制するかは、日本の安全保障にとっても重要な問題で、三原則とは別に
非常時にアメリカの行動に余地を与えることは現実的な選択であったようです。
本書によると、佐藤の政治の進め方には、日本の愚劣な過去を真摯に反省した
立場での気持ちが良いほどの率直さがあり、非常に質の良い情報や吉田の薫陶、
岸の支援の下、今日的にも意義深いバランスの良いビジョンを描くことで、
国際社会のリーダーとの対話でも説得力を持つものになったようで、池田に
総裁選を挑む資金を流用して欧州を歴訪したことなどもビジョンの下地に
なったようです。
個人的には、昭和を三期に分けるとすれば、敗戦と佐藤退陣がその劃期になる
と考えていて、田中以後は政治が一気に劣化したその理由を探りたいところも
あったのですが、その萌芽は佐藤政権の末期に現れていたようで、佐藤政権
まではマスコミの影響に超然としていられた政府が、マスコミの影響を受け
やすくなり、野党の活動もテロや学生運動と結びついて劣化してしまった、
そうしてその影響は今日まで禍根を残しているように思われ、佐藤さんが
もっと長生きして、ノーベル平和賞受賞者として影響を与えていたらと、
今さらながら惜しい気もします。
だった」と言っていましたが、これは謙遜と思いきや正直な実感だったようで、
佐藤栄作は戦前は官僚として軍部の愚劣さを眺めながら、戦後は師の吉田茂
の影響下、兄の岸の蹉跌も目の当たりにしつつ、池田の高度成長の歪みを修正
しながら長期政権を担い、今から思えばありえないほど難しい沖縄返還を実現
して、日本の戦後に一区切りをつけることに成功します。
日本が核兵器を持たないと決めた段階で、アメリカの核の傘の下でのバランス
ということになるため、地政学的に重要な沖縄の返還の際に核の持ち込みを
どう規制するかは、日本の安全保障にとっても重要な問題で、三原則とは別に
非常時にアメリカの行動に余地を与えることは現実的な選択であったようです。
本書によると、佐藤の政治の進め方には、日本の愚劣な過去を真摯に反省した
立場での気持ちが良いほどの率直さがあり、非常に質の良い情報や吉田の薫陶、
岸の支援の下、今日的にも意義深いバランスの良いビジョンを描くことで、
国際社会のリーダーとの対話でも説得力を持つものになったようで、池田に
総裁選を挑む資金を流用して欧州を歴訪したことなどもビジョンの下地に
なったようです。
個人的には、昭和を三期に分けるとすれば、敗戦と佐藤退陣がその劃期になる
と考えていて、田中以後は政治が一気に劣化したその理由を探りたいところも
あったのですが、その萌芽は佐藤政権の末期に現れていたようで、佐藤政権
まではマスコミの影響に超然としていられた政府が、マスコミの影響を受け
やすくなり、野党の活動もテロや学生運動と結びついて劣化してしまった、
そうしてその影響は今日まで禍根を残しているように思われ、佐藤さんが
もっと長生きして、ノーベル平和賞受賞者として影響を与えていたらと、
今さらながら惜しい気もします。
2021年4月29日に日本でレビュー済み
安倍晋三、桂太郎に続き長期政権を担った佐藤栄作。
晩年にノーベル平和賞を受賞した佐藤だったが、その政権運営は波乱に満ちたものだった。
沖縄返還とその過程での「密使外交」、ニクソンショック、日米繊維交渉など山積する外交課題。
また、高度経済成長のひずみが顕在化し社会的不満の高まりに直面する内政。
そして「新聞記者不在」の退任記者会見。
そんな佐藤は、従来否定的に語られることも多かったように思う。
本書は、佐藤に対し概して高評価である。
緊迫する国際環境下にあって、日本の国益を第一に現実主義的な外交を志向した佐藤。
