日本文学研究者のドナルド・キーンはノーベル文学賞の候補に川端康成ではなく三島由紀夫を推していたそうだ。歴史に「もし」はないというが、もし三島が自決せずに、もしノーベル文学賞を受賞していたら、日本文学界の景色はかなり変わっていただろう。この作品は三島の最初の長編書き下ろし作品だという。
先日平野啓一郎の『日蝕』を読んで、彼が「三島由紀夫の再来」と言われているのを見て、しばらく三島を読んでいないと思いこれを引っ張り出した。
三島はこの小説でフィクションを書くと言っていたそうだが、この「仮面」の裏側にあるのは三島自身であり、それは自画像ではないかと言われる。『仮面の告白』というタイトルが言うとおり、三島自身の自伝であるという論に賛成したい。
全体を通して一貫していることは、異性に対してではなく同性に心を動かされていたということだ。終いには自分でも恋していると思っていた園子さえ避けてしまった。女性に対して興味を持てなかったことを告白している。今でこそ芸能人などがカミング・アウトする姿が報道されるなどしてあまり違和感がなくなってきたが、当時は恐らくかなりセンセーショナルな話題であったのだろう。『仮面の告白』というタイトルがあまりに相応しく思えてくる。
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