「一生つかえる思考の秘訣が詰まった画期的提言」と聞いて読むと、ちょっと肩透かしかもしれない。良い本ですが、「論理的思考法」とか「xx式発想法」といったノウハウ本のような即効性は、本書にはありません。なぜなら創造的な思考をすることはノウハウとして人から教えてもらえるような容易な行為ではないからです。
でも、ビジネスでも勉強でも暮らしでも、自分で気づき、考えて納得し、行動を決めていくときの思考の質を少しずつでも高めていきたいと願う人にはとても有意義な本だと思います。気軽な読み物として手に取ると読みやすいし、それで十分に得るところがあります。その後の実践、習熟には時間がかかりますが。
いろいろな問題に向かう時には「抽象的思考」が大切だと説いています。
レビュアーは仕事の中で、自分の失敗の原因を探って自分はもちろん会社の仲間も類似の失敗をしないで済むように仕事の仕方から一人ひとりの考え方まで変えていこうという活動もしていました。この時に大切なのが「自分がやっちまった失敗」の表裏にある具体的原因を掘り下げていくことと、その失敗&原因を個別の事柄から解き放して抽象化し、似たような失敗、本質的に同一の失敗が在ることに気付くことでした。具体的思考と抽象的思考が両方必要で、特に将来に向けての価値ある結論は抽象化されたあとの議論から生まれるものでした。
逆に、具体的な手法やマニュアルに拘る人が不自由に、不幸になっている理由が説明されていて納得でした。
要となる抽象的思考方法を育成する方法を述べた第3章で、「抽象的思考を身につける方法というものは、具体的にはない」と言われた時にはのけぞりましたが、そうなんでしょうね。
「普通のことを疑う」「連想する」「(安きに流れないで)もうちょっと考えよう」と心がけ、実行を心がけるしかないようです。
あとがきの最後の4行を読んでずっこけます。読者を裏切ってはいないので、ちょっとうれしくはなりますが、やはり抽象的思考方法の伝授は難しい。
Kindle 端末は必要ありません。無料 Kindle アプリのいずれかをダウンロードすると、スマートフォン、タブレットPCで Kindle 本をお読みいただけます。
無料アプリを入手するには、Eメールアドレスを入力してください。

1分以内にKindleで 人間はいろいろな問題についてどう考えていけば良いのか(新潮新書) をお読みいただけます。
Kindle をお持ちでない場合、こちらから購入いただけます。 Kindle 無料アプリのダウンロードはこちら。
Kindle をお持ちでない場合、こちらから購入いただけます。 Kindle 無料アプリのダウンロードはこちら。
カスタマーレビュー
この商品をレビュー
同様の商品をご覧になりませんか?
こちらのリンクで参照ください。科学哲学