1.内容
人間がどうして歌うようになったか、そしてそこからどう「質問」(第4章)や「発話」(第5章)に進化したかを論じた仮説。人間社会が危機に陥った時に、他の動物(静寂を保って存在を目立たなくする)とは違い、集団で声を上げて人間社会を守ったことが受け継がれている。このことなどから、歌唱は、通説とは異なり、ポリフォニーからモノフォニーへ発展したものだが、その発展の度合いは地域によって異なり、モノフォニーの盛んなところは、例えば吃音が少ないのだという。
2.評価
レビュアーは専門の学者ではないので本書の妥当性はわからないが、面白い仮説であった。ポリフォニーの始まりが人間社会を守るためだというのは思い浮かばなかったし、ポリフォニーのほうが古いというのも思い浮かばなかった。また、歌について考えさせられる本だった。一例を挙げると、他の文化の旋律を入れたり(p80)、初期のポリフォニーで歌詞がなかったり(p194)と言ったことから、外国の音楽を聴いても感動できるものだと思ってしまった。以上、興味深い仮説と、歌について考えられる本なので、星5つとする。
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