本書は、一般の人々から寄せられた多種多様な難問・奇問や相談に対し、現役の僧侶が仏教的な観点から肩の力を抜いて答えている読みやすい「問答集」である。
驚いたことに、著者は最初から、〈すみません、私みたいなのが僧侶をやってて〉と謝る。自分のことを「お寺に生まれてなかったら宗教をバカにしていたようなタイプの人間」とも称しているくらいである。
また、寄せられた質問に対しても、常に悩みながら回答を出す。例えば「生まれ変わってもまた逢うことが可能か」という質問を受けた著者は、おずおずとこう語り始める。
〈どうもお坊さんは「死後の世界」の専門家と思われているなぁ。私のようなチョー凡人には、死後の世界は太刀打ちできないのですが……。まず、この「生まれ変わっても、また逢おうね」というセリフが、なぜ成り立つのかを考えてみましょう(それが仏教的態度です)〉
スッキリしない、もどかしい…でもそれが仏教
著者は相手や内容ごとに接し方を変えるタイプであろう。子どもに対しては、〈おお、久しぶりに小学生からの質問だ。うれしいなぁ〉と微笑んでみせ、お寺の階級差を疑問視する45歳男性に対しては、〈はっきりいいますと、教団や組織の実務面とかは世俗の論理によって運営されているのです〉と真正面から受け止める。
軽いノリの返しもあれば、ときに重たいストレートパンチで返答することもある。しかし、いずれの回答にも共通しているのは、「こうしろ」「こうあるべき」といった言葉を決して使わないことだ。
著者が「○○すべき論」を避けるのは、回答者として自信がないからではない。問題の前提となっている枠組みや価値観を一度解体し、根本に立ち返って問い直すことが「仏教的態度」だと説き、これを真摯に実践しているからなのだと感じる。
著者が説く仏教には、絶えず「自己への点検」という作業が付随する。占いに関する質問にも、信じることの良し悪しを問う前に、「なぜ自分はつい占いを信じてしまうのだろう」という視点の導入を勧める。自分自身をその都度振り返り、考え直す。そうやってバランスを整えながら、ゆっくり前へ進んでいく。肩の力を抜いて読める本である。。
仏教ではこう考える (学研新書) (日本語) 新書 – 2008/11/1
釈 徹宗
(著)
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本の長さ245ページ
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言語日本語
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出版社学研プラス
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発売日2008/11/1
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ISBN-104054039669
-
ISBN-13978-4054039667
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商品の説明
内容(「BOOK」データベースより)
どんな難問・奇問・珍問にも答える住職、シャク先生が、絶妙の回答で“仏教の思考法”を教えてくれる一冊。みんなが感じている悲しいこと、耐えがたいこと、ヘンなこと、納得のいかないこと…を仏教的に快答乱麻。まさにこの人は「仏教の白石さん」だ。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
釈/徹宗
1961年、大阪府生まれ。龍谷大学大学院、大阪府立大学大学院人間文化研究科比較文化専攻博士課程修了。専門は宗教思想。兵庫大学准教授。NPO法人リライフ代表。浄土真宗本願寺派・如来寺住職(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
1961年、大阪府生まれ。龍谷大学大学院、大阪府立大学大学院人間文化研究科比較文化専攻博士課程修了。専門は宗教思想。兵庫大学准教授。NPO法人リライフ代表。浄土真宗本願寺派・如来寺住職(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
登録情報
- 出版社 : 学研プラス (2008/11/1)
- 発売日 : 2008/11/1
- 言語 : 日本語
- 新書 : 245ページ
- ISBN-10 : 4054039669
- ISBN-13 : 978-4054039667
- Amazon 売れ筋ランキング: - 1,026,262位本 (の売れ筋ランキングを見る本)
- カスタマーレビュー:
カスタマーレビュー
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2009年1月14日に日本でレビュー済み
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17人のお客様がこれが役に立ったと考えています
役に立った
2009年11月3日に日本でレビュー済み
第一部は仏教に関する新聞投稿への回答、第二部は著者が檀家などからの質問をもとにした
エッセイとなっている。仏教の教義の複雑さに、著者自身ののパーソナリティーも加わって
かなりモヤモヤっとした内容になっている。特に第一部の「紙上問答」は質問自体がつまらない
ものも結構含まれていて、途中で読むのを止めようかとも思った。
しかし第二部になると著者の意見、考えがはっきり前面に出てきて面白くなってくる。
本書中の質問は、葬式や法事など宗教行事にどのような意味があるのか、必要があるのかと
いうものが多く出てくる。これらの疑問は仏教が葬式仏教などと揶揄され、金儲けの手段
に成り下がっているのではないかという一般人の僧侶に対する疑念を反映していると思う。
