本書は意識構造学(識学)を「学問」としているが、
識学が組織運営の改善に効果があるという研究や実験結果が本文に記載されていない。
察しのいい人なら予想がつくだろうが、もちろん巻末にも参考文献、引用文献、その他資料は載っていない。
またインターネット上で検索(主にgoogle scholar,CiNii)してもそれらは一切出てこない。
学問とは巨人の肩の上に立つことで、初めて体をなすものであるが、識学という学問は本当に存在するのだろうか。
業績向上の要因が識学の導入によるものなのか、社員の成熟によるものなのか、人事が上手くハマった事によるものなのか、
景気回復や経済成長によるものなのか、その他に要因は色々とあるだろうが、何も検証されていない。
本書ではそのようなものを学問と名乗り、激しい内容を振りかざしている。
運営の一助を求めて、現状を打開したくて本書を手にする読者にとっては危険である。
極端な内容を展開しているが、誰にでも少しは心当たりがあったり、誰にでも少し参考になったり、
誰にでも少し注意を引く程度の内容であり、占いで使われるバーナム効果の域を出ていない。
しかし、学問としての裏付けを一切追跡できない独自の思想に「意識構造学」、「識学」という名をつけるネーミングセンスと造語センス、そしてそれらを平然と流布させる面の皮の厚さは見習うところがあるかもしれない。
加えて、もし学問ということを捨て去り「俺が思いついた最強のコンサルティング!」となれば、腑に落ちるところもあり、本書は非常に興味深く★★くらいにはなり得る。
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