完結してから書こうと思っていたが、意外と長く続いている上、掲載誌のヒーローズが雑誌媒体としては休刊してしまい、今後はネット配信になったのもあって、一度、現在、刊行されている15巻までの内容から本作を総括しておきたく書く。
よって、以下はネタバレを含んでおり、多少、濁しても触れずに書くのは無理な部分も多いので、未読の人には勧めないし、1巻のレビューでもないのは理解してもらいたい。
まず、本作はクウガではメインライターではない井上敏樹の脚本であり、序盤はクウガの設定を踏襲しているものの、物語のテーマの本質はどちらかと云えばアギトのテーマの1つに近く、また全体は555の群像劇によく似た構成になっていると書いておく。
つまり、非常に井上らしい作品であり、例え作画担当がイマイチだったり、変なところが多くても、本質としての井上らしさは強く残っているので、井上脚本が好きな層はダメな部分も含めて面白く読めるだろう。
そのため、クウガの漫画であり、アギトも登場しているものの、本作ではそれらのTV版との差異は一旦忘れて読む事をお奨めする。
よって、TV版のクウガ・アギトの、特にキャラクターの強烈なファンにもあまり奨めない作品になっている。
本作のクウガの設定はTV版と近い部分もあるが、色々と違っている。
キャラクターの多くも似た部分を持つものの、細かい設定がTV版とは色々と違いあるので詳しく触れないが、そもそものグロンギの設定やシステムが違う上に、クウガはグロンギ内の離反者でリントを守ると云う、むしろオリジナルのライダーのショッカーの改造人間とか、石ノ森で言えばサイボーグ009からの伝統に近いのが先代のクウガと云う設定だ。
そしてリントである五代が力を受継げた細かい理由は不明だが、その辺はTV版にもあったクウガがやがてグロンギと同じ様になってしまうのではないかとか、アギトではもっと追及された人間との敵対可能性を孕む事で、井上らしいキャラの関係構造を作っている。
また、本作での五代はTVより少年漫画の主人公的な面が強調されており、TVと違って一条より読者に解りやすいキャラクターになっている。
逆に一条は別の事件や身内の設定と本人のキャラクターもあり、TV版とは違い、割ととっつきの悪いキャラクターになっている。
この一条に関しては作画が悪いのか脚本が悪いのか判らないが、ツッコミどころの多い設定の為、余計に他のキャラクターに比べ、単におかしい奴なんじゃないかと思う時があり、その辺、井上のキャラ転がしの下手さがモロに出てしまったキャラと言える。
キャラ転がしの話で云えば、本作のオリジナルの駿河だが、正直、面白そうなキャラなのに作画のせいもあるのか、どうも面白く転がせていない。
後で触れる翔一にしても、駿河の方を上手く転がせていれば、いくらでもリカバー出来ると思える。
また、警察機構の中での意見を上手く体現出来たであろうし、扱い方によっては、中々、面白いキャラに出来たであろうケイをサクっと殺してしまう辺りの下手さは井上らしいと言えばらしい。
キャラ転がしだけは似た様な作品での根強いファンの多い小林靖子の方が上手いと思えるが、多分、小林のキャラ転がしは井上の世界観やテーマの方を殺してしまう可能性が高いのが悩ましい。
そして翔一だが、これはアギトの翔一ではなく、記憶喪失になる前のただの沢木哲也を更に凡人として描いていると思えば納得はいく。
料理が得意だが発想が一般的でないと云う元の沢木の設定に、翔一になってからの独善的で想像力に乏しく空気を読めない設定を重ねた、ただのしょうもないキャラクターなのだ。
だからこそ駿河がコントロールする必要がある訳で、そこで面白い動かし方が出来たであろう。
また、サチを殺す部分で思い出すのは、井上の小説版555だ。
本作の翔一は、555の啓太郎をネガティブにし、木場の様な役割を与えたキャラクターなのだ。
ここで一度、本作におけるアギトの設定を書いておく。
TV版では、バイブルを経典とする一神教の二元論的善悪観に対するアンチテーゼとしての側面のあったアギトだが、本作ではその側面は設定として全く入っていない。(霊石が何かによっても、そこはまり変わらないだろう)