これらに対する著者の回答は「宗教行事のスタイルはその地方の習俗や伝統で決められるの
であって仏教の教義で決められているのではないと言うこと、そういう意味では宗教行事
のスタイルはどのようなものでもよい。しかし宗教行事そのものは必要で、それはそのような
行事を通じて仏教の教義にふれ、信仰に近づくきっかけになるからである。」というもの。
最近、日本の仏教が本来の仏教とかけ離れていると批判されることが多くなったと思うが、
本書はそれに対する反論の書(穏やかすぎるが)と言えるだろう。
エッセイとなっている。仏教の教義の複雑さに、著者自身ののパーソナリティーも加わって
かなりモヤモヤっとした内容になっている。特に第一部の「紙上問答」は質問自体がつまらない
ものも結構含まれていて、途中で読むのを止めようかとも思った。
しかし第二部になると著者の意見、考えがはっきり前面に出てきて面白くなってくる。
本書中の質問は、葬式や法事など宗教行事にどのような意味があるのか、必要があるのかと
いうものが多く出てくる。これらの疑問は仏教が葬式仏教などと揶揄され、金儲けの手段
に成り下がっているのではないかという一般人の僧侶に対する疑念を反映していると思う。
これらに対する著者の回答は「宗教行事のスタイルはその地方の習俗や伝統で決められるの
であって仏教の教義で決められているのではないと言うこと、そういう意味では宗教行事
のスタイルはどのようなものでもよい。しかし宗教行事そのものは必要で、それはそのような
行事を通じて仏教の教義にふれ、信仰に近づくきっかけになるからである。」というもの。
最近、日本の仏教が本来の仏教とかけ離れていると批判されることが多くなったと思うが、
本書はそれに対する反論の書(穏やかすぎるが)と言えるだろう。
2009年7月14日に日本でレビュー済み
「仏教では〜なのですか?」という質問に、「上座部仏教ではこうですが大乗仏教ではこうです。さらに日蓮宗ではこうですが浄土真宗ではこうです。」というような答え方をしている。
それがあまりにもバラバラなので、(バラバラなのは著者のせいではないが)、結局仏教ってなんなの?という疑問がさらに強まり、読めば読むほどモヤっとしてくる。
ここはひとつ、ブッダが生きていた頃の「古代仏教」に限定して回答すれば良かったのではなかろうか。
それと、どうも著者は分かりやすく説明する能力に欠けているように思える。
8歳や10歳の子どもからの質問に、最初の段落では易しい説明を心がけているのが見て取れるが、次の段落からはもう諦めてしまっている。もうちょっとがんばれよ、といいたくなる。
それがあまりにもバラバラなので、(バラバラなのは著者のせいではないが)、結局仏教ってなんなの?という疑問がさらに強まり、読めば読むほどモヤっとしてくる。
ここはひとつ、ブッダが生きていた頃の「古代仏教」に限定して回答すれば良かったのではなかろうか。
それと、どうも著者は分かりやすく説明する能力に欠けているように思える。
8歳や10歳の子どもからの質問に、最初の段落では易しい説明を心がけているのが見て取れるが、次の段落からはもう諦めてしまっている。もうちょっとがんばれよ、といいたくなる。
2008年12月23日に日本でレビュー済み
理性と科学の思考法で、宗教を分析していく著者の姿勢は
一介の市井の人間である私にもとっつきやすい。
2部構成で前半は「京都新聞」の紙上問答から、後半は普段の檀家さんなどとのやり取りから一問一答形式で記述されています。
Q みんなは死んだら天国に行って、悪いことをした人はじごくに行くって言ってるけどほんとなのですか?(9歳)
Q 宗教はいらないけど、お墓はほしい
ハートだけでなく、アタマも満たされる内容です、著者は浄土真宗のお坊さんとのことですがそれ以外の門徒の方にもお勧めの仏教入門となっています。
一介の市井の人間である私にもとっつきやすい。
2部構成で前半は「京都新聞」の紙上問答から、後半は普段の檀家さんなどとのやり取りから一問一答形式で記述されています。
Q みんなは死んだら天国に行って、悪いことをした人はじごくに行くって言ってるけどほんとなのですか?(9歳)
Q 宗教はいらないけど、お墓はほしい
ハートだけでなく、アタマも満たされる内容です、著者は浄土真宗のお坊さんとのことですがそれ以外の門徒の方にもお勧めの仏教入門となっています。
2011年8月5日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
難問・奇問・珍問について、仏教の考え方を紹介した本。比較宗教思想を専門とする住職として、第1部紙上問答編では、仏教ではこうなるがキリスト教ではこうなるなどの、比較した説明がある。浄土真宗本願寺派の住職として、第2部日々の問答編では、生と死、霊感、宗教儀礼、正座、暴力と平和などについて、平明に答えている。
絶対他力を信じる人と、何らかの修業をしてやっと救われると信じる人では、物事の考え方が微妙に異なっている感じがする。この本は、絶対他力の立場の方が書いている。
この本の内容に納得できない方は、浄土真宗ではない人が書いた仏教本を読んでみると、救われるかもしれない。それでも納得できないときは、仏教を離れて他の宗教たとえばキリストや聖書に関する本を読んでから仏教本を読み返してみるのもいいと思う。
自分が安心して生きられる道はどこにあるのか、神か仏か無宗教か、たぶん答えが見つかると思う。
絶対他力を信じる人と、何らかの修業をしてやっと救われると信じる人では、物事の考え方が微妙に異なっている感じがする。この本は、絶対他力の立場の方が書いている。
この本の内容に納得できない方は、浄土真宗ではない人が書いた仏教本を読んでみると、救われるかもしれない。それでも納得できないときは、仏教を離れて他の宗教たとえばキリストや聖書に関する本を読んでから仏教本を読み返してみるのもいいと思う。
自分が安心して生きられる道はどこにあるのか、神か仏か無宗教か、たぶん答えが見つかると思う。