僕はどういうわけか数年に一度は「仁義なき戦い」シリーズを観たくなる。
「仁義なき、、」を観る度に、それ迄の東映やくざ映画にあった着物の裾を翻しての博徒や渡世人の殴り込み、決闘のシーンなどに見られたある種の暴力の「美学」が全くなくなり、ただただ暴れまわる実録風の揺れるスクリーンと時にはピントのズレた画面が映像としてなんとも魅力なのだ。
菅原文太はじめ並みいる東映昭和スターを観る映画なのだが、この後ドラマや映画で重要なわき役として活躍するまだまだ大部屋時代の東映俳優陣の溌剌とした演技がとても好ましい。
筋立てはもう皆さん知っての通りだが、本「死闘編」はシリーズ第二弾といいながらも、実は北大路欣也演じる特定のヤクザの広島での自分と組をめぐる争いに焦点を当てた異色の出来。 一連の「仁義」シリーズ第二弾としてではなく、むしろスピンオフ作品として見るべきだろう。 「仁義なき」全体の暴力団同士の抗争の歴史としては、最初の作品を継ぐものとしては「代理戦争」が物語の二作目とみるのが正しい。
僕はこの作品は北大路欣也と梶芽衣子を見る映画と思っている。ちょっと演技過剰の目をギラギラさせて、時には獲物を狙う獣のように、また時には追い詰められた獣のような北大路の演技が大物ではない下っ端ヤクザ「らしい」よね。梶芽衣子のきりっとした古風な日本人的美しさも魅力的だ。
しっかし、いつの時代でも、どの社会でも、犠牲になり、割を食うのは若い者であり弱者なのだなぁ、権力闘争の使い走り、と思う。 親分子分、義理と仁義の(はずの)ヤクザの世界でも、だ。
そんなことを思いながらも、この映画を観たあとはあの「じゃか、じゃか、じゃじゃーん」というおどろおどろしくも、人を駆り立てるようなテーマミュージックが頭の中で鳴り響いている。

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