本書は特攻隊の経験を持つ著者が、同じ特攻隊の若者や、彼らに関わった人達の手紙、日記、遺書、談話などを集め、戦争の中における彼らの生を克明に記録したものである。
確かに、死を目前に控えた特攻隊の若者達の生き方は感動的だし、青春としては一種の美しさを感じないでもない。しかし、本書は特攻隊に都合の悪い事はほぼ書かれていないので、見方が一面的にならざるを得ない。著者のような戦中派にとっては、戦争が人生の重要な一部を成しているので、戦争を否定されると自分の人生を否定されたように感じるのだろう。この辺りは、戦後生まれの人間には分からないジェネレーションギャップを感じる。
本書を読んでいて思ったのは、日本人は太平洋戦争について被害者意識が強いのではないか、ということ。本書でも散々米軍の空襲による被害が強調されるが、日本の諸外国への加害行為には一切触れられる事はない。これは本書に限らず、多くの作品に共通した特徴でもある。日本の加害者の側面に触れず、日本及び日本人は被害者だ、特攻隊は美しかった、などと主張しても、ただの開き直り・負け惜しみにしか思えない。あくまで特攻隊は軍国主義の犠牲者である事に変わりはない。
それでも、特攻隊の一面を知る上では本書は読む価値はあると言える。最後に補足しておくが、本書巻末の解説は、全く解説になっていないので、読む意味はないだろう。
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