繊維問題と沖縄返還問題をトレードオフとして日本に要求するアメリカに対し、その両者を切り離すべく努力し、沖縄返還についても自身の信念を曲げず、その熱意は屋良朝苗との良好な関係性にもつながったという。
また、本書は内政に対しても確かな目配りがある。
経済成長を至上命題として突き進んできた戦後日本のひずみは、公害あるいは住宅不足となって立ち現れた。佐藤は、住宅開発を軸にそれらのひずみを乗り越えるべく社会開発を打ち出した。
本書は、佐藤栄作の評伝としてはもちろん、戦後日本の転換点としての佐藤政権あるいは吉田路線の継承としての佐藤政権、など戦後日本の歩みと現在まで続く日本政治を架橋する「政治史」としても読むことができる。
現在の日本政治を考えるうえでも、好個の一書と言えるだろう。
晩年にノーベル平和賞を受賞した佐藤だったが、その政権運営は波乱に満ちたものだった。
沖縄返還とその過程での「密使外交」、ニクソンショック、日米繊維交渉など山積する外交課題。
また、高度経済成長のひずみが顕在化し社会的不満の高まりに直面する内政。
そして「新聞記者不在」の退任記者会見。
そんな佐藤は、従来否定的に語られることも多かったように思う。
本書は、佐藤に対し概して高評価である。
緊迫する国際環境下にあって、日本の国益を第一に現実主義的な外交を志向した佐藤。
繊維問題と沖縄返還問題をトレードオフとして日本に要求するアメリカに対し、その両者を切り離すべく努力し、沖縄返還についても自身の信念を曲げず、その熱意は屋良朝苗との良好な関係性にもつながったという。
また、本書は内政に対しても確かな目配りがある。
経済成長を至上命題として突き進んできた戦後日本のひずみは、公害あるいは住宅不足となって立ち現れた。佐藤は、住宅開発を軸にそれらのひずみを乗り越えるべく社会開発を打ち出した。
本書は、佐藤栄作の評伝としてはもちろん、戦後日本の転換点としての佐藤政権あるいは吉田路線の継承としての佐藤政権、など戦後日本の歩みと現在まで続く日本政治を架橋する「政治史」としても読むことができる。
現在の日本政治を考えるうえでも、好個の一書と言えるだろう。
2020年4月14日に日本でレビュー済み
首相として沖縄返還や日韓国交樹立を実現した佐藤栄作の評伝。官僚出身の寡黙な政治家であり、沖縄密約や大学紛争の強権的なイメージから「タカ派」とみられ、宰相として前後する池田勇人や田中角栄と比べ地味で、評判も悪い。しかし、佐藤政権は核不保持・9条維持を貫き、ニュータウンなど住宅政策にも力を入れた。日記や発言などから佐藤の内面を探ると、民主主義や個人を重んじた人物像が浮かぶ。
佐藤が池田勇人との総裁選に出馬する際、後の佐藤首相政務秘書官となる産経政治部の楠田實、外相・官房長官となる愛知揆一が中心となって、「Sオペ」と呼ばれる政権構想を作ったブレーン集団を構築した。「沖縄返還」「社会開発」など、佐藤政権の核となる政策は、Sオペで立案されたという。左寄りな政策を、国内外から右翼とみられていた佐藤が採用するか、立案者たちも疑問だったが、佐藤はあっさり採用した。
意外にも思えるが、従来の「タカ派」佐藤像と実際の佐藤はやや違うのではないかと、本書はいう。終戦直後、新聞に掲載された「大衆の歩む道が最も賢明だ」というパール・バックの民主主義論に感銘を受け「自分はまちがっていた」と振り返る。「平和国家」を打ち出し、70年安保を淡々と通過させるため、憲法改正には着手しなかった。「政権初期では核保有に積極的だった」とする通説にも本書は否定的だ。広島原爆慰霊式に現職首相として初めて出席したのも佐藤である。また、涙をぬぐう写真が多いのが印象的である。東大紛争、沖縄返還協定調印など、節目で人目をはばからずよく泣いている。
