和風ファンタジー。俗にいうケンタウロスに近い「人馬」という種族が物語の中心。
他種族との共存、差別、戦争の悲惨さとそこから生きていくことへの様々な答え。
上下巻で一つの物語、現在６巻まで出ており、５，６巻はメインキャラの過去の話となっています。
ストーリー、世界観、キャラクターの個性、どれも骨太です。
物語で描写されていない部分まで全部考えてあるんだろうな、ということが、キャラの小さな仕草や言葉の裏から伝わってきます。
絵が非常に上手く躍動感があり、キャラクターが生き生きと動き回ります。
しかし動きを出すために、わざとデッサンのような粗い描写になっている場面も多いため、
「綺麗な止め絵が好き！」という方には向いていないかもしれません。
(見づらいということはありません。陰影がトーンでくっきりつけられているので、キャラクターのシルエットを見失うこともないです)
上記のように漫画として大変よくできていますが、一つ上げるなら、展開が非常にはやいです。
「いま３ページで描写されたところ、単行本３冊分の内容じゃないですか？」というシーンが点在します。
例えるなら「昔々、AとBは敵国同士の生まれでしたが、いつしか惹かれ合い恋仲になりました」と一行で言われた気持ちです。
「そこもうちょっと詳しく話して？？？？？」となります。
しかも話についていけないわけではなく、ストーリー、世界観、キャラ、絵、どれも明瞭で分かりやすく、おまけに魅力的。話にするする入り込めてしまうが故に「もったいない！もっとこの世界に浸りたい！」と感じます。
「このマンガ引き延ばしすぎだよな。さっさと終われ」とはよく思えども、
「伸びて…もっとちゃんと一話を伸ばして…」と願うマンガは中々ないのではないでしょうか。
私個人は元々この作家さんの絵のファンで、画集のつもりで買ったので５００億点満点です。
が、漫画として楽しむのがメインという方は、以上のことを考慮した上で購入を考えられるとよいと思いますよ。
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