本作では、グロンギに対抗する人間の戦士であり、能力の源はグロンギと同じで、後にアギトの方が先に生まれたらしい説明すらある。
つまり、TV版にあったアギトのテーマは全く入っていないのが本作のアギトなのだ。
ここで思い出すのは555のオルフェノクで、オルフェノクは人間の中からアギトの使徒を生み出した様な存在と云う設定であった事から、TV版のアギトとは対であり似た存在だとも言える。
両方とも井上(ほぼ一人)の脚本による作品である為、本作のアギトはむしろオルフェノクに近い存在にしてあるのは意図的であろう。
そもそも最初に書いた様に、本作の物語部分は555的な群像劇になっており、役割的に類似が見られるキャラもいる。
駿河の態度は海道を思い起こさせる部分もあるだろう。
そうすると翔一が木場っぽい立ち位置にあるのは面白いし、多分、五代の対応に関わらず翔一は破滅していくのが当然に思えるし、その方向に向かっていく展開でもある。
更にG3誕生で、勢力に新たに人間が加わるのもタイミングとしては丁度良かった。
グロンギにもグロンギの正義があると云う描かれ方が一貫している本作では、それぞれの理想とギャップが表裏的なキャラ配置で面白さを出しているからだ。
他でTV版と違うキャラで面白いのは桜子だろう。
バルバによる伏線が張られる前からTV版以上に出てくるし色を付けたキャラではあったが、あの伏線からの流れで非常に興味深いキャラクターになったと言える。
その辺と五代がクウガの力を受継げた理由などは、割と本作の根幹設定なので、そこはきちんと描き切って欲しいものだ。
以上の様に、本作は井上の平成ライダー総括的な作品と言えるが、それが元のTVの平成ライダーファン向けでないとも言える。
しかし、全くのオリジナル作品にした場合、井上原作の漫画はあまり成功していないのも事実であり、このクウガを利用し、多くのオリジナルのファンを敵に回しても、本作では最後までテーマを描き切って欲しいと云うのが自分の望みだ。
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仮面ライダークウガ(1) (ヒーローズコミックス) Kindle版
-
言語日本語
-
出版社ヒーローズ
-
発売日2015/7/4
-
ファイルサイズ74086 KB
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登録情報
- ASIN : B010RXMQCE
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- X-Ray : 有効にされていません
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3人のお客様がこれが役に立ったと考えています
役に立った
2016年5月14日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
まず最初に、これはテレビで見ていた仮面ライダークウガとは別の作品です。
同名のキャラを使用した別の作品です。
だけど1巻だけ読んで面白い面白くない、
というのはこの作品を読むにおいては早計だと思われます。
私は1巻から3巻までをまとめて買いましたが、
1巻を読み終えたとき思わず口にしたのが
「うん、これは1巻だけじゃつまんないわ」という一言でした。
1巻はそれこそテレビでの1話を無理矢理長く1巻に納めた感じがします。
それに対して否定的なレビューも多く見られますが、
そこに関しては私も同意です。
しかし幸運だったのは3巻までまとめて買っていたことでした。
2巻を読みはじめ、内容が進んでいくにつれて
なるほど、テレビでは出来ないものとはこういうことか。ということを理解し、
これがマンガだからできたことということを理解しました。
そして3巻を読みはじめた時にはテレビで見ていたものとは完全に別の作品であり、だからこそ面白いという意見を持ちました。
買うのを躊躇っている方、体験版、または募金だと思って3冊まとめて買ってみてはどうでしょうか?