沖縄返還交渉の経緯は複雑でわかりにくい。財政・核持ち込みなど密使と密約が乱れ飛ぶ大変な交渉だった。しかし施政権交渉は佐藤が一から始め、任期中ずっと最優先プロジェクトだったようだ。沖縄交渉の汚点のように評価される密約だが、繊維交渉や円ドルの法外な交換レート、返還費用丸のみなど、ほかの沖縄政策と併せてみると、返還のためならなりふり構わずやるという執念の一端のようにみえた。特定の側近ではなく、福田・田中の両政治家、ブレーンのほか官僚をうまく使いこなし、沖縄も含めて政策をよく掌握した。
日記など一次史料からの引用が多く、「栄ちゃんと呼ばれたい」的な箸休めなエピソードはほぼなく、学術的なスタンスで書かれている。沖縄に注力する分、ほかの点がやや物足りない。長期政権になった要因を巻末で分析しているが、本文中で人事の妙や求心力など党内政治にももう少しふれてほしかった。佐藤が最大派閥をなぜ形成したのか、自派メンバーの田中角栄をなぜ支持しなかったのか、など私はよくわからない。だが「タカ派佐藤」像は、作り出されたものであり、内面は戦後民主主義の政治家として、リーダーシップを発揮した人物なのだろうと感じた。中公新書の評伝としてもかなり硬質な文章で、政治史に関心のある大学生からプロ向けだと思うがよい本だ。
佐藤が池田勇人との総裁選に出馬する際、後の佐藤首相政務秘書官となる産経政治部の楠田實、外相・官房長官となる愛知揆一が中心となって、「Sオペ」と呼ばれる政権構想を作ったブレーン集団を構築した。「沖縄返還」「社会開発」など、佐藤政権の核となる政策は、Sオペで立案されたという。左寄りな政策を、国内外から右翼とみられていた佐藤が採用するか、立案者たちも疑問だったが、佐藤はあっさり採用した。
意外にも思えるが、従来の「タカ派」佐藤像と実際の佐藤はやや違うのではないかと、本書はいう。終戦直後、新聞に掲載された「大衆の歩む道が最も賢明だ」というパール・バックの民主主義論に感銘を受け「自分はまちがっていた」と振り返る。「平和国家」を打ち出し、70年安保を淡々と通過させるため、憲法改正には着手しなかった。「政権初期では核保有に積極的だった」とする通説にも本書は否定的だ。広島原爆慰霊式に現職首相として初めて出席したのも佐藤である。また、涙をぬぐう写真が多いのが印象的である。東大紛争、沖縄返還協定調印など、節目で人目をはばからずよく泣いている。
沖縄返還交渉の経緯は複雑でわかりにくい。財政・核持ち込みなど密使と密約が乱れ飛ぶ大変な交渉だった。しかし施政権交渉は佐藤が一から始め、任期中ずっと最優先プロジェクトだったようだ。沖縄交渉の汚点のように評価される密約だが、繊維交渉や円ドルの法外な交換レート、返還費用丸のみなど、ほかの沖縄政策と併せてみると、返還のためならなりふり構わずやるという執念の一端のようにみえた。特定の側近ではなく、福田・田中の両政治家、ブレーンのほか官僚をうまく使いこなし、沖縄も含めて政策をよく掌握した。
日記など一次史料からの引用が多く、「栄ちゃんと呼ばれたい」的な箸休めなエピソードはほぼなく、学術的なスタンスで書かれている。沖縄に注力する分、ほかの点がやや物足りない。長期政権になった要因を巻末で分析しているが、本文中で人事の妙や求心力など党内政治にももう少しふれてほしかった。佐藤が最大派閥をなぜ形成したのか、自派メンバーの田中角栄をなぜ支持しなかったのか、など私はよくわからない。だが「タカ派佐藤」像は、作り出されたものであり、内面は戦後民主主義の政治家として、リーダーシップを発揮した人物なのだろうと感じた。中公新書の評伝としてもかなり硬質な文章で、政治史に関心のある大学生からプロ向けだと思うがよい本だ。