合わないな、と思えばそこで買うのを止めてしまえばいいし
面白い、と思えば続きを買っていけばいいと思います。
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だけど1巻だけ読んで面白い面白くない、
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「うん、これは1巻だけじゃつまんないわ」という一言でした。
1巻はそれこそテレビでの1話を無理矢理長く1巻に納めた感じがします。
それに対して否定的なレビューも多く見られますが、
そこに関しては私も同意です。
しかし幸運だったのは3巻までまとめて買っていたことでした。
2巻を読みはじめ、内容が進んでいくにつれて
なるほど、テレビでは出来ないものとはこういうことか。ということを理解し、
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そして3巻を読みはじめた時にはテレビで見ていたものとは完全に別の作品であり、だからこそ面白いという意見を持ちました。
買うのを躊躇っている方、体験版、または募金だと思って3冊まとめて買ってみてはどうでしょうか?
合わないな、と思えばそこで買うのを止めてしまえばいいし
面白い、と思えば続きを買っていけばいいと思います。
2017年8月14日に日本でレビュー済み
とにかく五代に全く魅力を感じない。
ひったくり発生
→捕まえようとした警官を妨害
→「犯人にも家族がいるんだから可哀想」
→「被害者は可哀想じゃないのか」
→「もちろん可哀想、だから被害者にお金あげる。でも俺は無一文だから、刑事さんが払って」
当然刑事は納得しないが、代わりに自分を逮捕させる
→無一文だから食事付の宿を確保できてラッキー
これで「夢と希望に溢れる男」として描かれてるんですが、この段階ではとてもそんな風には受け取れない。
一条さんの方も、堅物・生真面目というより最早サイコです。
連続殺人を止められずに目の前で女性が惨殺されたのになんで「それだけ派手にやれば簡単に見つけられるぜ」なんてドヤってるんですか…。
クウガとアギトを共存させる作品ということで読み始めましたが、ひとつの物語として全く面白くなる予感がせず、第一巻で読むのを止める人がいても何も疑問に思いません。
ひったくり発生
→捕まえようとした警官を妨害
→「犯人にも家族がいるんだから可哀想」
→「被害者は可哀想じゃないのか」
→「もちろん可哀想、だから被害者にお金あげる。でも俺は無一文だから、刑事さんが払って」
当然刑事は納得しないが、代わりに自分を逮捕させる
→無一文だから食事付の宿を確保できてラッキー
これで「夢と希望に溢れる男」として描かれてるんですが、この段階ではとてもそんな風には受け取れない。
一条さんの方も、堅物・生真面目というより最早サイコです。
連続殺人を止められずに目の前で女性が惨殺されたのになんで「それだけ派手にやれば簡単に見つけられるぜ」なんてドヤってるんですか…。
クウガとアギトを共存させる作品ということで読み始めましたが、ひとつの物語として全く面白くなる予感がせず、第一巻で読むのを止める人がいても何も疑問に思いません。
2019年2月3日に日本でレビュー済み
このマンガについて「テレビ版の五代雄介と違う!」なんてわざわざレビューして書いている人は、
五代雄介の魅力のほとんどが、実はオダギリジョーという人物からできていることをわかっていない。
オダギリジョーの出ている映画を観たほうがいい。
ただ、あの俳優の歴史は、ついてしまった五代雄介というキャラの払拭に苦闘し続ける歴史でもあるので、
『パッチギ』など重要な脇役として描かれている作品がおすすめ。
さて、このマンガはなかなかチャレンジングな内容で、単なる二番煎じ、あるいはテレビをなぞる形でないところが素晴らしい。
わりと時間をかけてクウガとアギトの世界の融合を描くらしいので、
この作品自体が、平成ライダー(特に前半)のコンセプトや世界観、ドラマ性の補足証明的にも機能するはずだ。
五代雄介の魅力のほとんどが、実はオダギリジョーという人物からできていることをわかっていない。
オダギリジョーの出ている映画を観たほうがいい。
ただ、あの俳優の歴史は、ついてしまった五代雄介というキャラの払拭に苦闘し続ける歴史でもあるので、
『パッチギ』など重要な脇役として描かれている作品がおすすめ。
さて、このマンガはなかなかチャレンジングな内容で、単なる二番煎じ、あるいはテレビをなぞる形でないところが素晴らしい。
わりと時間をかけてクウガとアギトの世界の融合を描くらしいので、
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